在日琉球人の王政復古日記

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《親米保守映画列伝》東宝「若大将」シリーズの10年戦争(その4)~ブルジョアVS花嫁修業VS夜の蝶VS中卒勤労者。

東宝「銀座の若大将」1962年 シリーズ第2作 主演・加山雄三(1937年生)。
日活「銀座旋風児」1959年 シリーズ第1作 主演・小林旭(1938年生)。
同日放送とは、偶然とはいえ、好対照の2品である。

BSジャパン【銀座の若大将】http://www.bs-j.co.jp/cinema/d141011.html

BS日テレ - 「プレシャスタイム「小林旭主演 銀座旋風児」」

 

共通点は、どっちもシリーズ映画、舞台が1960年前後の銀座、ほぼ同い年の主役がどっちも「歌える映画スタア」、乱闘アクションがあるのも、女性にモテモテなのも同じである。

 

「銀座の若大将」に関しては、第1作「大学の若大将」でその【政治映画】としての構造を紹介したが、ほぼ変わらない。

《親米保守映画列伝》東宝「若大将」シリーズの10年戦争(その1)~身分違いの恋だから。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

《親米保守映画列伝》東宝「若大将」シリーズの10年戦争(その2)~加山雄三VS渥美清&高倉健~太平洋戦争再び - 在日琉球人の王政復古日記

 

《親米保守映画列伝》東宝「若大将」シリーズの10年戦争(その3)~加山雄三VS樺美智子~雪山賛歌/雪山惨禍 - 在日琉球人の王政復古日記

 

《親米保守映画列伝》東宝「日本一の若大将」(1962年)~「ソウル?」「韓国の」「はあ韓国ですか」(笑)~半世紀前の嫌韓。 - 在日琉球人の王政復古日記

 
東映の誇る女優陣のキャラはほぼ同系である。

主人公の妹・中真千子。

中産階級の娘、家事手伝い。おそらく高卒か? よくよく考えてみると、毎回毎回かなり性悪な性格である(笑)。

「大学」では実家の集金をネコババした罪を兄になすり付けてたが、「銀座」では兄のバンドを勝手にブッキングしてマネージ料をガメる。兄貴を売って金儲けばかりしてる。

主人公の同級生・団令子。

当時は同世代の1割もいなかった、有名私立4年制大学の女子大生。

テープレコーダー(スティックメモリでも光ディスクでもなく、さらにカセットでなく、オープンリール!)で授業を録音するハイテクウーマン。優等生な上に機械に強く、当時高価だった機器を持っているということは結構な金持ちの家である。その録音がある伏線になってるとこなんか、さすがは東宝、丁寧な脚本だ。

銀座レストランオーナーの娘・藤山陽子。

花嫁修業代わりのお嬢様短大卒。またもブルジョア階級丸出し。

ヴァンプ担当・北あけみ。

クラブ歌手に続いてファッションモデルとまたまた芸能畑の女性。高卒っぽい。

ヒロイン・星由里子

銀座の洋装店のお針子。今回はおそらく中卒だろう。上記4人に比べれば格違いの貧乏である。何しろ彼女だけは青大将に頼らないと自力で万座スキー場に行くカネはないのだ。
若大将のヒロインは、常に一番不利なポジションに置かれている。

女性たちがレストランの食事をするシーンで各人の性格と経済状態を表現している。
モデルの北あけみは、太るのがイヤだからステーキを注文しないが、値段のことは気にしてない。
学生の団令子も、太るのがイヤだからステーキを注文しないが、こんな高いカレーと結構値段は気にしている。
中卒のお針子の星由里子は、仕事の日々でダイエットのことなんて考えたこともなく、とにかくお金がないから安いアイスクリームを注文する。
しかし1962年、半世紀も前から、東京のあるレベル以上の女性はダイエットを意識していたのだのは興味深い。

女性ということでは、若大将の母親がすでに死没してるのが設定の妙である。
恋のさや当てに実母が絡むと、変なエロスが混じって鈍重で面倒臭い展開になる。
堅物の父親と物分りの良い祖母と軽い妹という環境が、若大将の恋愛ゲームをからりと軽やかなモノにしている。 

今回もそうだが、東宝は日本で一番オシャレでスタイリッシュでモダンな作風だ。
キザなことやオシャレなことがリアルで自然に表現できている。
ハッキリ言えば、東映、松竹、大映、日活は、東宝に比べてかなりダサい(笑)。

今回で印象に残ったのは、青大将が銀座裏通りの洋品店で服を仕立てているのだが、その生地が婦人服用なのである。あえて婦人服用の生地で男性の背広を仕立てる。ここら辺がリアルにカッコイイ、当時の東京の本当のシャレ者たちのスタイルを上手く表現している。
田舎者、しかしカンの良い田舎者(笑)にはグサグサくる格差である。
こういう身に付いた本当の育ちの良さは、東映や日活には出てこない(笑)。
 

東宝加山雄三「銀座の若大将」VS日活小林旭「銀座旋風児」(その2)~民族派右翼は日本の戦争犯罪を許さない。 - 在日琉球人の王政復古日記

に続く。