陛下傘寿おめでとうございます。友邦の土人よりお喜び申し上げます。
しかし、「皇后」はともかく、「陛下」という呼び方が、天皇制にとって、本当にめでたいことだったのか?は、今になっては、なかなかに難しい。
現在、天皇の正妻を「皇后」と呼ぶわけだが、歴史上「皇后」という名称が定着していたわけではない。
最初期を除けば、平安時代以降から江戸時代まで、天皇の正妻はだいたいは「中宮」と呼ばれていた。
そして敬称は「中宮陛下」ではない。あえて言えば「中・宮」であって、「宮」が「陛下」に相当する敬称である。「皇后・陛下=中・宮」ということだ。
だいたいが、皇后だって「陛下」ではなかった。本来は「皇后・殿下」であり、通常は「中・宮」同様「皇后・宮」と呼ばれた。
江戸末期、天皇の正妻「皇后」という名称は、もはや遠い過去の神話となり、そのせいで明治政府は歴史に残る大失敗をやらかす。
実は、明治天皇には「皇后」がいない。
明治天皇の正妻は「昭憲皇太后」である。「皇太后」は本来「先帝の后」の意味だ。
ウソのような話だが、これは明治政府の「付け間違い」なのである。
有職故実が命ともいうべき皇室において、こんな初歩的ミスを犯すということは、その頃には「皇后」という名称があやふやになっていたのだろう。
つまり「皇后陛下」は非常に新しい敬称である。
実質的には明治から、形式的にはさらに遅れて大正から、「中宮」ではなく「皇后宮」でもなく「皇后殿下」でもなく、「皇后陛下」となったわけだ。
だから、天皇皇后「両」陛下、なんていう呼び方は、本来、あり得ない。
じゃあなんで「皇后陛下」なのか?、といえば、「天皇陛下」とバランスを取る為である。
なんで天皇・皇后でバランスと取らなければならないか?、といえば、国体上の必要ではなく、外交上の理由だ。
一夫一妻のヨーロッパ王室のシステムを真似たのだ。
皇后「陛下」とは、天皇陛下と一対になった「男女平等の精神」なのである。
その証拠は、上に写真を挙げた、天皇の高御座と皇后の御帳台である。
天皇の高御座は、いわゆる玉座であり、少なくとも奈良時代くらいから確認されている、まさに歴史と伝統のある存在だ。
しかし、皇后の御帳台なんてもんは、奈良時代どころか、江戸時代にも、明治にすら、なかった。
だいたいが、高御座が「たかみくら」と訓読み、「御帳台」が「ミチョウダイ」と音読み、という時点でバランスがおかしいのである。
それまで「御帳台」という言葉は、単なる貴人の座所、寝所という意味で、皇后専用の言葉ではなかった。
皇后の御帳台は、男女平等、一夫一妻、天皇皇后両陛下となった、大正時代に初めて作られた。路面電車よりもガス燈よりも新しい近代文化なのだ。
これらの「近代化」が、敬称や御帳台だけならまだ良かったのだが、(ヨーロッパに習って)本当に一夫一妻制まで採用してしまう。
明治天皇にはたくさん側室がいた。大正天皇も正妻・昭憲皇太后の実子ではなく、妾腹である。
しかし大正天皇は愛妻家かつリベラル(笑)だったらしく、形式上一夫一妻を守った。
次の昭和天皇も輪をかけて愛妻家かつリベラル(笑)だったらしく、一夫一妻制、さらに側室廃止を制度化してしまう。
これは一男性としては麗しい決断ではあるが、ここに近代天皇制最大の危機を孕む事になる。
側室がいなくなったせいで「男子出生確率」が格段に低下してしまうのだ。
これが「男子出生の低下」ではなく「男子出生確率の低下」であることが、問題を「ステルス時限爆弾化」してしまった。
「確率」ということは、たまたま男子が生まれれば、まるで問題が無いように見えてしまうのだ。
大正天皇も昭和天皇も今上陛下もたまたま男子に恵まれた。しかしこれは「たまたま」なのである。いつかは男子の生まれない夫婦の時代が来る。それが現在の東宮ご夫妻である。
男系男子継承。
この理屈を維持するには、必須条件として、側室、メカケ、第2夫人、つまり一夫多妻制が大前提なのだ。
一夫多妻制を取らない限り、男系男子継承は不可能なのである。
一夫一婦制では、男系男子継承は、確率的に、いつか、崩壊する。
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つまりは、伝統ある名称「中宮」を新しい名称「皇后陛下」へ変更させた政治理念(男女平等・欧州模倣)が、一夫一妻制、側室廃止に行き着き、皇位継承問題に火を付けることになったわけだ。
もちろん、明治以降、近代社会に突入した日本において、皇室がいつまでも公式に側室制度を維持することは不可能だっただろう。
しかし、側室がいない=男子が生まれ難いという問題が表面上は見えない「ステルス時限爆弾」化してしまったせいで、昭和時代の皇室典範が危機管理不全のまま改正されてしまった。
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皇后「陛下」のもう一つの火種は「女系天皇」への可能性を開いたことだ。
戦後の皇后および皇后予定者は、血筋的には、皇胤ではない。公家でもない。一般庶民の出自つまりは百姓だ。皇族でもない百姓の女性を「陛下」と呼んでいるのである。
結婚すれば、百姓の娘でも、過去の血筋と無関係に、皇族の皇子と同等の崇敬の念を持つ。となれば、息子の孫、娘の孫、男系と女系を区別する理屈が無くなる。
夫と妻で差別はいけない、男性と女性で差別はいけない、となれば、男系と女系を差別する根拠が無くなる。
親王と内親王は、医学的には、同等に、天皇の血筋を引いている。
となれば、親王の息子・娘も、内親王の息子・娘も、同等に、天皇の血筋を引いている。
じゃあ、男系天皇と女系天皇を区別する根拠はどこにあるのか?、という厄介な話になるのである。
となれば、そもそもの話の始まりであり、天皇と皇后の同格化、「両陛下」という呼び方が、そもそも諸悪の根源だったということになる。
欧米経由の男女平等の精神の発露である「皇后陛下」という名称こそ、皇位継承危機の始めの一歩だったわけだ。
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