在日琉球人の王政復古日記

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名調子・小林節節(セツ・ブシ)「長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」~敵に回すとヤな男(笑)

やっぱ、「芸」の力というのはある。踏んだ舞台の数の違いというか。

 

長谷部恭男や笹田栄司はおそらく「専門書を書く人」「生徒を教える人」であって、

テレビと一般雑誌で鍛えた「一般人向けに喋る人」「討論でやりあう人」である芸人・小林節とは、やはり得意分野が異なる。

 

双方の資質の違いが如実なのは、ここら辺だ。

 

憲法学者から思わぬレッドカード 安保法案審議に影響か:朝日新聞デジタル

 小林節・慶大名誉教授は、今の安保関連法案の本質について「国際法上の戦争に参加することになる以上は戦争法だ」と断じ、平和安全法制と名付けた安倍晋三首相や政府の姿勢を「平和だ、安全だ、レッテル貼りだ、失礼だと言う方が失礼だ」と痛烈に批判した。

 長谷部氏が「(憲法9条に抵触する他国との)武力行使の一体化が生ずるおそれは極めて高くなる」と発言。

小林氏は、戦争への協力を銀行強盗を手伝うことにたとえて、こう皮肉った。

 「一体化そのもの。長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」 

 

ここだけ切り取ると、長谷部より小林の方が徹底した護憲派・アンチ自民に思える。 

しかし実態は逆である。小林は昔からの改憲論者なのである。

 

自民は長谷部恭男に何を期待したのか?/小林節をチョイスした民主のセンスは合格~集団的自衛権 - 在日琉球人の王政復古日記

 

実際、今でも改憲を否定していない。

 

衆院審査会:想定外の「違憲」 与党「野党に利用された」 - 毎日新聞

 一方、民主党が推薦した小林節慶応大名誉教授は、憲法9条以外の改正を優先させようとする自民党の姿勢に「『お試し改憲』も本気なら賛成だ」と一定の理解を示した。

 

リベラル護憲派のクセに、長谷部は「違憲だ」「9条違反だ」「戦争だ」とズバリは言えない。「~可能性が高い」だの「~恐れがある」だのダラダラした発言になる。

 

しかし芸人・小林は、もともと改憲派で、今も改憲を否定していないのに、

「(安保法制は)戦争法だ!」

「(言葉遊びの安倍ちゃんは)失礼だ!」

「(集団的自衛権は)銀行強盗の共犯だ!」

とズバズバ過激な言葉で自民党を不愉快にさせる発言をカマす。

いや改憲派だからこそ、自民党の強さと弱さをよく知っているのだ。

 

改憲賛成の部分も、よく読めば自民党への皮肉である。

 「『お試し改憲』も本気なら賛成だ」

改憲は本来「お試し」でやるような軽いものではない。

つまり安易な改憲スタンスを「あんなウンコみたいな自主憲法案、キミたち、まさか本気じゃないよね(笑)?」と馬鹿にしてるのだ。

 

マジメな長谷部は、堅い話しか出来ず、聴衆から笑いを取れない。

しかし芸人・小林は、いろんな表現で、聴衆を笑わせる話芸を持っている。

著作の内容では長谷部の方が高度で知的かもしれないが、「喋り」なら素人と玄人、雲泥の差がある。

 

特に、この部分は、まさにテレビと一般雑誌で鍛え上げた「小林節節(セツ・ブシ)」の名調子炸裂である

小林氏は、戦争への協力を銀行強盗を手伝うことにたとえて、こう皮肉った。

 「一体化そのもの。長谷部先生が銀行強盗して、僕が車で送迎すれば、一緒に強盗したことになる」 

「よっ!セツさん!待ったました!」と大向うから声が飛びそうだ(笑)。

 

かつて、小林はこの名調子で、護憲派や左翼をコテンコテンに馬鹿にしていたのである。敵に回せばヤな男である(笑)。

 

ただし、ここまで自民党をコケにしていても、彼は完全護憲論者ではない。

マジメで、誠実で、知的で、正しい、そんな改憲なら賛成のはずである。

 

小林の言う通り、集団的自衛権は、銀行強盗になる可能性はある。

ゆえに、銀行強盗にならないように、知的で誠実で真剣な努力が必要なのである。

しかし、こんな議論しかできないこの国の民と政治家にその努力ができるのか?

・・・小林が言いたいことはそういうことだろう。