在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

共同通信VS読売新聞~不気味な「安倍首相が世界遺産登録で韓国への譲歩・妥協を外務省に指示」報道の行方。

なんだか、「悪い予想」が当たりそうな雰囲気である(笑)。

 

「安倍首相が世界遺産登録で韓国への譲歩を外務省に指示」という、なんだか《気持ちの悪い》ニュース。 - 在日琉球人の王政復古日記

で、このニュース、読売、産経、日経、朝日、毎日、東京、有力一般紙はどこも扱っていない(雑なネットサーフィンなんで、見落としていたら申し訳ない。また、実際の紙面には掲載したかもしれないが)。

ただ、このあと続報が何にもなく、朝日も、産経も、テレビも、安倍政権も、野党も、当の共同通信すら、続報もせず、後追いもせず、フレームアップもせず、また反論も否定も抗議もせず、「そんなニュースは初めから無かった」かの如く、全員で沈黙する、なんて気持ちの悪い結果になる可能性も、ないとはいえない(笑)。

 

いまだに、報道したのは共同通信と、その二次流通である毎日系のスポニチと産経系のサンスポだけ。

左だけ報道した、でも、右だけ報道した、でも、ない。

 

ライブドアだの、ニコニコだの、はスポーツ新聞より格下の三次流通メディアなんで、カウントしてもしょうがない。海外?のFOCUS-ASIA.COMも基本は共同通信そのまま。

 

2105/07/21現在、いまだに、朝日も毎日も産経も日経も独自報道をしてないし、首相官邸共同通信の報道を否定したという情報もない。

 

まるで、そんなニュースは初めから無かった、かの如くである(汗)。

 

関連するニュースをざっと探してみたら、

これもまた共同通信で、世界遺産登録の舞台裏に関する検証記事があった。

で、読売にも、同じような検証記事があった。

内容はほぼ同じ。

ただこの2つ、決定的に重要な部分が異なる。

 

長いんだが、リンク切れ対応のため、コピペ。

 

【検証・「明治日本の産業革命遺産」世界遺産登録】交渉、一時決裂寸前に 韓国陳述案に外相激怒 : 47トピックス - 47NEWS(よんななニュース)

政府は「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が今月5日に決定するまで、可否を審査する世界遺産委員会の求めに応じ、歴史認識問題を理由に登録阻止へ動く韓国との落としどころを探り続けた。だが交渉は難航を極め、一時は決裂寸前の状態に陥った。舞台裏を検証した。
 ▽危機感
 6月30日、外務省の大臣室。「何だ、このペーパーは。だから韓国は信じられない」。岸田文雄外相は激怒し、韓国が世界遺産委で読み上げる予定の意見陳述案を放り投げた。日本側が登録対象施設での朝鮮半島出身者の戦時徴用を「forced labor」(強制労働)と認めたとの趣旨が書かれていた。
 戦時徴用は国際法が禁じる強制労働に当たらないというのが、歴代政権の立場だ。韓国の陳述内容が独り歩きすれば、ありもしない国家犯罪の責任を国際社会から追及されかねない―。岸田氏が抱いたのは、こうした危機感だったとされる。
 伏線があった。19日のソウルでの日韓外務次官級協議。杉山晋輔外務審議官はキム・ホンギュン外務次官補との激論の末、日本側の陳述に「forced to work」(働かされた)を盛り込むことで折り合った。双方が受け入れられる「ぎりぎりの線」(政府筋)と受け止めたからだ。
 協議の際、杉山氏は「韓国側の陳述も同じ表現にするのが筋だ。文案を渡してほしい」と要請した。21日、岸田氏は来日した韓国の 尹炳世 (ユン・ビョンセ) 外相と会談。遺産登録に向けた日韓の立場について「完全に一致した」と記者団にアピールしたが、文案はまだ届かなかった。
 ▽言質
 韓国から陳述案が届いたのは6月29日。翌30日、文面を見て怒りを募らせた岸田氏は「日韓交渉を打ち切り、世界遺産委では採決による決定も辞さない」(外務省幹部)との考えに傾斜する。
 採決になれば委員国を「日本派」と「韓国派」に分断することになり、日韓歴史問題が国際化しかねない。否決され、日本がメンツを失うリスクもある。それでも採決を検討せざるを得ないほど「日本は追い詰められていた」(日韓外交筋)。
 潮目が変わったのが7月2日だ。岸田氏は尹氏との非公式電話会談で、韓国の「不誠実な対応」(同)を追及。「今回の話を対日賠償請求問題に絡める考えはない」との言質を引き出した。「決裂になれば、尹氏は更迭される可能性がある」との情報も踏まえた「強気のやりとり」(日本政府関係者)だった。
 ▽混乱
 翌3日夕、官邸。安倍晋三首相は岸田氏らを呼び、交渉で韓国と合意するよう指示した。ドイツで同日始まった世界遺産委では、日韓間でなお文言をめぐる協議が続き、4日の採決日程が先送りされたが、韓国が「forced labor」を削除した陳述案を提示。首相は了承した。
 これを受けドイツでは5日、日韓共に「forced to work」と表現。全会一致で登録を決議し、日本はかろうじて目標を達成した。
 だが、問題は沈静化しなかった。韓国の主要紙が6日付で「日本が強制労働の事実を国際社会で初めて認定した」と大々的に伝えた。自民党の関係部会は17日、今回の対応を批判する申し入れ書を作成。政府内には、混乱の責任を押し付け合う動きもちらつく。
 交渉に携わった外務省幹部は「悪い結果ではなかったと思うが、世論の判断にゆだねるしかない」と漏らした。
共同通信

 

土壇場韓国案、事前合意とずれ…遺産登録舞台裏 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 世界文化遺産への登録が5日決まった「明治日本の産業革命遺産」では、戦時中に一部施設で働いた朝鮮半島出身の徴用工の説明を巡り、日本と韓国が外交戦を繰り広げた。

 日韓関係改善の糸口になるはずだった遺産登録は、双方に後味の悪さを残す結果となった。関係者の証言を基に舞台裏を検証した。

 6月28日、ドイツ・ボンで開かれた国連教育・科学・文化機関(ユネスコ世界遺産委員会の開幕日。日本政府代表団に衝撃が走った。

 韓国側がこの日示してきた委員会審議での声明案で、徴用工について「強制労働(forced labor)だったと日本が認めた」と表現していたからだ。施設を奴隷の輸出港になぞらえる文言もあり、政府高官は「とんでもない内容だ」と憤りをぶちまけた。

 「強制労働」は、国際労働機関(ILO)の強制労働条約で禁じられているが、戦時中の徴用は例外だ。そのため、政府は「戦時中の徴用は強制労働に当たらない」(菅官房長官)との立場を一貫して取ってきた。韓国が徴用工を「強制労働」と表明すれば、世界的に注目度の高い世界遺産委員会で、日本の立場を完全に否定することになる。

 そもそも、韓国が土壇場で示してきた声明案は、日韓間の調整で合意していた内容からかけ離れていた。

 日韓両国は6月21日の外相会談で、「明治日本の産業革命遺産」の登録に向けて協力することで一致した。委員会開幕日の28日までの事務レベル協議で「brought against their will and forced to work」(外務省仮訳=その意思に反して連れて来られ、働かされた)との表現で折り合っていた。「強制性」にこだわる韓国に配慮した内容だった。

 日本側が声明案に反発したにもかかわらず、韓国はその後も委員国に「強制労働」があったとして働きかけを続けた。このため、安倍首相は今月1日、外務省の杉山晋輔外務審議官をソウルに送り、韓国政府高官に声明案修正を求めた。2日には岸田外相が韓国の尹炳世ユンビョンセ外相に電話し、「会談で合意した基本認識に立ち戻ろう」と呼び掛けた。

 しかし、現地のボンでは韓国側による働きかけが続いたため、日本側は韓国が登録に反対する事態に備え、投票に持ち込むことも覚悟し、委員国への根回しを進めた。審議予定日の4日になっても日韓間の調整はつかず、議長国ドイツは「コンセンサス(全会一致)で決めたい」と日韓双方に話し合いによる解決を促し、審議は翌日に持ち越された。

 最終的に、韓国は声明案で日本側が問題視した部分を取り下げることで決着した。登録決定直後の5日夜、岸田氏は外務省で記者団に「forced to workとの表現は強制労働を意味するものではない」と強調した。

 一方、同じ5日夜、尹外相は韓国外交省で記者団に「日本政府は、韓国人などが自らの意思に反して過酷な条件下で強制労役した事実があったと発表した」と述べた。翌6日付の韓国主要紙も「強制労役動員、日本が国際舞台で初の認定」(最大手・朝鮮日報)などと1面で報じた。 

 

共同も読売も、基本、岸田外相と外務省が主役で、安倍ちゃんは1回づつしか登場しない。しかし、その登場する日付も異なるし、アクションも異なる。

 

7月1日の出来事。

読売:

安倍首相は今月1日、外務省の杉山晋輔外務審議官をソウルに送り、韓国政府高官に声明案修正を求めた。

共同:特に無し。

 

7月3日の出来事。

読売:特に無し。

共同: 

翌3日夕、官邸。安倍晋三首相は岸田氏らを呼び、交渉で韓国と合意するよう指示した。

 

同じ事象を取材しても、記事にすると、こういう部分が異なってくる。

量的にも質的にも、取材した内容を全部紙面に載せることはできないわけで、何を選んで、何を捨てるか、何が重要で、何がどうでもいいか、それが記者と編集の技量というか才能というか、思想の表れである。

これが、世の中には立場の異なる複数のメディアがあるべき理由である。

 

読売の記事なら、安倍ちゃんは「交渉しろ」と言っただけで「譲歩した」とまでは読めないが、

共同の記事なら、現場の外務省を指揮する岸田外相の親分であり、最終決定者の安倍ちゃんが「合意しろ」と命令したことになる。

 

読売新聞の記者の取材メモの「7月3日」の内容が知りたいものである。

そこに、共同通信と同じ内容が書かれていれば、ほぼ決定的だろう。

そして、7月3日の出来事は対して重要ではない、と判断した読売側の理由も興味のあるところである。

 

ネトウヨの皆さんも、アンチ安倍の皆さんも、落ち込んだり、怒ったり、喜んだりするのは、もう少し待った方がイイと思う。