在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

乱取り(日本の戦国時代の奴隷狩り)は「白人による人種差別」なのか?~豊臣秀吉は同胞愛あふれる愛国者か?

昨今のNHK大河ドラマでは、主人公の戦国武将が愛や平和を訴えたりする。

「なんで、戦国武将が平和主義者なんだ? まるで21世紀の人間じゃないか。当時の人間がそんな考え方はしないだろう!」という苦情がおこる。 

 

戦前の日本が朝鮮半島を植民地にしたことや、帝国陸海軍が朝鮮人慰安婦を利用したことを、戦後になって日本の左派や韓国人が批判する。

「当時は、国家が植民地を獲得することも、売春も、普通に認められていた。そういう時代だったのだ。今の倫理で過去を裁くのはおかしい!」という反論がおこる。

 

私も基本的に賛成である。

 

だから、こういうのも、なんだかなあ(笑)、である。

戦国時代の日本と、明治以降の近代日本を、ゴッチャにしてないか?

 

この人、政治学者なんでしょ? 

そこらへんを厳密にしないと社会科学じゃないよね?

・・・あ、他の発言を読んで、納得。

「そういう」タイプの政治学者か(笑)。

 

日本人奴隷の存在に激怒した愛国者・豊臣秀吉

 それは、豊臣秀吉が、日本における奴隷制の強烈な反対論者だったという事実だ。

 奴隷制というのは、日本の内部の話ではない。戦国時代、多くの大名たちが欧米人との間で奴隷貿易を行っていた。これも教科書に記載されていない重要な事実だ。
 多くの日本人が奴隷として売りとばされ、哀しい想いをしていた。これに関して、豊臣秀吉は激怒し、キリスト教の宣教師に対して詰問する。

「予は商用のために当地方に渡来するポルトガル人、シャム人、カンボジア人らが、多数の日本人を購入し、彼らからその祖国、両親、子供、友人を剥奪し、奴隷として彼らの諸国へ連行していることも知っている。それらは許すべからざる行為である。よって、汝、伴天連は、現在までにインド、その他遠隔の地に売られて行ったすべての日本人をふたたび日本に連れ戻すよう取り計らわれよ。もしそれが遠隔の地のゆえに不可能であるならば、少なくとも現在ポルトガル人らが購入している人々を放免せよ。予はそれに費やした銀子を支払うであろう。」

私自身、この秀吉の言葉を知ったのは、奴隷について一生懸命研究するようになった後だ。多くの日本人は、愛国者であり、日本人を奴隷とすることに断固として反対した秀吉の姿を知らないはずだ。
 先に引用した言葉を何度も読み返してほしい。
 私は非常に真面目で、同胞を想う秀吉の愛国心、同胞愛が滲み出たよい言葉だと思う。
 何故、教科書では、こうした豊臣秀吉の功績を記載しないのだろうか。
 伴天連追放令が出されたことだけを取り上げれば、まるで秀吉がキリスト教を弾圧しただけのような話に聞こえるが、この伴天連追放令の前段階で、キリスト教徒たちによる奴隷売買に秀吉が激怒しているのだ。
 こうした事実を記さなければ、「伴天連追放令」に至る理屈が理解できないだろう。

人種差別の歴史は根深いが、私たち日本人の先祖が奴隷として売りとばされていた事実を多くの国民は知らない。

こうした過酷な事実を知ることは、大きく日本史を眺める際に重要なことだろう。

教科書で「南京事件」「慰安婦」の問題が取り上げられることは多いが、こうした豊臣秀吉の功績については、問題にすらされていない。

 

まず、奴隷売買、といったって、言葉も通じないポルトガル商人が日本列島のあちこちの戦場を西へ東へウロウロしながら、自分たちで日本人を狩って/買っていたわけではない。

だいたい、日本の無法地帯を、奴隷を買うカネ(金か銀か)をしこたま持ってウロウロしていたら、ポルトガル商人の方が真っ先に、完全武装の日本人から略奪されるだろう。

 

ポルトガル商人は、京か堺か博多かは知らないが、比較的治安良好な都市にいて、奴隷を売りに来るのを待ち受けていたのである。

じゃあ、その都市まで奴隷を売りに来るのは、どこの誰か? 

アメリカ人でも、韓国人でも、支那人でも、トリニダードトバゴ人でもない。

戦国時代の日本で、日本(列島)人奴隷を売りに来るのは、おそらく100%日本(列島)人である。

 

つまり、戦国時代の日本(列島)人が、戦国時代の日本(列島)人を、略奪・誘拐して、ポルトガル商人に売ったのである。

たとえるなら、大日本帝国の御世、朝鮮人の女衒(売春婦周旋業者)が、朝鮮人女性を、金銭か甘言かは知らないが、朝鮮半島で調達して、戦地の帝国陸海軍に軍属していた慰安所営業者に売却したのと、大枠で同じだ。

 

というか、そもそも、ポルトガル商人が来日したから、いきなり日本で人身売買が始まったわけではない。

それが証拠に、いわゆる「山椒大夫」、説経節の「さんせう太夫」「安寿と厨子王丸」は、ポルトガル商人がやってきてから生まれた説話ではない。

ヨーロッパ人がやってくるはるか前から、日本列島では、日本(列島)人が、日本(列島)人を、人間狩りして、自分たちで使役するか、別の日本(列島)人に売っていたのである。

そこに、ポルトガル商人という新たな需要先が出てきたので、国内消費用の日本(列島)人奴隷の一部が、輸出用になっただけの話だ。

 

つまり、日本人(黄色人種)が、同じ日本人(黄色人種)を、奴隷にしていたのだ。

その一部(黄色人種)を、ヨーロッパ白人が買ったからって、

これを「人種差別」と呼ぶのが、妥当なのだろうか?

 

そして、奴隷狩りを組織的に大規模にやっていたのは、メジャーなところで、武田信玄上杉謙信伊達政宗織田信長徳川家康、マイナーなところで、管領細川氏や九州の小豪族、などなど全国津々浦々の、いわゆる戦国武将の皆さんほぼ全員だと考えて間違いない。もちろん彼らは人種的にはほぼ100%日本人である。

 

そして、豊臣秀吉だって、奴隷狩りをやっていた。

秀吉が奴隷反対論者なんでウソである。

実際、秀吉の部下が奴隷狩りをやってるんだから 。

 

秀吉が、奴隷を売買したポルトガル商人に怒ったのは、

平成大河ドラマみたいな博愛主義ではなく、また、この政治学者?のセンセイが唱えるような、同胞愛でもなく、愛国主義ナショナリズムでもなく、

おそらく、奴隷という、国内の貴重な「資源」が海外に流出することへの反発だろう。

 

何しろ、秀吉は「天下人」なんだから、日本列島は彼の「私物」だ。

日本列島で産出・生産するモノは、金も銀も銅も、コメもムギも材木も、陶器も日本刀も工芸品も、そして男や女や子供つまり労働力も、全部、秀吉の財産だ。

それを、ポルトガル商人が安値が買い叩いて、海外に持ち出すのは、秀吉のサイフから万引きするのと同じことなのである。

 

国の富とは「ゴールドの保有量」だと考え、国内にゴールドを溜め込み、海外流出を阻止する考え方を「重商主義」というらしい。

秀吉も、奴隷の存在を否定したわけではなく、奴隷を富として認めていたのだろう。そして富であるからこそ、富=奴隷の海外流出を嫌ったのである。貴重な奴隷は国内に溜め込みたかったのだ。いわば「奴隷重商主義」である。

 

もしも秀吉が凡百の地方の戦国大名なら、日本列島全体の富なんてどうでもいい。

自分が儲かればそれでいいわけで、だったら他の戦国大名の領民を奪って、海外に売ってもイイわけだ。

そして、信玄も謙信も独眼竜も、地方大名はその通りしてきたのである。

だいたい、近代以前の戦国時代に「愛国者」も「ナショナリズム」もクソもない。

 

そして「同胞愛」というのも、考え難い。

だって、秀吉の六十余年の人生は、ずーっと「日本人殺し」の毎日だったのである。この愛国者?は、生涯トータルでいったい何万人の「同胞」を殺したのか?

それも、慈愛ある殺し方ではない。目的のためなら手段を選ばず、血も涙もない、残虐無比である。

有名なところでは「鳥取の飢え殺し」だ。秀吉は毛利軍の篭城する因幡鳥取城を包囲して兵糧攻めで、残酷が普通の戦国時代ですら記録に残るほどの壮絶な飢餓地獄を作り出した。

血縁の甥の秀次も、邪魔と決まれば、一家眷属、河原で打ち首、皆殺しだ。

これが、「同胞愛」あふれる男のやることか?

 

秀吉を奴隷廃止に動かしたのは「愛」ではない。「経済」である。

秀吉は天下人になったので、日本全体の利害を考えないといけなくなったわけだ。

そして日本全体を考えるならば、奴隷狩りの儲けよりも、そのための戦争コストの方が大きい、戦争して人心を疲弊させ国土を荒廃させるより、奴隷じゃない平民の平和状態の労働の方が富が増加する、じゃあ戦争は止めましょう、というのが、豊臣政権のネクストステージとなる。

 

その発想を受け継いで、日本列島全体のバランスを考えて政治をやったのが徳川家で、だからこそ260年も日本列島を経営できたのである。

それを「パックス・トクガワーナ」(徳川の平和)と呼び、

戦国時代までの中世日本は、鬼畜外道、極悪非道の「北斗の拳」状態だったが、

江戸時代こそが、人間がやっと人間らしい生活ができ、庶民文化の華が開いた、最も幸せな時代だった、

という意見もあるわけだ。

 

天国か地獄かは知らないが、秀吉だって

「前近代に生きた、このオレが愛国者なら、敵対した小田原北条氏明智光秀柴田勝家徳川家康売国奴になるのか?」

「後代の大日本帝国を遠回しに弁護するのに、同胞?の日本人を何万人もブッ殺して、天下を奪った、このオレを『日本人は倫理的に優れている!』という自分ヨイショの材料に使うの、ちょっと、おかしくね?」

と苦笑しているだろう。

 

以上、大雑把ですが、私は「学者」じゃないので、こういう風に考えます、ハイ。