在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

ヤクザの義兄弟~土木工事が産んだテクノロジー宗教秘密結社(東洋編)~儒教のライバル「墨家」。

古今東西、戦争というのも「土木建設工事」が大きな部分を占める。 
古代支那においても、特異な「テクノロジー」集団が誕生した(らしい)。

 

六代目山口組分裂~ヤクザと同じ「母体」から生まれた秘密結社その1~自由な石工「フリーメーソン」。 - 在日琉球人の王政復古日記

の続き。

 
支那文明の創成期にして、(その後の支那の歴史を見ると(笑)、どうやら)絶頂期だった春秋戦国時代諸子百家が登場する。
皆さん名前くらいはご存知の、孔子とか老子とかそういう人たちだ。

 

支那思想の主軸はやはり儒教である。孔子さんの思想を如何に発展させるか、如何に批判するか、で支那思想史は形成される。
儒教が中心で、それを批判する老荘思想、またさらに別の方面から批判する法家が、今も残る「三大派閥」となるだろうか。
 
しかし、そのどれにも属さない異形の思想集団も生まれて、そして消えた。

 

 

「楊朱・墨翟の言、天下に盈つ。天下の言、楊に帰せざれば、則ち墨に帰す」(楊子と墨子という2つの「異端」が大流行している)と、孔子の最有力後継者である孟子が批判し、

「世之顕学、儒、墨也」(最も流行しているのは儒教墨家だ)と、諸子百家の最終的な優勝者・韓非子が認めた、

 

謎の思想家・墨翟=墨子の作った、軍事テクノロジー集団「墨家」である。
 
※話はズレるが、孔子支那におけるソクラテスだとすれば、孟子プラトン韓非子アリストテレスになるのだと思う。
※さらにズレるが、墨子と並び称された楊朱=楊子こそが、おそらく人類史上最古のリバタリアン思想家であり、私がいちばん好きな人物でもある(笑)。
 
世間一般には完全な無名だったが、「墨攻」という小説・マンガ・映画のおかげで少しは知られるようになった。
彼らは思想集団であると同時に戦闘軍団でもあり。「兼愛=人民平等・世界平和」「非攻=侵略戦争反対」の立場から、逆に戦争技能を磨き、弱小国の防衛戦争に加勢した。だから東西南北どこへでも移動した。
戦争技能は武器製造や築城を意味する。彼らは職人であり技能集団であり、土木建設工事のエキスパートでもあったわけだ。

ヨーロッパのフリーメイソンと似た部分がある。  
 
滅亡してしまっただけに、墨子の詳細は不明なんだが、残った文献からすると、どうやら儒教から枝分かれしたようだ。墨翟は孔子と同じ魯国出身のようで、儒教を学んで、そこから批判的に思想を形成したらしい。というのも、墨子の主張は「儒家のココが間違ってるから、儒家と違ってオレたちはこう思う」という形式の説明が多いのだ。
 
儒家は礼学重視・実学軽視。墨家は礼学軽視・実学重視。
儒家アベノミクス(笑)で財政出動墨家はドイツのメルケル(笑)で緊縮財政。
儒家は実際の親子関係から「帰納」的に「愛」を発見して、社会に発展させる。墨家はこうあるべき理想から「演繹」的に、ジョン・レノンの「イマジン」みたいな普遍性博愛を主張する。
儒家は血統による国家運営を否定しない。墨家は出身ではなく才能で選抜されたエリートによる国家統治、まるでプラトン哲人政治か、レーニンの共産党独裁みたいなアブナイ(笑)主張をする。
 
 
何しろ実際に戦争をするわけだから、集団内部の命令系統は軍隊と同様だ。
墨家の活動は文字通りの命懸けであり、戦死は当然としても、防衛戦争に失敗したら、有限実行の墨家の名誉と信用を守るため、責任をとって集団自殺までしたようだ。
現実の姿は、葬式の拝み屋(笑)だった儒家たちとは、集団の統制も、心構えも違う。

 
反戦平和のはずなのに、博愛のはずなのに、身分差別反対なのに、命を軽視するようになる、ここらへんもフランス革命ロシア革命と似ている。
墨家の逆転現象は、われわれの時代も無関係ではない。
 
墨家の子弟関係は、学問の先生と生徒であり、職人の親方と徒弟であり、軍隊の上官と兵士でもあり、さらに教祖と信者みたいな絶対性もあったようだ。
 
生まれた場所は違っても、墨子の盟約に従い、これからは生きるも死ぬも一緒。
こっちは知ってる人も多い、ご存知三国志の「桃園の誓い」、劉備関羽張飛が義兄弟となった逸話ととソックリである。

墨家は滅亡した、ということになってるんだが、どうもその精神は、表舞台から消えて、裏街道に流れたのではないか?と思われるふしがある。

 

オレとオマエは義兄弟、義理が重たい男の世界、任侠といえば日本のヤクザだが、支那にも武侠小説のような、義理・人情・義兄弟の世界がある。というか、あっちが本家である。

三国志なら黄巾の乱太平道、その後も、五斗米道だの、白蓮教だの、太平天国だの、支那では政治危機があると宗教的農民反乱が勃発する。

その思想的バックボーンは、道教だったり、仏教だったり、キリスト教だったりするのだが、どうも、その組織の本質は墨家思想からの流れではないのか。

生きるも死ぬも一緒だぜ!という墨家の発想こそが、任侠の源流なのではないか。

 

彼ら宗教反乱の思想的末裔から、戦前の上海の闇を支配した「青幇」みたいな、チャイニーズマフィアが誕生する。

実は、孫文の国民党も、毛沢東共産党も、本質は秘密結社であり、マフィアの青幇と同質で、太平天国黄巾の乱とも同じで、その源流は墨家ではないか?

 

つまりヤクザの元祖は、兼愛・非攻の墨家ではないか?と思っている。 

 

(まとめ)六代目山口組分裂~ #山口組 #弘道会 #山健組 #宅見組 #住吉会 #幸平一家 #稲川会 #山梨侠友会 #道仁会 #浪川睦会 - 在日琉球人の王政復古日記