在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

アメリカとイスラムが殺し合う理由なんか何にも無かった~すべてはイギリスとナチスが産んだ不義の子イスラエルの後始末。

日本人の皆さんは、もちろん、近くに住む隣人、韓国人や支那人琉球人に対しては、イロイロと複雑な感情もあるだろう。それは当たり前のことで理解できる。

 

しかし、日本人の皆さんは、遠く離れた地域の人々、たとえば、クロアチア人や、ボリビア人や、ジンバブエ人や、アゼルバイジャン人や、パプアニューギニア人を、ことさら憎む理由はあるだろうか?

 

成功なら「心臓部への一撃」=米軍の「ジハーディ・ジョン」攻撃―英首相 (時事通信) - Yahoo!ニュース

キャメロン英首相は13日、米軍がシリアでモハメド・エムワジ容疑者(通称ジハーディ・ジョン)を標的とした攻撃を行ったことについて声明を出し、「攻撃が成功したとすれば(過激派組織)『イスラム国』の心臓部への一撃」だと述べ、米国に謝意を表明した。
 ただ、「攻撃が成功したかどうかは、まだ確かでない」として、同容疑者の生死が依然確認されていないとの認識を示した。
 首相は、エムワジ容疑者が「野蛮な殺人者」で、攻撃は「正当防衛であり正しいことだ」と強調。英国や同盟国に危害を加える者には断固たる姿勢で臨むと改めて警告した。 

 

アメリカ人とイスラム原理主義者との間の憎悪と殺し合い。

 

しかしだ、なんかおかしくないか? 

お互いに、お互いが住んでる地域は隣接してない。地球の裏側同士だ。

原点に立ち返って、冷静に考えてみよう。

この対立、そもそも、最初から、根本的に、ナニかが、間違ってないか?

 

イスラム国ISISジハーディ・ジョンVSアメリカ創造博物館~「神の国」を目指す気持ちは同じ。 - 在日琉球人の王政復古日記

の続き。

 

最初に結論を書けば、アメリカ・イスラム両者間だけの話なら、歴史なら、

イスラムがアメリカを目の敵にする理由は何にも無かった。

アメリカがイスラムに派兵する理由も何にも無かった。 

お互いが、お互いに、遠い他人であり、好きになる理由もないが、憎しみ合う理由もなかったのだ。

 

コトの始まりは、アメリカには何の関係もなかった。

すべては、イギリスの第一次世界大戦における中東「三枚舌外交」、

それから、ナチス・ドイツユダヤ人虐殺ホロコースト

そして、明らかに無理スジだったイスラエル建国、

この3つの「無茶苦茶」の後始末を、それらの当事者でも責任者でも何でもなかったアメリカが肩代わりしているだけのトバッチリなのである。

 

アメリカ合衆国は、18世紀、アメリカ新大陸北部に建国された。

イスラムは、7世紀、中東に生まれ、旧大陸ユーラシア・アフリカに広がった。

アメリカは新大陸、イスラム旧大陸アメリカは18世紀、イスラムは7世紀。

 

両者、空間的にも、時間的にも、お互いにお互いのテリトリーがぶつからない。

本来なら、アメリカ人がイスラムを邪魔に思う理由も、イスラムがアメリカ人を怨む理由も、発生しようが無かったはずなのだ。もちろん親しくもならないが、別段ケンカする理由も生まれにくい関係なのである。

アメリカ先住民のように、アメリカ白人に土地を奪われた、なんていう歴史はイスラムにはない。

バルカン半島のように、イスラム勢力とキリスト教勢力が何百年も戦争していた、なんていう歴史もアメリカにはない。

 

アメリカは工業先進国で大量の石油を消費する。
イスラムは中東において大量の石油を生産する。

買いたい人と売りたい人、お互いにお互いがお得意さまであり、商売上の大事なパートナーだ。お互いにお互いの存在を必要としてるのである。

 

石油利権の争奪戦?

別にそんなものが絶対必要なわけじゃない。金を支払えば売ってくれるのである。売らなきゃイスラムだって収入が無いんだから。 

事実、日本などの東アジア諸国は、中東に軍隊を派遣していないが、ちゃんと石油を売ってもらっている。

アメリカだって、軍隊を派遣するコストを考えれば、普通にカネで買うほうが安上がりなのである。

ゆえに、アメリカとイスラムは、お互いに不倶戴天の敵同士ではない。

 

それなのに、双方が、世界をまたにかけて、憎み合い、殺し合う関係になってしまったのは、結局、イスラエル建国に行き着く。

 

聖書に記された中東の地に自分の建国したい。それはユダヤ人の勝手である。
ずっと住んでいたパレスチナ人と土地の奪い合いになり殺し合いになる。そりゃ当然そうなる。
同じイスラム周辺諸国パレスチナに加勢する。

ジハードや信者間の助け合い精神を唄うイスラムにとって、イスラムパレスチナ人に味方するのか?、異教のユダヤ人に味方するのか?、結論は決まっている。

 

イスラエルイスラムが殺し合うのは勝手だが、この時点で大西洋の向こう側にあるアメリカ合衆国は、この争いに何の関係も何の義理もない。
当時のアメリカ人の99%は、白人だけでなく黒人もヒスパニックもキリスト教徒であり、もちろん異教徒イスラムに味方するような親近感はないけれど、同じように異教徒ユダヤ教徒の味方をする義理もない。 
それどころか、ヨーロッパでも、アメリカでも、キリスト教社会において、昔からユダヤ人は差別の対象であり、キリスト教徒が血を流しても守るべき同胞ではなかった。

 

なのに、なぜか、キリスト教でもイスラムでもないアジアの第三者からはどう贔屓目に見ても、理屈の通らない無茶苦茶な横暴を押し通すイスラエルから、旧約聖書という2000年前の古証文を根拠に故郷を奪われた被害者であるパレスチナ人たちへの、一方的なイジメみたいな争いに、

ユダヤ教と根本的に教義が対立するはずのキリスト教プロテスタントが優勢のアメリカが、まるで家族のケンカに加勢するようかに一方的にイスラエルを支援したことで、

アメリカとイスラムの因縁が世界史上始めて発生する。

 

イスラエル建国60年。アメリカ建国240年。
イスラエル建国以前の180年間、アメリカの歴史の大半において、アメリカ人がイスラムと殺し合う理由なんかナンにも無かったのである。

 

戦後のアメリカは、政治的に、軍事的に、経済的に、イスラエルを支えてきた。

経済面だけでも、アメリカが莫大な補助金イスラエルに援助し続けている。

もしもアメリカが経済面のバックアップをやめれば、一瞬でイスラエル財政破綻・国家破産である。占領地入植の資金も出てこないし、ガソリンも買えないから軍隊も動かなくなる。というか食料も輸入できないから飢餓状態になる。

イスラエルはアメリカが面倒を見ないと消えてしまう「幻の国」なのだ。

  

だから、イスラエル建国は無茶苦茶だ、ユダヤ人は横暴だ、と言えれば話はカンタンだったのだが、イスラエル建国のきっかけの1つが、ナチスによるユダヤ人大量虐殺だったから、話がややこしくなった。

殺しまくったナチス・ドイツだけでなく、その前から長い歴史の中でユダヤ人を虐め続けていたヨーロッパ諸国には、ユダヤ人への罪悪感・負い目があり、イスラエル建国に反対するのは、倫理的、道義的に難しかったのである。

ヨーロッパとしては、ユダヤ人のやり方が無茶苦茶だ、パレスチナ人が可哀想だ、とは判っていても、正面切っての反論が難しかった。

そしてナチス・ドイツを逃れたユダヤ人が大量にアメリカに移住し、彼らの政治力が、それまでモンロー主義旧大陸のイザコザに無関心だったアメリカを、ヨーロッパや、中東や、イスラエルの利害に、首を突っ込ませるようになる。

 

ユダヤ人が「世界の田舎者」アメリカを「世界の警官」に改造したのだ。

 

無茶苦茶なナチスさえなければ、無茶苦茶イスラエルもなく、

無茶苦茶なイスラエルさえなければ、無茶苦茶イスラム原理主義もなかった。

 

つまり、もしナチスユダヤ人を殺さなければ、イスラエル建国もユダヤ人のやりたい放題には出来なかったし、イスラエル建国が小規模かつ穏健だったなら、アメリカの出番もなく、イスラムもアメリカを敵とすることなかった。

 

イスラエルが無ければ、アメリカの中東政策もなく、アメリカの過度のイスラエル贔屓・イスラム弾圧への鬱積した不満から生まれたイスラム原理主義も、ここまで広範囲に発生するはずもなかった。

 

アメリカのど真ん中のトウモロコシ畑で生まれた、ニューヨークの場所も知らないような、気のいいアンチャンが、海兵隊に入って地球の裏側のワケのわからない荒地で死ぬ必要なんてなかった。

 

植民地解放されたイスラム諸国もどんどん世俗化・穏健化が進み、イスラムの若者がテロリストになる理由もなく、うるさい親から隠れて、ご法度のビールでも飲んで、アメリカのポップミュージックでで踊ってればよかった。

 

アメリカの若者も、イスラムの若者も、もっと平和で、もっと自由だったのだ。

 

このトバッチリの始まりは、アメリカ人にもイスラムにも何の関係もない、ナチスホロコーストにある。

ナチスのやらかした災厄はこれだけではないが、ナチス滅亡から半世紀以上経っても、ナチスに関係ない中東やアメリカ新大陸に、本来生まれるはずの無かった争いの種を産みつけ、現在の国際情勢を縛り続けている。

 

そしてナチスの政権奪取は、ワイマール共和国の不安定にあり、それはイギリス・フランスの第一次世界大戦後の対ドイツ政策の失敗の結果である。

倫理的に言えば、第一次世界大戦のドイツと第二次世界大戦のドイツは異なる。

第二次世界大戦ナチス・ドイツはどう見ても倫理的にアウトだったが、

第一次世界大戦ドイツ帝国は、倫理的に英仏とはどっこいどっこいで大差はなかった。

それなのに英仏は、戦争に負けただけのドイツ帝国を過度に虐め過ぎた。それがナチスの反撃につながる。

その第一次世界大戦はなんで起こったかといえば、大きくいえば、それまで世界をコントロールしていた大英帝国がついに衰亡し始めたからだ。

世界のリーダーだったイギリスがダメになり、次のリーダー・若いアメリカに交代する、その権力の空白期間に、運悪くか、必然か、イギリスとドイツの利害調整が失敗したのだ。

 

もしも、第一次世界大戦がなければ、ロシア革命も、共産主義政権も、ナチスも、ホロコーストも、イスラエル建国も、イスラム過激派も、なかった(かもしれない)。

逆に、

共産主義の現実の大失敗がないんだから、21世紀になっても、世界の人々にとって共産主義は希望の星であり続けたかもしれない。

 

ナチスがなければ、キリスト教徒が反省する機会がないから、ヨーロッパでもアメリカでも、大虐殺ほどではないにしろ、今でも欧米であからさまなユダヤ人差別は続いただろう。

イスラエルは、仮に成立しても少数の入植者程度で、今とは逆に、少数のユダヤ人が多数派のパレスチナ人に頭を下げながら暮らすことになる。

イスラムも近代化・世俗化が進む。一部に復古主義者も出るだろうが、イスラエルもなく、アメリカ軍も来ない、そんな中東なら、共感する人も少ないだろう。

 

そんな世界で、大日本帝国琉球諸島朝鮮半島支那大陸がどうなっていたか?

うーん、良い事ばっかり、とも言えない気がする(笑)。

 

イスラム版「坂の上の雲」~オスマン帝国の幕末、それぞれの明治維新、それぞれの尊皇攘夷、それぞれのハルノート。 - 在日琉球人の王政復古日記