在日琉球人の王政復古日記

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《慰安婦映画列伝》日活「春婦傅」(1965)~鈴木清順まる出し(笑)。時代は反体制。


Story of a Prostitute (1965) Japanese Trailer - B&W / 4:18 mins

 

たった15年でこうも変わるものか。

東宝「暁の脱走」1950年

日活「春婦傅」1965年

 

《慰安婦映画列伝》新東宝「暁の脱走」(1950)~GHQ「慰安婦はエロチックだから映画にしちゃダメ!」 - 在日琉球人の王政復古日記

 

原作は同じだ。しかし、映画の質が全然違う。

 

2015年の今から15年前というと、2000年。

変わった面もあるが、あんまり変化は無かったような気もする。 

 

「暁の脱走」は、戦後の作品といっても、作ってる人たちが戦前の人間で、やはり戦前の映画と同じテイストである。

話のテンポというか、カメラワークというか、演技・演出というか、明らかに今の日本映画とは異なる。

 

朝鮮への視線~息子加山雄三の戦後1962年東宝映画「日本一の若大将」VS親父上原謙の戦前1936年松竹映画「有りがたうさん」 - 在日琉球人の王政復古日記

 

しかし、春婦傅」となると、今の日本映画とほぼ同じだ。戦後の映画なのだ。

映画に作家性というか、監督の特徴が色濃く出ている。

様式美というか、ケレン味というか、リアリティよりアバンギャルドというか、欧米志向を一周回って土俗回帰というか、「春婦傅」はまさに鈴木清順まる出し(笑)である。

 

ライアン・ゴズリング=日活無国籍アクション(笑)~ラ・ラ・ランド=東京流れ者(渡哲也/鈴木清順)~ドライヴ=ギターを持った渡り鳥(小林旭) - 在日琉球人の王政復古日記

 

あとは時代背景もある。

1950年はGHQの時代。

1965年は戦後高度経済成長時代。そして安保闘争がまだイキイキしていた、反体制の全盛時代である。映画のほうも、戦争批判を飛び越えて、天皇批判まで行き着いている。

 

もう、「エロ禁止」とチャチャを入れてくるGHQの検閲はないし、

まだ、ネトウヨ、じゃねえや(笑)、保守派は元気なかったし、

慰安婦の描写も詳細になっている。

 


慰安婦とは何者か 古き映画に見る慰安婦(その1)

 

ただし、まだフェミニズムの影は見えない。

やはり左翼とはいっても「男の論理」なのである。

 

(まとめ)昭和銀幕絵巻★慰安婦映画列伝 - 在日琉球人の王政復古日記