平成の御世、憲法改正が視野に入ってきた。
しかし、そもそも、憲法は【誰のための法】なのか?
「誰のため」なんて書くと「国民のため」なんて答えになりそうなんで(笑)、
「誰へ向けての」法なのか?と表現したほうが判りやすいかもしれない。
あるいは、もっとぶっちゃけて「誰の行動を縛る」法なのか?「誰に対する命令なのか?」と言うべきか。
例として、近年、法律的に結婚してない男女間に生まれた婚外子(非嫡出子)の遺産相続分を、法律的に結婚している男女間に生まれた嫡出子の「半分」としている民法の規定に「憲法違反」という判断が最高裁で下された。
その判断が良いのか?悪いのか?は別に論じるとして、
婚外子相続を批判してる「インチキ保守」は単なる「馬鹿サヨク」である(その1)~亡国憲法下の新民法が「日本の伝統」(笑)? - 在日琉球人の王政復古日記
婚外子相続を批判してる「インチキ保守」は単なる「馬鹿サヨク」である(その2)~「東京裁判批判、女系天皇批判」と矛盾する支離滅裂。 - 在日琉球人の王政復古日記
そもそも、この判決は誰へ向けての判決なのか? つまり誰を裁いたのか?
最高裁は、ヨソで中出ししてガキを作ったオヤジを裁いたのではない。
メカケの子供に遺産を分けなかった本妻一家を裁いたのではない。
メカケの子は本妻の子の半分、と規定した「民法」自体が裁かれたのだ。
くだけて言えば、本妻一家が悪いのではなく、「民法が悪い!」ということだ。
その理由が「憲法違反」である。
実は、中出しオヤジも、本妻一家も、彼ら彼女らがどう頑張ったところで、憲法を違反できない。非嫡出子も同様で、何をやっても憲法を違反できない。
他にも、ブラック企業だの、DVだの、イジメだの、人種差別だの、強盗だの、殺人だの、これらは明らかに憲法に規定された人権への侵害ではあるが、民間の個人または法人が日本国民に危害を加えても、憲法違反にはならない。
憲法9条は武力での問題解決を放棄しているが、
六代目山口組だろうが、神戸山口組だろうが、任侠団体山口組だろうが、稲川会だろうが、住吉会だろうが、ヤクザがチャカを振り回しても、マシンガンをぶっ放しても、憲法9条違反にはならない。
中核派や解放社に、革マル派が前進社に、お互いに爆弾を仕掛けようが、お互いの頭蓋骨をバール潰し合おうが、憲法9条違反にはならない。
創価学会の精鋭部隊が目障りな大石寺の本門戒壇の大御本尊を焼き尽くそうと火炎瓶を投げても、逆に日蓮正宗の特攻隊が池田大作先生をマトに掛けるため日本刀片手に信濃町に突撃しても、憲法9条違反にはならない。
あの、オウム真理教のサリンテロだって、憲法9条違反ではないのだ。
ヤクザや過激派やオウムを含めて、日本国民は、どうやっても、憲法に違反できない。
憲法に違反できる(可能性がある)のは、民法だの、政府だの、安保法案だの、自衛隊だの、ようは国家・政府・公務員だけなのである。
そして、憲法9条に違反できるのは、今のところ、自衛隊だけなのだ。
つまり憲法は、「国民の行動を縛る」ためにあるのではなく、「国家権力の行動を縛る」ためにある。
だから、自民党の自主憲法草案に「家族を大事にしよう」だのと余計なことが書かれていることに、専門家から批判が多かった。
なぜなら、国家は家族を持てないからだ。持てないモノを大事にしようがない。
家族を持てるのは生身の人間=国民だけであり、そして、憲法は人間=国民を縛るためにある法ではないからだ。
じゃあ、国家でなく、生身の人間=国民を裁くのは、ナニか?
法VS人間~刑法は犯罪を禁じていない~近代は自由意志・自己責任のネオリベ思想。 - 在日琉球人の王政復古日記
に続く。