2015年、イスラム国ISISの支配地域に入り込んで、誘拐され、殺害された湯川遥菜氏、後藤健二氏に関して、ネット世論ではこういう意見が多かった。
「身代金、自分で払わせれば良い」「危険承知していた」 拘束された2人にネットで吹き荒れる「自己責任論」 : J-CASTニュース
2015/1/21
しかし結果は人質として拘束され、日本政府には計2億ドルという法外な身代金が要求されることとなった。ツイッターをはじめ、ネットでは「そもそも行くなって言われてんのに行ったのは自己責任でしょ」「もし払うなら自己責任は明白なので自分で払わせれば良い。危険地帯を承知で出かけているのだから」と「自己責任論」が吹き荒れている。
昔、イラク戦争のときも、日本人3名が、イラクに入り込んで地元勢力に誘拐された事件があった。その時も、ネオリベ思想である「自己責任論」が沸騰し、被害者は「イラク3馬鹿」と呼ばれた。
私は一概に「ネオリベ」を否定しない。保守主義や社会主義と同様、ネオリベ=自由市場経済も否定しがたい思想である。
「自己責任論=ネオリベ」こそ反戦平和。通り魔や狂犬やイスラム国ISISやヒトラーが何をやろうが傍観すればいい。 - 在日琉球人の王政復古日記
しかし、21世紀のイラク戦争やイスラム国ISISで通用する理屈ならば、戦前の支那大陸でも同様だろう。
通州事件で虐殺された日本人(と朝鮮人)被害者の恐怖と苦痛と悲惨は想像を絶する。
絶するが、当時の支那が内戦続き、政情不安で治安最悪なんてことは、被害者たちは肌身で知っていたはずである。それでも、そんな危険な支那に居留し続けたのは、被害者たちの自由意思だ。
つまりは、湯川遥菜氏、後藤健二氏同様、自己責任論ではないのか?
#通州事件 ユネスコ記憶遺産~連合赤軍は日本軍か?~真珠湾攻撃は日本人部隊か?~アメリカ第442連隊戦闘団は日本軍か? - 在日琉球人の王政復古日記
#通州事件 被害者は日本人100名朝鮮人100名~新しい歴史教科書をつくる会は韓国と共闘すべき。 - 在日琉球人の王政復古日記
の続き。
通州事件は、その被害者数の多少より、その被害状況というか殺し方が異常であって歴史に残っている。
拷問、強姦、死体損壊、人格否定、品性下劣、極悪非道、鬼畜外道の極みであった。記録を読むだけで胸糞が悪くなる。
でも、支那人がそういう残虐行為をやりかねない住人だということは、なにしろ「食人・人肉食」が平気で書物に載っている歴史が教えてくれるし、もう何年も現地で付き合ってきた日本人朝鮮人は実体験で承知していたはずなのである。
ネット世論の論理ならば、知っていて居留を続けた自己責任ではないのか?
そして、そういう残虐は、何も支那人だけが突出していたわけでもない。
通州事件は1937年だが、半世紀前の1879年まで、日本でも、打ち首・磔・獄門・晒し首が刑罰として実行されていたのである。
半世紀といえば、今から、最初の東京オリンピックくらいの時間間隔である。そんなに大昔でもない。
江戸時代はもちろん、明治初期まで、「晒し首」とあるように、槍で突き殺された死体が、切り取られた首が、腐るまで、住民の日常生活の見える範囲で公開されていたのである。
言葉というのは、文字というのは、物事をソフトに加工してしまう。
磔・獄門・晒し首、と言葉「だけ」だと平気で吞み込みやすいが、それが、現実には、どれだけ気持ちの悪い光景か、直接に画像は張らないが、リンク先をつけておく。それこそ「自己責任」でご覧ください。
大河ドラマで戦国武将が活躍するが、彼らの戦場も、チャンバラ映画のような華麗なダンスではない。彼らが実際にやったことは「首取り」「耳削ぎ」「鼻削ぎ」だ。上記の画像のような、気分が悪くなる「死体損壊」が日本中に溢れていたのである。
通州事件は残虐だし、支那の歴史も残虐だが、日本だってキレイだったわけではない。
もう一つ関連するのが、通州事件当時の日本人朝鮮人居留民の商売である。
そんな危ない支那のど真ん中で、彼らはいったい何をやっていたのか?
全員ではないが、一番儲かったのが「阿片」密売である。彼ら相手に商売していた飲食業や売春業や各種サービス業まで含めれば、かなりの居留民が阿片でメシを食っていたことになる。昭和にはいると「ヘロイン」も加わった。
取り締まりは形だけだ。冀東防共自治政府も、日本の支那駐屯軍も、黙認していた、というか、そこからの上がりを吸い取っていたのである。
消費者は支那人である。支那人の巨額のカネが日本人朝鮮人に流れていた。
新しい歴史教科書をつくる会の皆さんは、ユネスコに、どこまで詳しい情報を申請するつもりなのか?
「原住民相手に、麻薬を密売して儲けていた入植者たちが、麻薬の儲けを山分けしていた山賊同然の武装ヤクザに、むごたらしく殺されました」
これを、どういう意味の記憶遺産として残したいのか?
麻薬は殺人を誘発する。それも残虐な殺人だ。
残虐は支那の専売特許ではない。21世紀のメキシコもドッコイドッコイだ。
これも「自己責任」で。
mexico drug war dead body - Google 検索
明治の獄門、通州の虐殺と、メキシコ麻薬戦争の日常はほとんど遜色がない。
そもそもが、イスラム国ISISが湯川遥菜氏や後藤健二氏や、その他多くの人間を殺した方法も「斬首」なのだ。
もう画像は張らないが、オレンジ色の囚人服の首無し死体の腹の上に、ナマ首をドンと置いた画像は、検索すれば出てくるだろう。
麻薬の大洪水を防ぐために、メキシコ国境に万里の長城を築き、
イスラム国ISISのテロを防ぐために、イスラム/ムスリムを入国禁止にする、
と主張している。
共和党員が熱狂しているが、彼らの熱狂を馬鹿の一言では済ませられない。熱狂するだけの切実な理由はあるのだ。
もちろんトランプさんはムチャクチャである。
だからといって、メキシコ麻薬組織やイスラム国ISISがムチャクチャでないことにはならない。
同時に
もちろんメキシコ麻薬組織やイスラム国ISISはムチャクチャである。
だからといって、トランプさんがムチャクチャでないことにはならない。
もちろん通州事件はムチャクチャである。
だからといって、戦前の日本の大陸進出がムチャクチャでないことにはならない。
同時に
もちろん戦前の日本の大陸進出はムチャクチャである。
だからといって、通州事件がムチャクチャでないことにはならない。
歴史とは、記憶とは、そういうバランスで遺産になるべきだろう。
《保存》三笠宮崇仁親王殿下、大東亜戦争(支那事変、南京事件)かく語りき。 - 在日琉球人の王政復古日記