分裂しようとしたSMAPを晒し者にしたジャニースよりも「山口組の方が分裂できるだけ民主的」という意見があるそうな。
まあ、意見を書いたご当人も、ヤクザが民主的なわけがないことを判って書いた皮肉だとは思うが、
去年、山健&宅見の神戸山口組が、六代目山口組から分離独立に成功したのは、山口組が民主的だからではない。
それが証拠に、山口組では、過去に、今回と似たような騒動があった。
三代目田岡組長の跡目を巡って、四代目山口組と一和会に分裂した。このときは、両者共存ということにはならなかった。双方で殺し合いとなり、四代目山口組は一和会を叩き潰した。ジャニーズがあらゆる手段で女性マネージャーを潰したのと同じである。
昔の四代目山口組は一和会組を潰せたのか?
何が違うのか? それは「暴対法」だ。
四代目山口組VS一和会の時代は、暴対法がなかったので、戦争が可能だった。
六代目山口組VS神戸山口組の今は、暴対法で、戦争が不可能になったのだ。
だから、暴対法で「平和化」「民主化」したのは西日本の山口組だけではない。
関東の稲川会でも、最近、紘城一家、六代目箱屋一家という、野球でいうなら3番か5番バッタークラスの主力団体が破門を受けたらしい。
昔なら、破門→親分引退→組解散→縄張りや組員は本家預かり、である。
しかし今回は両組織とも解散していない。生き残ったのだ。つまり山口組と同じく、分裂・共存というわけだ。
六代目山口組分裂~道仁会VS浪川睦会~稲川会VS山梨侠友会~関西・名古屋「2つの菱」共存時代か? - 在日琉球人の王政復古日記
いくら日本と韓国が仲が悪くても、両国の上からアメリカ(暴対法)が監視しているから、口論はできても、鉄砲は打てない、というのと同じだ。
逆に、アメリカがいなければ、日本と韓国は戦争できていたのである。
存続するSMAP、民主化しないジャニーズ――SMAP解散騒動の煮え切らない結末(松谷創一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
結果的に、飯島氏が離れ、SMAPは軍門にくだることになりましたが、今回の一件で広く知られることになったのは、メリー喜多川副社長の強権的な姿勢と、ジャニーズ事務所の強い封建性です。
(略)
芸能界では、一般と比べてもかなり特殊な慣行が続いていることは少なくありません。むかし見られたような暴力団の関わりは弱くなったものの、ジャニーズ事務所はブラック企業のようなパワー・ハラスメント行為を週刊誌で平気で開陳するほどにズレているのです。
芸能界は、ヤクザ社会と隣接した世界である。ルールはほとんど同じだ。
素見(ひやかし)千人、客百人、間夫(まぶ)が十人、地色(いろ)一人~結局、恵比寿マスカッツが一番正しかった。 - 在日琉球人の王政復古日記
しかし芸能界には、まだ「暴対法」にあたるモノがないので、分裂・独立したSMAPに対して、大組織ジャニーズが影響力を駆使して仕事を妨害したり、村八分に追い込んだりすることできる。
その妨害を突破できそうにないので、女性マネージャーは引退、SMAPは土下座したわけだ。
ということは、解決策は、芸能界に「暴対法」を作れば良い。
実は韓国では、すでにそういう法律があるらしい。
テレビで「公開処刑」を起こさないための“JYJ法”――SMAP騒動から考える芸能界の将来(松谷創一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース
こうした状況に業を煮やして、韓国の国会でついに放送法改正が審議入りし、昨年11月30日に満場一致で国会を通過しました。放送法ですから、それは主にテレビ局を縛る法律です。具体的には、第三者の圧力によって放送会社が特定の人物(ここではJYJ)の出演中止を禁止する規定です。違反すれば罰金も生じます。
韓国のJYJ法 ≒ 日本の暴対法 ということだ。
しかし、そもそも、なんで芸能界では、ジャニーズがSMAPを恫喝するようなやり方が通用してきたのか?
ジャニーズも、こうした業界でどんどん大きくなってきた芸能プロダクションです。芸能界とは、「ビジネス」といった横文字では簡単に片づけることのできない、ウェットな覇権争いがいまだに続いています。良く言えばそれは「義理と人情の世界」ですが、悪く言えば旧態依然とした「昭和の世界」です。
今回ジャニーズ事務所が結果的に見せつけているのも、30年近くも前に終わったはずのこの昭和の風景です。一族経営による管理で、業界内外を強圧的に支配するその姿は、まさに昭和の中小企業です。ファンや視聴者が強い抵抗を感じるのも、そうした時代錯誤の姿勢にほかなりません。
「義理と人情の世界」というのは正しい表現だが、
「昭和の世界」というのは、まったく正しくない。
昭和なんて「つい昨日の今現在」に過ぎない。
こういう世界は、こういうルールは、昭和ではなく、明治、江戸時代、いや中世からの伝統・因習である。
芸能界だけでなく、ヤクザの破門や絶縁も、何も特殊な業界の異常なルールではない。
昔の日本、どころか、前近代の人間社会は、われわれのご先祖の生活は、ジャニーズや山口組とほとんどソックリ同じような構造だったのだ。
ムラのオキテに逆らう者は、用水路の水は使えないし、産気づいても産婆さんはやってこない。
親方に逆らった鍛冶屋は、技術を教えてもらえないし、注文を回してもらえない。
新しい土地に行って仕事をしようにも、鍛冶屋の親方は他の鍛冶屋の親方と組合を作って商売を守ってる。
昔の芸能といえば、歌舞伎や落語や相撲となるが、師匠や親方に逆らったら、舞台や高座に上げてもらえないし、興行に組んでもらえない。
成田屋でトラブルを起こした役者は、成田屋とケンカしたくない高麗屋でも使いたがらない。
だからこそ、そういうトラブル解決のため、浅草弾左衛門のようなゴッドファーザーも必要とされたのだ。
助六(市川團十郎)VS意休(浅草弾左衛門)~助六由縁江戸櫻~河原乞食と皮革加工財閥の暗闘。 - 在日琉球人の王政復古日記
昔の役者なら、掘っ建て小屋を建てれば、全国どこでも芝居はやれたが、
テレビ時代となれば、チャンネル数は限られる。ジャニースは圧力をかけやすい。しかも個人でテレビ局をイチから作ることは不可能だ。
これらは、師匠や親方の横暴なのか?独裁なのか?
しかし、彼らにも言い分はある。
時間と金をかけて、弟子に芸を仕込むのである。そして一人前の芸人になってから、稼いでもらって費用を回収するのだ。それなのに、コスト回収前に独立されたら、師匠側に赤字が残るだけだ。
弟子は、手塩にかけて育てれば、必ず、成功して金を稼いでくれる保証はない。一人前にならなかったからって、それまでの授業料を請求するのは無理だ。そのコストは師匠や親方の丸損である。だからこそ、カネを稼ぐようになった弟子から、ある程度キックバックがないと、師匠や親方はやっていけないのである。
投資にはリクスが付きものだ。弟子はベンチャー企業みたいなもので、師匠や親方はリスク承知で投資する。もちろん失敗したら投資の損は覚悟だが、成功してるのにベンチャー企業がキャピタルゲインの支払い拒否なんてことになれば、ルールにも仁義にも反する。
これは近代の一般企業も同じような話である。
社員に転職の自由を認めろ!というのなら、
コスト管理のために、会社側にも社員解雇の自由を認めろ!となるだろう。
実際、日本の将来はそうなりつつある。安倍ちゃんが明言している。
CNN.co.jp : 安倍首相に単独インタビュー、日中関係やアベノミクス語る - (2/3)
ザカリア:今3本目の矢が難しいところだと言ったが、特に労働市場において、人を採用しまたは解雇することがより容易にならず、大胆な改革ができないならば、改革は全体的に失敗すると言って妥当か。
安倍首相:労働市場は、私も極めて重要であると思っている。同時に、労働市場は確かに国民との関係においてはセンシティブだから、しっかりと説明をしていくことが重要だと思っている。
私は労働市場については、働き方について、専門性を持った人、あるいは女性、またワーク・ライフ・バランスを変えていきたい人たちにとって柔軟性のある労働市場に変えていく。そして外国人においても、専門性を持った人たちが日本において活躍できるような、そういう日本に変えていく。
特に海外の企業にとって、雇用のルール、解雇等のルールも含めて、これが不明確だという批判もあった。それをさらにしっかりと明確にしていく。
表現はいろいろだが、要は、正社員の労働者の権利を減らして、会社側の解雇の自由を認めるということだ。
実際、そういう首切りを、倫理欠如・犯罪スレスレでアドバイスする、サイコパス社労士がすでに存在する。
SMAP独立は認める。
その代わり、
いつ転職するか判らない人間に仕事を教えるコストがもったいないので、技能のない人間は初めから雇わない。
雇っても、見込みのないヤツ、不要な人材は、保障無しに即時首切り。
それを、一般の労働者にも適応するのが、「雇用改革」「労働市場自由化」「解雇規制緩和」ということである。
こうなれば、SMAPの騒動は、エンタメニュースではなく、経済ニュース・政治ニュース・社会ニュースになる。
あなたもSMAPだし、無関係ではないのだ。