《リバタリアン映画列伝》東宝「下妻物語」(2004年)《ガーリームービー列伝》 #深田恭子 #土屋アンナ

2016.1.25

原克也裁判長は「舞台は準備不足で、土屋さんが稽古に参加したとしても公演は開催不可能だった。土屋さん側に非はない」として、甲斐氏の訴えを棄却した。

2016/1/27

　15歳で女優デビューした深キョンも、気づけば33歳。だが、三十路を超えても変わらぬ可愛さに、久々にその姿を見た人たちからは驚きの声が相次いでいる。

深田恭子演じる竜ヶ崎桃子こそ、政治思想的には、リバタリアンである。

リバタリアニズムというのは、小泉純一郎さんの郵政民営化などの「ネオリベ」をさらに過激にした、アメリカ共和党のまたその先、規制撤廃、市場経済、自由競争、小さな政府、安い税金または廃止、公共事業反対、社会福祉削減・廃止、麻薬自由化、同性愛不問、最終的には「政府の廃止」まで行き付く思想だ。

「お金持ち・勝ち組の思想」「社会ダーウィニズム」のように思われがちだが、その根底にあるのは「人間は、一人ぼっちで生きて、一人ぼっちで死ぬ」という徹底した、虚無的なまでの、個人主義である。

桃子は、自分の趣味(ロリータファッション)にしか興味がない。

その趣味に金と才能と時間をつぎ込んで後悔はない。

自分の趣味に他人は関係ない。他人にロリータファッションを押し付けない。

他人の趣味にも興味が無い。当然批判もしない。

逆に、ロリータを笑う他人も気にしない。笑うのは他人の自由である。

自分の趣味を正義・真実だなんて思ってない。他人の行動を悪・虚偽とも思わない。

他人の邪魔をせず、他人から邪魔されず、自分の好きなことを好きなようにする。

学校の同級生だろうが、友人だろうが、家族だろうが、他人が何をしようが／何をしなかろうが、全くどうでもいい。

離婚して逃げた母親を怨まない。ヤクザな商売の父親を憎まない。たとえ肉親でも、他人には他人の人生がある。

趣味のカネは自分の才覚で稼ぐ。パチンコだろうが、父親を泣き落としで騙して（実は父親に「物語」というサービスを販売している）小遣いをもらおうが、ショップから依頼された刺繍縫製作業だろうが、差別はない。

日本映画で、

「下妻物語」の竜ヶ崎桃子（深田恭子）に匹敵するリバタリアンは、

「仁義なき戦い・広島死闘編」の大友勝利（千葉真一）くらいだろう。

アメリカ映画にはリバタリアンがたくさん登場するので一人に絞れない。

乱暴に言えば、西部劇はほとんど全部がリバタリアン映画である。

好きな映画で言えば、ジョン・カーペンターの近未来（すでに近過去）ＳＦアクション「ニューヨーク１９９７」「エスケープ・フロム・ＬＡ」の主人公・スネーク・プリスケン（カート・ラッセル）が、まさにリバタリアン。

「ロボコップ」は、主人公はリバタリアンではないが、映画の背景がリバタリアンである。

そして、松竹映画「砂の器」も、実はリバタリアンの戦いを描いた映画なのだ。

誤解してはいけない。リバタリアンはお金持ちの思想ではないのだ。