在日琉球人の王政復古日記

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禁酒・禁煙・禁大麻・禁珈琲・言葉狩り~トランプはオバマよりもマトモな人物か?

まず、「渡辺龍太」という人が、どういう人か知らないが、

この文章は書き方がウマイ=ズルイ(笑)。

 

トランプはオバマ大統領よりもマトモな人物だ : アゴラ - ライブドアブログ

2016/2/23

例えば、以前に、オバマ大統領は自伝で高校時代に、飲酒、喫煙、大麻、コカインを使用した経験を明かしています。そして、特に大麻についてオバマ大統領は「アルコールよりも危険が大きいと思わない」と発言し、現在、アメリカでは大麻の合法化が進んでいます。

一方、トランプ氏はというと、「どんなドラッグもやったことはなしし、アルコールも飲んだことがない。たばこも吸ったことがないし、コーヒーも飲んだことがない」と雑誌のインタビューで答えています。さらに、現在の大麻の合法化についても、多数決で決まった事なので尊重はするとは言いましたが、ドラッグには断固反対の立場です。

こういう部分を並べてみると、ドラッグが良くないと思うアメリカ市民であれば、トランプの方がマトモな人物に圧倒的に見えるのではないかと思います。むしろ、アメリカをドラッグに寛容な国にしているオバマ大統領に対し、「失言をしないなら、何をやっても良いのか!」という強い怒りがある人も大勢いるでしょう。

 

(略)

そうやって見てみるとドナルド・トランプという人物は、数千億円の資産を自力で築き、ドラッグはおろか酒やコーヒーにも手を染めず、家族の教育もしっかりとコントロールできる父親としても優れた人物に見えてきます。そういう部分に注目すると、既存の政治家は「結果」というのに興味がなく、失言か失言でないかという、実は「結果」とは関係のない「言葉狩りゲーム」にしか興味の無い人たちに見えてしまいます。

(略)

なので、日本のメディアはトランプの躍進をアメリカの終わりだとか、ポピュリストにアメリカが乗っ取られたとか、そんな論調でしか報じていません。しかし、少し視点を変えると、例えば、大麻解禁などを進めるオバマ大統領の方がポピュリスト的であるし、危険な人物に見えなくも無いのです。私は、トランプが大統領になれば、レーガン大統領の様に歴史に残る人物になる可能性も低くはないのではないかと思っています。

 

よーく読むと、「トランプはオバマ大統領よりもマトモな人物だ」と、渡辺龍太ご本人が主張しているわけではない。

トランプはオバマ大統領よりもマトモな人物だ」と、考えているアメリカ人も多数いる、と書いているだけで、渡辺龍太ご本人もそう思ってるかどうかは巧妙に明言を避けている。

まあ、明言は避けていても、ここまで書けば、言外にはトランプはオバマ大統領よりもマトモな人物だ」と渡辺龍太ご本人が思ってるのも同じだが(笑)。

 

または「ベッキーは悪くない!」的な逆張り商法かもしれないが。

 

まず最初に書けば、

私はトランプさんを典型的な「ポピュリスト」だと思うが、ポピュリズムも無視できない有力な政治信条であり、残ってる有力候補者の中で、トランプさんが最低最悪、とも思っていない。

 

あえて、並べるのならば、

ケーシック=ヒラリー>サンダース=トランプ=ルビオ>カーソン>クルーズ

かな?

 

「話の判るオヤジ」ケーシックは人間として一番マトモだと思うが、当選は無いだろう。あえてアラを探せば、内政はいいとしても、外交、安全保障に心配な面がある。

 

ヒラリーはたしかにウソ付きである。だからある程度安心だ(笑)。何十年も政治家をやってきて。それでもウソを付いてないとしたら、その方がウソだ。

それに、どうせいつかの時点で、「女性大統領」は実現しておかないといけないし、民主党左派の隠し玉・エリザベス・ウォーレンまで待つ手もあるが、今回で手っ取り早く実現しておいたほうが将来的にもいいように思う。

  

サンダース大統領は確かに見てみたい。

しかし授業費無償化なんて共和党多数の議会とトラぶるのは確実だ。サンダースの政策を憲法違反だと裁判に持ち出すだろうし、案外、議会を否定して拒否権を乱発する独裁者になりそうな気もする。アメリカは大混乱だろう。

 

カーソンは、国際政治で何がやりたいのか、よく判らない。彼のやりたいことは地方政治で十分ではないのか? 議員か州知事になればいいのに。

 

個人的な感覚で申し訳ないが、ルビオを共和党主流派とは呼びたくない(笑)。

この人、日本の新人議員と同じ匂いがするのだ(笑)。

キミ、その主張、バックヤードから言わされてるだけで、心からの信念じゃないよね?、という感覚だ。

同じ決めセリフを繰り返して、一部から「ロボット・ルビオ」と呼ばれたりしてるが、人間的魅力でいえば彼が一番落ちる。まだまだ修行が足りない。10年後に期待である。

 

ルビオに比べれば、クルーズはホンキである。彼は信念の人だ。彼はウソを付かない。彼の主張は信用できる。だから困る(笑)。狂人を演じてるのではなく、本当に狂人だからだ。

 

トランプさんは、クルーズとは逆で、イイ意味で信念=イデオロギーが無いから、選挙中に言ってることと、実際の政策がまったくの正反対、という希望(笑)がまだある。

就任してから、

「メキシコ国境の万里の壁?・・・メキシコと交渉中だけど、任期中は無理かも」

「不法移民追放?・・・彼らもかわいそうかも。とても任期中には終わらない」

とか言い出しそうである。

だから、

私は、トランプが大統領になれば、レーガン大統領の様に歴史に残る人物になる可能性も低くはないのではないかと思っています。

「歴史に残る」というご意見は、ある意味賛成である。

 

しかし、トランプさんはレーガンではない。外見や雰囲気が似てるからって(笑)、混同してはいけない。

印象とは逆に、トランプさんの信条は、レーガン、ブッシュ兄などの、アメリカが世界を管理するという「ネオコン」思想とはまったく正反対である。

 

トランプさんを右翼と呼ぶのは間違いだ。保守と呼ぶのはもっと間違いだ。

彼は、小さな政府じゃないし、実はオバマケアも否定していない。ウォール街を叩くし、弱者に厳しいわけではない。さらに共和党なのに共和党のタブー・イラク戦争もあからさまに批判している。アメリカ軍が外国のために死ぬことはないと思ってる人だ。リベラルな面も多い。

彼のホンネは、アイソレーショニズム(孤立主義)≒モンロー主義≒外国嫌い、であり、ジャパンもコリアもチャイナも貿易相手ということでは何の違いもなく、EUは好きにしろ、ウクライナも東欧も中央アジアもシリアもプーチンに任せとけ、遠すぎる南シナ海はチャイナにくれてやれ、中東もアフリカも基地外同士で殺しあえ、イスラエルが核ミサイルでも撃ったらどうだ、くらいに思ってそうだ。

とりあえず、ワンダーで楽しい4年間は保障付きである(笑)。

 

さて、それはそれ、これはこれ、だ。

 

じゃあ、多くのアメリカ人のご意見(渡辺龍太さんも言外に)が正しいのかどうか。

 

「どんなドラッグもやったことはなしし、アルコールも飲んだことがない。たばこも吸ったことがないし、コーヒーも飲んだことがない」

 

トランプさんの宗派はプロテスタントプレスビテリアン(長老派)みたいなんで、彼の禁酒禁煙は体質よりは信仰から来ている可能性がある。長老派は絶対の禁酒禁煙ではないが、禁欲を良しとする厳格な宗派だ。

たしかに、禁酒禁煙のプロテスタントの中から、勤労の思想が生まれ、有能なビジネスマンが誕生したのも事実だ、

そして、欲望むき出しのやりたい放題、アル中直行の大酒飲み、他人の迷惑を考慮しないヘビースモーカー、清原某のようなシャブ中は、たしかにマトモな人物」ではない。

しかし、禁欲ならマトモな人物」になるわけでもない。

 

禁酒が「マトモな人物」の証明になるのなら、キリスト教徒はイスラム教徒に劣る。

なぜなら、イスラム絶対禁酒だが、キリスト教は、東方正教カトリックプロテスタントの半分くらい、全体の4分の3以上は、飲酒を認め、禁酒ではないからだ。

ISISイスラム国の戦士は、お酒を呑まないが、同時に、敵の首を切り落とし、パリの街中で銃を乱射する。これが「マトモな人物」なのか?

 

アドルフ・ヒトラーという前世紀のドイツ人も、禁酒・禁煙、さらに肉食も嫌ったベジタリアンであった。マリファナもやってないだろう。

  

酒やタバコはともかく、コーヒーまで飲まないとなると、まるで末日聖徒イエスキリスト教会(モルモン)である。

じゃあ、禁酒・禁煙・禁珈琲のモルモンが正しく、モルモンを「異端」としている、飲酒喫煙OKのキリスト教多数派が間違っているのか?

モルモンが禁じてるのは、飲酒・喫煙・コーヒーだけではない。婚前性交渉も禁じてるし、オナニーも禁じている。

おおお、オナ禁・・・考えられん・・・ボンクラ小僧どもにはこの世の地獄だ。

他の問題はともかく、これだけは絶対認めないっ(怒)!

で、その禁欲モルモンの「マトモな人物」たちは、つい最近まで「一夫多妻制」を認めていたのである。それを禁じたアメリ連邦政府と銃撃戦の戦争までやった。

 

歴代の支那王朝に仕えた後宮の宦官たちは、男性のペニスを切り落とし、物理的に性的禁欲を強制された。

じゃあ人格が向上したか?といえば、一部には確かに人格者もいたが、まるで性欲を禁じられた反動のように、常識外れの金銭欲で国家財政を食い荒らす守銭奴や、楽しんでるとしか思えないくらい政敵を残虐に殺すサディストも多数生まれた。

 

革命前のロシアには、正教から異端と見なされた分派がイロイロあったが、中には、禁欲を目指すあまり、男はチンポを切り落とし、女性はオッパイを切り落とす「去勢派」という信仰セクトもあった。彼らも、なぜか金銭欲が異様に亢進したケースがあったようだ。

 

過ぎたるはなお及ばざるが如し(論語先進11-15)

 

過度の禁欲は、無制限の欲望と、あんまり変わらないのである。

 

古今東西問わず、「マトモな宗教」は、もともと欲望に弱い人間に、もちろん禁欲は説く。過度な欲望は人間をダメにするからだ。しかし無理のある禁欲も強制しない。

 

禁酒が行き過ぎて、禁酒法を作って、逆にマフィアを急成長させた。

強欲資本主義を打倒するはずが、ソ連支那は餓死者の山を築いた。

禁欲だから社会が正常になるわけではない。

 

コーヒー嫌いな人物が、好きな人物よりマトモな人物」だとは思えない。

もちろん、

コーヒー好きの人間が、嫌いな人物よりマトモな人物」だとも思えない。

つまり、コーヒーの好き嫌いなんかでマトモな人物」かどうかなんて判断できない、というのが「マトモな判断」なのだ

 

禁酒・禁煙・禁珈琲が間違っているのではない。

禁酒・禁煙・禁珈琲がマトモで、そうじゃない人はマモトではない、という判断が間違っているのだ。

 

ドラッグは、医学的・生物学な問題というよりは、文化的な問題なのだ。

医学的・生物学には、マリファナの中毒性よりも、アルコールの中毒性のほうが危険なのだ。

酒飲みが「危険な大麻を取り締まれ!」というのは、医学的におかしい。しかし文化的には正しい。多数の文化圏は、酒を認めて、大麻は認めてこなかったからだ。

 

文化的判断は、医学的判断と異なる。

しかし、文化は時代で変わる。

だから、認めてこなかった大麻を、認めるようになる変化もありうる。

 

江戸時代に、ちょん髷を結わずに、七三分けにしていたら、その人は、かなりの変人である。

と同時に、平成時代に、相撲取りでもないのに、ちょん髷を結っていたら、その人は、かなりの変人である。

 

この地球上は、メソポタミアの昔から、人間の全ての文明で「男尊女卑」だった。ほぼ例外は無かった。「男女同権」なんて言い出したのは、つい最近である。

だからといって、男女同権が間違いで、男尊女卑が正しい、とは普遍的には言えないように、大麻OKが間違いで、大麻NGが正しい、とは普遍的には言えない。

それは、その時点、その時点の、文化が決めることだからだ。

 

しかし、少し視点を変えると、例えば、大麻解禁などを進めるオバマ大統領の方がポピュリスト的であるし、危険な人物に見えなくも無いのです。

 

マリファナ解禁がポピュリストだというのなら、男女同権を言い出した人だって、その時代では十分、異常なポピュリストである。

黒人の権利も、黄色人種の権利も、白人と同じだ!人種差別反対!、だって、19世紀ならば、社会に迎合しない過激な主張のポピュリストだった。

じゃあ、時代を超えて、間違った主張だったのだろうか?

 

そういう部分に注目すると、既存の政治家は「結果」というのに興味がなく、失言か失言でないかという、実は「結果」とは関係のない「言葉狩りゲーム」にしか興味の無い人たちに見えてしまいます。

 

政治家は「言葉だけではどんな才能かわからない。試しに権力を与えてみよう」というわけにはいかない。危険が大きすぎるからだ。もう一度ヒトラーの名前を出すまでもないだろう。

未知の政治家の資質を判断するのに、ましてや選挙で選ぶ民主主義ならば、全てではないにしても、「言葉」が重要な判断材料になって当たり前ではないか。

 

子路曰く、衛君、子を待ちて政を為さば、子はまさになにをか先にせんとする。

子曰く、必ずや名を正さんか。

論語子路13-3)

 

政治は言葉だ。

孔子さんじゃなくても、特に保守を名乗る政治家なら、それが基本だ。言葉を大事にしない保守なんてありえない。

言葉が無茶苦茶な「自称保守」は、ファシストかポピュリストだと判断しても、それほど間違いではない。

 

それは言葉を受け止める側の態度にも言える。

トランプさんの発言に対する批判に「言葉狩りだ」と反論する人は、

オバマさんが失言したときに「たかが失言じゃないか。言葉狩りするな」と擁護してくれるのだろうか?

特定の政治家を言葉狩りだ」と擁護する人が、立場の対立する政治家を「言葉狩りだ」と擁護することは、あんまり無いのが、浮世の常なのである。

 

(まとめ)2016年アメリカ大統領選挙~ワシントンVSラジカルレフトVS宗教保守VSリバタリアンVSポピュリスト~オバマ、ヒラリー・クリントン、トランプ、サンダース、クルーズ、ルビオ、ブッシュ。 - 在日琉球人の王政復古日記