在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

法VS人間~日本戦犯企業強制徴用弁護VS光市母子殺人事件「ドラえもん」弁護~韓国人も日本人も近代人か?

朝日新聞を代表とする日本のリベラルがナショナリズムに警戒するのは、リベラルそれ自体がナショナリズムを批判・警戒・相対化する思想だからだ。

そして、インターナショナル、コスモポリタンとはとても言えない島国の日本人が、それでも他国よりナショナリズムへの警戒感が強いのは、なんといっても大東亜戦争の敗戦である。

日本人はむき出しのナショナリズムの行き着く果てを見てしまった。体験してしまった。

 

韓国人は正反対だった。大東亜戦争の敗戦からナショナリズムが復興した韓国人には、そもそもナショナリズムを警戒するトラウマがない。

民族・国家の南北分断も、暴走ナショナリズムの醜悪なデフォルメである北朝鮮も、韓国人にナショナリズムの反面教師的役割は持たなかった。

そして日本への対抗意識がナショナリズム増長への燃料を供給し続ける。

 

日本のリベラルは、ナショナリズムを反省・警戒する。

韓国は、リベラルすら、ナショナリズムを反省・警戒していない。

 

もちろん韓国の知識人にも、欧米や日本から輸入したナショナリズム批判はあるだろうけれど、しょせん切実なトラウマがなく、机上の空論だ。

一般庶民に至ってはナショナリズムを反省する、なんて発想が生まれようがない。

 

リベラルの朝日新聞と保守の産経新聞は、常に、対立しているわけではない。

安倍政権の評価や、憲法改正や、原発再稼動では対立するが、

サッカーワールドカップで勝ったり、オリンピックで金メダルを取ったり、ノーベル賞を取ったりすれば、朝日だって産経だって同じように好意的に報道するし、東日本大震災からの東北の復興に対しても朝日だって産経だって同じように応援する。

 

ワールドカップも金メダルもノーベル賞も、震災復興も、その根底にあるのはナショナリズムだ。

普段はナショナリズムに警戒する朝日だって、ナショナリズムの全面否定はできない。それくらいナショナリズムというイデオロギーは強靭なのだ。

 

韓国にもリベラルと保守があって、リベラルの代表格がハンギョレ新聞、保守の代表格が朝鮮日報である。

大韓民国の正統性や、北朝鮮への評価、朴姐さんを支持するか叩くか、韓国社会で労働者の味方か企業の味方か、ハンギョレ朝鮮日報の意見は対立する。

 

しかし、日本の金メダルやノーベル賞のように、ハンギョレ朝鮮日報が同調する話題がある。おなじみ(笑)イルボンの歴史認識問題である。

 

そしてナショナリズムの歯止めがない韓国は、日本に対しては、リベラルも保守もウルトラ・ナショナリズムが爆発する。 

 

日本「戦犯」企業を弁護する韓国最大の弁護士事務所 : 政治 : ハンギョレ

 国内最大のローファーム「キム・アンド・ジャン」が日帝日本帝国主義)強制徴用被害者が起こした訴訟で日本戦犯企業を代理していることが明らかになり、被害者の反発を買っている。 ほとんどが高齢の被害者が、日本戦犯企業に対抗してかろうじて進めている訴訟で、キム・アンド・ジャンを批判する声が上がっている。

(略)

 キム・アンド・ジャンの弁護は国民感情とも合わないと指摘される。 イ・サンガプ弁護士は「日帝戦犯企業の行為は韓日請求権協定論争とは別個であり、国際機構もいっせいに非難している犯罪だ。 韓国を代表するローファームが、日本戦犯企業の行為を弁論するのは、日帝強制占領期間の親日附逆(反民族的な親日)知識人の行動と変わりがない」と批判した。 これに対してキム・アンド・ジャン側は「裁判が進行中の事案に対して立場を明らかにすることはできない」と答えた。 

 

Chosun Online | 朝鮮日報

強制徴用:「韓国大手法律事務所が日本の戦犯企業弁護」
 「勤労挺身隊のハルモニ(おばあさん)と共に歩む市民の会」は16日、「日本の強制労働被害者たちが戦犯企業を相手取り起こした訴訟6件のうち、4件を韓国の大手法律事務所が担当している。社会と歴史の正義にかなう弁論をしてほしい」と要求した。

(略)

 また、「代理人に選任されてはいないが、ソウル高等裁判所で係争中の2件も一審の弁論を大手法律事務所が務めていた。誰でも弁護人の助けを借りる権利があるが、韓国最大手の法律事務所が日本の戦犯企業を弁護することが正しいのかどうか、疑問を感じる」と指摘した。

 

ハンギョレ新聞は、日本でいえば、朝日新聞よりもはるかに「左」で、週刊金曜日のスタンスに近い。

ハンギョレ紙面の、韓国の「国民感情とも合わない」とは、翻訳(笑)すれば、「韓国の民族主義・韓国人の愛国心に反する行為は許せない」ということだ。

たとえば、朝日新聞週刊金曜日「日本の民族主義・日本人の愛国心に反する行為は許せない」なんてことを主張するだろうか?

 

ナショナリズムを全面肯定する保守派から見れば、

なにかと愛国心を警戒・批判する日本のリベラルよりも、

無意識に愛国心を持っている韓国のリベラルのほうが、好ましいかな(笑)?

 

朝鮮日報の「社会と歴史の正義にかなう弁論をしてほしい」なんて、ナショナリズムの観点から、弁護士の義務である依頼人の利益を守るな!放棄しろ!、と言ってるのと同じである。

「弁護することが正しいのかどうか、疑問を感じる」に至っては、外国差別であり、近代裁判制度のあからさまな否定だ。

 

「日本企業は悪党だ。悪党に弁護も裁判もいらない。徹底的に叩け。」

 

近代思想に反する、ムチャクチャで、ヒドイ理屈である。

他人のやってることは客観視がラクだ。しかし自分を客観視するのは難しい。

はたして日本人は、上記の「韓国的勧善懲悪」から、離脱できているだろうか?

 

【光市母子殺害】13年後の審判(中)「ドラえもん」の衝撃 刑事弁護のあり方問う+(1/3ページ) - MSN産経ニュース

 「押し入れに、ドラえもんがいると信じていた。4次元ポケットで何とか(再生)してくれると思った」
 平成19年6月27日、光市母子殺害事件の差し戻し控訴審。本村弥生=当時(23)=と、生後11カ月だった長女の夕夏(ゆうか)を殺害した罪に問われた大月(旧姓・福田)孝行(30)は、夕夏の遺体を天袋に押し込んだ理由を、そう言い放った。
 事件から8年が経過し、26歳となっていた大月が初めて明らかにした“真実”に、傍聴人は唖然とし、弥生の母はうなだれた。
 予兆はあった。《無期はほぼキマリで、7年そこそこで地上にひょっこり芽を出す》《犬がある日かわいい犬と出合った。そのままやっちゃった。これは罪でしょうか》…。12年9月に始まった最初の控訴審で、検察は大月が知人にあてた手紙の内容を明らかにした。しかし「ドラえもん」の衝撃はそれを上回った。
 弁護団は19年5月の差し戻し控訴審の初公判で、弥生への乱暴を「死者を復活させる儀式だった」などと主張。大阪市長で弁護士、橋下徹(42)はテレビ番組で、主任弁護人の安田好弘(64)らが最初の最高裁の弁論(18年3月)に欠席したことにも触れ、「弁護団を許せないと思うなら、弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたいんですよ」と呼びかけた。

【光市母子殺害】13年後の審判(中)「ドラえもん」の衝撃 刑事弁護のあり方問う+(2/3ページ) - MSN産経ニュース

 ドラえもん」でバッシングは頂点に達した。懲戒請求は8千件を超え、弁護人の一部が「業務を妨害された」と橋下を提訴する事態に。当時の弁護団の一人は「『殺す』という脅迫を含む嫌がらせの手紙が毎日のように届き、無言電話が鳴り続けた」と振り返る。

(略)

 【光市母子殺害】13年後の審判(中)「ドラえもん」の衝撃 刑事弁護のあり方問う+(3/3ページ) - MSN産経ニュース

 「報酬を度外視して働く姿に敬意を払わなければ、凶悪事件を担当する人間は誰もいなくなる」。弁護団を擁護する声も上がっていた。しかし、結果は遺族の処罰感情をさらに峻烈(しゅんれつ)なものにした。差し戻し控訴審の意見陳述で、弥生の夫、本村洋(35)は「これまで起訴事実を大筋で認めていたが、うそだと思っていいのですか」と問いかけ「君の犯した罪は、万死に値する」と言い切った。

(略)

 量刑の減刑、真相解明、被害者側への配慮…。事件は、刑事弁護に何が求められるのか問い続けた。今枝は「『被告人の利益』が第一に考えられなければならない」と断言する一方で、自問する。「被告にとっての一番の利益とは、懲役期間が1年短くなることではなく、再びかかわっていく社会との『和解』にある。弁護団はそれを目指していたといえるだろうか」 

 

当時の橋下さんを批判し、近代裁判制度を擁護した、リベラルの朝日新聞週刊金曜日は、同じように、近代裁判制度を否定しているハンギョレ新聞や朝鮮日報に対しても、「あんたたちの理屈は、ナショナリズムの暴走であり、大日本帝国の理屈と変わらない」と批判すべきだ。

じゃなかったら、リベラルに普遍的な正義なんてない。

 

あなたは、光市母子強姦虐殺犯を弁護する行為を正しいと思うか?

ドラえもん」まで持ち出した弁護人を正しいと思うか?

それとも、弁護士を懲戒請求にかけろと扇動した橋下さんを正しいと思うか?

 

「強姦殺人は悪党だ。悪党に弁護も裁判もいらない。死刑にしろ!」

 

あなたは韓国人とどこが違うのか? 

日本人は近代人(モダーンマン)だろうか?それとも《土人》のままか?

 

法VS人間~「今のはストライクです」と申告するバッターはいない~弁護人の仕事を否定する《土人》は近代システムに向いてない。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

近代裁判制度は、もともと、素朴な感情に反するように出来ている。

なぜなら、素朴な感情ではなく、感情を排した理性で決めよう、というのが近代思想だからだ。

本来、かけがいのない「計算不能」な人間の生命や感情や価値を、懲役何年だの、賠償金何万円だの「計算可能」なモノに換金するのが、理性の仕事だからだ。

理性とは「冷酷非情」なものなのだ。

 

韓国人も、日本人も、琉球人も、人間にとって、近代人(モダーンマン)であり続けることは難しい。

だから近代人は、常に「ああ、昔の土人に戻りたい。理性ヌキで感情を爆発させたい」という欲望に誘われ続けることになる。

 

法VS人間~六代目山口組も神戸山口組も中核派も革マル派も憲法9条に違反できない。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

法VS人間~刑法は犯罪を禁じていない~近代は自由意志・自己責任のネオリベ思想。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

法VS人間~刑事裁判は、被告を裁いていない。検察を裁いている~近代VS反知性主義。 - 在日琉球人の王政復古日記