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在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

法の支配(rule of law)VS法治主義(rule by law)VSドゥテルテ大統領~フィリピン麻薬容疑者殺害=中国南シナ海侵略。

中国の海洋進出阻止で協力=岸田外相、比大統領と会談 (時事通信) - Yahoo!ニュース

2016年08月11日

 フィリピンを訪問中の岸田文雄外相は11日、南部ミンダナオ島・ダバオで同国のドゥテルテ大統領と会談した。
 中国の全面敗訴となった7月の仲裁裁判判決を踏まえ、南シナ海問題での「法の支配」や紛争の平和的解決が重要との認識で一致。両氏は、中国の強引な海洋進出の阻止に向け、今後も協力していくことを確認した。
 ドゥテルテ氏が日本の政府要人と会談するのは6月末の就任後初めて。沖縄県尖閣諸島周辺で中国公船の領海侵入が頻発する中、岸田氏の今回の訪問は、南シナ海で中国に国際法の順守を求めるフィリピンとの連携を再確認し、中国をけん制する狙いがある。
 岸田氏は会談で南シナ海問題について「法の支配が重要だ」と述べ、フィリピンの立場を支持する考えを示した。これに対し大統領は「判決を尊重したい。紛争解決に向け日本とともに努力していく。貿易面だけでなく、安全保障面でも協力を推進していきたい」と応じた。
 会談では、岸田氏が尖閣諸島周辺で中国公船の領海侵入が相次いでいる現状についても説明、理解を求めた。 

 

南シナ海における支那のやりたい放題に対しての、安倍ちゃん政権の外交を批判するつもりは全然ない。基本的には賛同している。

少なくとも、南シナ海においては、支那は悪党であり、フィリピンと日本は正義である。

 

しかし、そうはいっても、ロドリゴ・ドゥテルテ政権下のフィリピンに対して、「法の支配」の名のもとに日比結束、というのは、いくらなんでも、ブラックジョークが過ぎる。

 

ドゥテルテ政権は、

南シナ海においては「法の支配」を守る立場に立ってるかもしれないが、

フィリピン国内においては「法の支配」を守ってるとはとても言えない。

 

殺害したのは「たった1000人」 比大統領が国連の批判に反論 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

2016年08月18日

フィリピンロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は17日、麻薬容疑者の殺害を奨励して物議を醸している過激な犯罪取り締まり作戦で既に1000人以上が死亡していることについて、国連(UN)が批判するのは「ばかげている」と激しく反発し、内政干渉をしないよう警告した。
 中央政界での経験がほとんどないドゥテルテ大統領は5月、何万人もの犯罪者を殺害すると公約して当選した。フィリピン最大のテレビネットワークABS-CBNによると、大統領選後これまでに殺害された人数は1054人に上り、うち400人超が自警団を称する何者かに殺害されている。
 この政策について国連潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は6月、司法手続きを経ていない殺人は「違法で基本的人権と自由を侵害している」と述べ、ドゥテルテ大統領の姿勢を非難。国連の麻薬取締当局も今月、「大きな懸念」を表明した。
 しかし、ドゥテルテ大統領は17日行われた国家警察創設115周年式典で演説し、「なぜ国連はわが国の問題に安易に干渉してくるのか。(殺害したのは)たった1000人だ」と語り、批判が高まろうとも麻薬犯罪取り締まりは続行すると述べた。
 さらに、外国の人権団体に対しても「われわれをまるで犯罪者扱いして調査する」のはやめるよう告げ、さもなければフィリピンで良い扱いを受けられないだろうと警告した。

 

まあ、しょうがなかったとはいえ、最初の和訳が体系的でなかったのが原因ではある。

法の支配(rule of law)」と「法治主義(rule by law)」は、和訳も英語もよく似た言葉だが、対立する概念である。

大雑把に言えば、

 

法の支配(rule of law)」はイギリス生まれ。アメリカ合衆国のほとんどの州。

神は存在する。ゆえに、人間は、王様も権力者も含めて、神の下にあり、万能ではない。

人間が作る法の背景・根源・根本理念は、人間がこれから作るものではなく、神様がすでに作り終えている。つまり歴史の中に法の精神が潜んでいる。その「神の法」を「自然法」という。

人間世界の法はすべて自然法に基づく。仮に人間が正式の手続きで作った法でも、自然法に反する内容ならば無効である。

 

法治主義(rule by law)」はドイツ生まれ。フランスなどヨーロッパ大陸全般。

神はいない(少なくとも沈黙したまま)。ゆえに、人間が自力で一切合切を作り出すしかない。

法の背景・根源・根本理念は、しょせんは愚行の連続でしかない歴史には求められない。過去に比べて徐々に賢くなった現在の人間がその理性を駆使して理屈で作り上げなければならない。

その法の正しさを保証するのは、その作成手続きの正しさにある。人間世界の法はすべて自分たちで決めた手続きにのっとって作らなければならない。

「自然法」? それが絶対に正しいという根拠はどこにある? というか、そもそも自然法って具体的にはいったいナニを指すのか? そんなもんが本当に存在するのか? 本当に神様が実在するのか?

 

法治主義」を極端にすれば、手続きさえ正当ならば、どんな法も正しい。

たとえば「グルメとして人肉を食ってもいい」という法律は、「法治主義」ならありうる。しかし「法の支配」ならありえない。

法治主義」なら、法律さえ正式に作れば、人肉レストランも開業できる。

全権委任法の成立によって、何をやっても合法になったナチスが「ユダヤ人はユダヤ人であるから悪である」という理由でガス室に送って処分しても合法である。

しかし、「法の支配」なら、議会でナニを決めようが、人肉レストランは開業できない。

ユダヤ人だろうが何だろうが、そんなドイツ人にしか通用しない手前勝手な理由で人間を簡単に殺してはならない。なぜなら自然法に反するからだ。

 

いつの時代だろうが、どんな場所だろうが、いかなる理由だろうが、人間が人間を簡単に殺して許されるワケがない。人間が人間を殺すときは、それ相応の理由と、それ相応の手続と、それ相応の慎重さが必須である。つまり、原則として、殺人は悪である。これが「法の支配」となる。

 

法の支配(rule of law)VS法治主義(rule by law)~アメリカ軍VSトランプ~ハト派軍人VSタカ派シビリアン。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

よってフィリピン・ドゥテルテ政権の主導する麻薬容疑者殺害は、明らかに「法の支配」に反する。

それは、中国共産党さえ儲かるなら外国がどんなに損をしてもいい、という大陸支那南シナ海侵略が法の支配」に反する、とのまったく同様だ。

ドゥテルテ大統領が、どんなに麻薬を憎んでも、それだけの理由で、人間を簡単に殺してはならないのである。

なぜならドゥテルテ大統領は神ではないからだ。彼もまた自然法の下に存在する。

 

というより、ドゥテルテ政権の麻薬容疑者殺害は、「法の支配」どころか、「法治主義」ですらない可能性がある。

現時点のフィリピン共和国憲法や刑法や刑事訴訟法や麻薬関係の取締法で、警察の取り調べも裁判もなしで、(誤解や冤罪の可能性が大いにある)単なる麻薬容疑者を、警官の判断で殺害する、なんてことが許されているのだろうか?

ドゥテルテ大統領は、就任してわずか数か月で、司法判断無しで警官が麻薬容疑者を殺害しても合法になるように、憲法や刑法を改正したのか?

 

「トランプ大統領」VS「アメリカ軍&CIA情報機関」~タカ派シビリアンコントロールVSハト派軍人クーデタ。 - 在日琉球人の王政復古日記

  

しかも、殺人の4割は、警官ではなく、自警団である。

警官の行為の合法性は政府が責任をとれるが、自警団の行為の合法性は誰が責任を取るのか?

フィリピンの現状ならば、この私が自警団を名乗って、個人的に気に入らない無実の人間を殺して、警察が来る前に、死体のポケットに麻薬をねじ込めば、許されることになる。

やってることがムチャクチャなのに、暴力を背景にした政府が保証して応援してるからやりたい放題、という意味で、フィリピンの自称・自警団と、南シナ海尖閣諸島周辺の支那漁船団は、全く同じである。いったい何が違うのか?

 

南シナ海における、ドゥテルテ政権の理屈は、日本と同じかもしれないが、

フィリピン国内における、ドゥテルテ政権の理屈は、中国共産党と同じである。

自国民を殺しておいて「たった1000人」と放言できる倫理観は、天安門事件中国共産党と同じだ。

南シナ海ではフィリピン政府を応援するが、麻薬問題ではフィリピン政府のやり方は賛同できない、それがマトモな法感覚を持った日本人であろう。

 

しかし、一部とはいえ(ホントか?)ネットにみられる日本人は、敵の敵は味方、という粗雑極まりない理屈で、

南シナ海支那とケンカしてくれるフィリピンならば、国内で何をやろうが許す。

そして(人権的にも人道上も当たり前の話である)国連によるフィリピンの麻薬対策批判に対して、フィリピンではなく、国連を批判する。

なぜ、国連を批判するのか?その理由は、国連事務総長が韓国人(笑)だからだ。

韓国人は竹島を占領して慰安婦像を立てるが、フィリピン人はそんなことをしてない。だから、韓国人は日本の敵だから、何をやろうが、別の話題だろうが、とにかく批判する。

支那人愛国無罪や、韓国人の反日感情と、何ら変わりがない、同じレベルの倫理である。これで自称・日本の愛国者だ(笑)。

普段は「大陸支那は野蛮だから法の支配が欠如している」「韓国も反日だから日本に対しては法治主義が機能しない」なんて批判しているくせに、ホンネは、支那や韓国を批判するためなら、法の支配も、法治主義すら、どうでもいいわけだ。

 

いやいや、麻薬は絶対悪だ、取り締まるためなら、多少強引でもしょうがない、というかもしれないが、国家権力の暴走は、麻薬の蔓延より、社会を腐らせる。

麻薬は蔓延しているが、警官の路上殺人は必ず問題になり、結論はどうあれ裁判所が乗り出してくるアメリカと、

麻薬は少ないが、政府が許せば治安組織が何をやっても大丈夫な支那北朝鮮と、

どっちがマトモな国家なのか?

 

フィリピンの麻薬容疑者殺害政策を容認、さらに賛同している日本人は、

もしも、日本のヘイトスピーチ対策が強化されて、違反者が実刑を食らうことになり、しかも、その告発は、警察だけでなく、市民団体(つまりはフィリピンの麻薬自警団と同じでどこの誰かも判らない)からもOKとなり、彼らがネット上のヘイトスピーチを片っ端から摘発して、しかも何がヘイトスピーチに該当するかの判断も市民団体=自警団の自由となり、さらに裁判ヌキで処罰される、

なんて世の中になっても、何の文句もないのだろう。

 

だって、「法の支配」は、単なる支那・韓国批判のための道具であり、本心はどうでもいいんだから。

 

フィリピン・ドゥテルテ大統領「日本から巡視船もらったけど、国連が麻薬容疑者殺害を認めないから、中国と組む」 - 在日琉球人の王政復古日記