在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

時間と所有と飲酒と麻薬~ヤマトの時間感覚は異常である。だからこそ異常な近代化に成功した。

日本人は遅刻に厳しすぎ?世界の時間に対する感覚 - ライブドアニュース

2017年1月2日

あなたは大事なミーティングや商談に遅刻した経験はありますか? 5分、10分の遅刻でも「ヤバい!」と思うのは日本人なら常識ですよね。しかし、NY在住で『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者・りばてぃさんによると、世界ではこの常識は通用しないようです。先日、日本で行われた日露首脳会談におけるプーチン大統領の「遅刻魔ぶり」や、NYの地下鉄のエピソードなどを例に、日本人の「時間に対する感覚」がどれだけ異常かを伝えています。 

 

世界標準でみて、日本人の時間感覚は異常である。

時代的にも、明治以降、戦後高度経済成長以降の時間感覚は異常である。

だからこそ、日本は、非白人国家で初めて近代化に成功したのだし、経済大国になったのだ。

 

そんなに大幅に遅刻して何もなかったようにミーティングを始めるなんて、日本の常識では、たぶん、ありえない。

そう、日本の常識では。
でもしかし、皆さんもよくご存じのとおり、この世界は広く、多種多様の異なる文化や価値観が存在する。
滅多に会うことのできないお偉いさん、例えば、国家を代表する首相などとの会合に平気でめちゃめちゃ遅れてやってくる人物だっている。
ロシアのプーチン大統領だ。
北方領土の件もあって、日本ではかなり大きな話題になったようだが、昨年12月15日、11年ぶりにプーチン大統領が来日し、安倍首相と首脳会談を行った。

しかも、安倍首相の地元、山口県長門市の老舗旅館(大谷山荘)と東京の首相官邸の2か所で2日続けてという異例の演出をセットアップした。
それはもうその会談への注目が高まるのも当然だろう。
ところがだ。なんと、ロシアからの専用機でやってきたプーチン大統領が、山口県宇部空港に到着したのは、事前の予定時刻より2時間40分も遅れた夕方5時。
一応、遅刻した理由は、「シリア問題の対応」とのことだが、注目の高まる異例の首脳会談よりも優先的にプーチン大統領自ら対応しないといけないことなんてあるのだろうか? 

 

プーチンは「ワザと遅刻する」という政治的テクニックの面もあるから、いい例ではないが、一般のロシア人も、日本人よりも時間感覚がルーズである。

だからこそ、石油も天然ガスもたんまり持ってるのに、人口も倍くらいいるのに、諸条件は有利なのに、ロシアの経済力は、日本より劣っているのだ。

 

ニューヨークにいるとしょっちゅう時間に関する文化の違いについて考えさせられる機会がある。
例えば、ニューヨークの地下鉄やバスなどの公共の交通機関を利用するとき。ご存じの方も多いと思うが、日本では考えられないくらいよく遅れる。
いや、遅れるという前に、そもそも地下鉄には時刻表がない。
日中であれば、だいたい、5~10分おきに1本やってくるという感じ。

 

欧米も一般人は、日本人より時間感覚がルーズである。

列車が時刻通り来ない、なんていうのは昔から言われていることだ。

 

しかし、カン違いしてはいけない。

 

欧米でも時間を厳守しないとヤバい「ガチの分野」ではちゃんと時間を守れる人=エリートが担当しているのである。

ニューヨークの地下鉄の時間はどうなるかわからないが、ウォール街の取引時間は1秒単位で守られてるし、アメリカ軍の作戦行動もスケジュール通りに動いている。

 

もしも、欧米の一般人まで、時間感覚が日本の一般人並みになったら、おそらく、日本は欧米にあらゆる分野で追い付けなくなるだろう。

何百年にもわたる近代文明の蓄積、天才がボコボコ生まれる土壌、そういう圧倒的に優位なアドバンテージを持つ欧米で、一般人まで時間を守るようになったら、近代文明の蓄積に乏しく、天才も生れて来にくい、オリエンタルな日本に、太刀打ちできる要素はゼロである。

 

近代文明の蓄積が乏しく、天才も生れにくいけれど、一般人に至るまで時間感覚だけはキッチリ守ってきたからこそ、なんとかかんとか必死で日本は欧米にキャッチアップできたのだ。

地球上の他の大多数、近代文明の蓄積が乏しく、天才も生れにくいけれど、さらにエリートから一般人まで時間感覚がルーズな国、イスラム圏やアフリカや、つい最近までのアジアやラテンアメリカは、欧米にも、日本にも、経済力で劣っている/いたのである。

 

世界70億人、人類史1万年の中で、近代日本の、つまり近代欧米の、時間感覚は異常である。

秒単位分単位で「狂わない」、という意味で、生物として「狂っている」。

そもそも、秒だの分だのという極端に短い時間の刻み方を、それ以外の地域、それ以前の時代は、必要としていなかったのだ。何に使うんだ?秒だの分だの。

 

これはわれわれ琉球人にとっても、リアルな話である。

何度も何度も書いているが、琉球人は日本人ではない。

まだ、政治的に統合されてない別国家だった時代、江戸時代までの前近代の日本人は、琉球人とまだ共通点も多かった。

なぜなら、そもそもナショナリズムは近代からのイデオロギーであり、江戸時代以前にはそういう感覚はほとんどない。

しかし、皮肉なことに、琉球がヤマトに侵略された、じゃねえや、「処分」された近代以降の両者は全く別の生物である。

なぜなら、日本人は近代化に成功したが、琉球人は、支那人朝鮮人同様、自力で近代化できなかったからだ。

 

明治以降、日本の支配下にはいった琉球人は、ヤマトに流れ込んだ。

特に当時の大工業地帯「東洋のマンチェスター」と呼ばれた大阪である。

それは、ほとんど同じタイミングで日本の支配下にはいった朝鮮人も同様である。

朝鮮人猪飼野・鶴橋近辺に集住し、琉球人は埋め立て地の大正区に集住した。

 

朝鮮人は、イルボン植民地帝国主義によって日本語を強制された、と反発するが、琉球人だって琉球語を喋れば、方言札をぶら下げられた。

言葉は見えやすいから問題にしやすいが、日本にやって来た朝鮮人琉球人に、必須条件として教育=強制されたのは、実は「時間感覚」なのである。

 

午前9時から作業開始、と決められたら、午前8時半には工場に集まってないといけない。

しかし、これが、この単純な約束事が、朝鮮人琉球人、いや全世界の前近代に生きる、数からいえば圧倒的多数の人々には難しかったのである。

  

時間と所有と飲酒と麻薬~「うちなータイム」「てーげー」琉球が土人である理由。 - 在日琉球人の王政復古日記

に続く。