在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

#文在寅 【後編】戦後韓国左翼「NL系(民族解放)対PD系(民衆民主)」≒戦前日本左翼「講座派(共産党)VS労農派(非共産党)」

※2020/11/22追記※

下記は、2017-07-04に書いたものです。

自分の知識を突き合わせて書きました。オリジナルです。何らかの書籍をまるまる参照したこともありません。日韓左翼の比較なんて読んだこともないし。そもそも韓国語も読めません。

 

2020/11/22、この記事を見つけて、ビックリしました。

 

<W解説>「反日」が基盤なのに日本左派と同じ分化過程の韓国左派│韓国政治・外交│wowKora(ワウコリア)

 

私、パクッてませんよ(汗)! 信じてね。 

 

【前編】戦後韓国左翼「NL系(民族解放)対PD系(民衆民主)」≒戦前日本左翼「講座派(共産党)VS労農派(非共産党)」 - 在日琉球人の王政復古日記

の続き。

 

さて、左翼業界を離れて、戦前日本政治全体を巨視的に見れば、立憲政友会と立憲民政党の2大政党が優勢だった。大雑把に言って、

政友会の支持層は、地方の地主などで、政策は保守的、積極財政、外交タカ派

民政党の支持層は、都市資本家、中産階級などで、政策はブルジョア自由主義、緊縮財政、外交ハト派

となる。

 

しかし、大正デモクラシー普通選挙、昭和恐慌と社会不安を通じて、労働者や農民の政治欲求も大きくなり、主に労農派の離合集散の末、社会大衆党が第3勢力に成長する。ちなみに戦後の沖縄社会大衆党とは無関係である。

 

これは、このブログの大原則・政治の3大勢力「ネオリベVSソシアルVSコンサバ」に合致する。

 

ネオリベVSソシアルVSコンサバ~現実的な政治路線は「3つ」しかない。あるいは「3つ」もある。 - 在日琉球人の王政復古日記

保守主義(コンサバ)
自由主義(ネオリベ)
:資本主義と言い換えても可。
社民主義(ソシアル):民主主義と言い換えても可。

 

政友会が保守主義(コンサバ)、

民政党自由主義(ネオリベ)、

社会大衆党社会民主主義(ソシアル)である。

 

これは、イギリス政治にも似ている。

長い間、「貴族や地方地主のトーリー保守党(コンサバ)VS都市資本家のホイッグ自由党(ネオリベ)」の2大政党だったが、労働者階級のレイバー労働党(ソシアル)が出てきて、都市資本家もトーリー保守党(コンサバ+ネオリベ)に鞍替えして、結局中間のホイッグ自由党が縮小、「トーリー保守党(コンサバ+ネオリベ)VSレイバー労働党(ソシアル)」の2大政党となって現在に至る。

 

戦前日本において、緊縮財政、小さな政府を推進すると不可避的に、予算を一番食い潰していた軍部と衝突することになる。民政党(ネオリベ)は、予算と外交面で結果的に軍部と対立することになり、軍事行動反対、外交ハト派になる。

 

第3勢力・社会大衆党(ソシアル)は、社会民主主義なので、貧しい労働者・農民に再配分を要求して、民政党(ネオリベ)の正反対、さらに政友会(コンサバ)すら超える積極財政、大きな政府となる

ここで路線は2つある。

一つは、軍事費を削って社会福祉に回せ、という戦後左翼のが主張するおなじみの発想。

しかし、もう一つある。軍部に協力して軍事費を大幅拡大、対外強硬路線で経済を回して、労働者・農民にも再配分、という、とてつもないスーパー積極財政・巨大政府路線である。

 

社会大衆党(ソシアル)は後者の軍部協力の道を選択する。これは無茶苦茶に見えるが理屈はある。

権力を求める戦前日本の左翼・労働者・農民の前には、ライバルとなる3つの巨大政治勢力がある。天皇制、資本家ブルジョア、そして軍部である。

この内、天皇制は労農派理論で軽視できる。

一番利害が対立する本当の敵はブルジョア資本家である。

となれば軍部は、労働者・農民の敵ではなく、敵の敵は味方、同盟相手なのだ。

 

資本家ブルジョア VS 労働者プロレタリア + 軍部」という対立構造だ。

 

軍部と同盟して、資本家の自由な商売を増税と国家統制で潰して、軍人と労働者と農民を優遇する。革命を経由しないで、結果的にソ連みたいな国家体制に変貌する国家社会主義路線なのだ。要は正統なファシズムである。

 

社会大衆党(ソシアル)は、軍事費増大のみを「狭義国防」と批判する。労働者・農民の生活向上も「国防」であるとして、軍事費+社会福祉のスーパー巨大政府路線を「広義国防」と称して主張したのである。

社会大衆党(ソシアル)は、政友会(コンサバ)より民政党(ネオリベ)より積極的に大東亜戦争への道を後押しして、すすんで大政翼賛会の中へ消えていく。

戦前の左翼は、ファシズムに進化して、大日本帝国と合体して溶けて消えたのだ。

 

大東亜戦争大日本帝国と戦前を終わらせる。

 

戦前日本左翼の論点は、明治維新天皇制、の2つだったが、

終戦から戦後高度経済成長までの戦後日本左翼の論点はアメリカと天皇制、の2つになる。 

戦後日本左翼が百花繚乱なので、デジタルにキッチリは分けられないが、大雑把に見れば、

 

講座派の流れをくむ戦後日本共産党は、またまた「二段階革命論」である。

戦後日本は、GHQ改革も不徹底で、いまだに古い封建性=天皇制を残し、さらにアメリカの支配による「対米従属」も加わり、まだまだ社会主義革命の段階ではない。

第1革命は、アメリカ帝国主義を打倒する日本民族解放闘争・民族民主革命

第2革命は、対米従属の日本独占資本を打倒するプロレタリア革命とされる。

一般に「二段階革命論」とは言われるが、細かく言えば、第1革命=対米従属打破・民族解放、第2革命=天皇制解体・民主市民革命、第3革命=独占資本打倒・社会主義革命、の「三段階革命論」に増えてるような気がする。

共産党の路線だと、革命はますます遠い(笑)。

 

労農派の流れをくむ戦後日本社会党左派系は、またまた「一段階革命論」である。

戦後日本は、GHQ改革で、近代資本主義体制を確立した。「対米従属」も無いではないが、日本独占資本も相対的に自律している。ただちに、日本独占資本=日本帝国主義を打倒する社会主義革命となる。

ただし、革命も武装蜂起ではなく、労働組合運動による労働者の福祉向上、資本主義社会の構造改革を通じた穏健な無血革命を目指す。

ということで、社会党左派もなかなか革命には向かわない(笑)。

 

この共産党社会党左派のグダグダ・言い訳・日和見路線に愛想を尽かして、オレたちが直接行動だ!と決起したのが、全学連、ブント、全共闘革共同中核派革マル派革労協、などなどの新左翼学生運動ということだ。

 

戦前戦後を通じてみると、

 

講座派は、日本は遅れているという認識、コミンテルンを見習えという外国志向など、日本批判とインターナショナリズムがあるように見える。

 

労農派は、日本には日本のやり方があるという認識、コミンテルンへの警戒感など、なんだかドメスティックな路線に見える。

 

しかし、実際は、サカサマの正反対なのだ。

 

講座派の方が、実はナショナリズムなのだ。

自己否定が実は自己賛美の裏返しであるように、天皇制批判も実は天皇制重視つまり尊皇の裏返しだ。「日本は特殊だ」という日本批判は「日本は特別だ」という日本礼賛に簡単にひっくり返りやすい。

講座派が左翼を止めて転向すると、一気に神国日本バンザイの尊皇家になる。

 

労農派は、日本とロシアは違うと主張するが、それは、ロシアはロシア、日本は日本、ロシアを特別視しないことは、日本を特別視しないことの通じる。世界の中のワン・オブ・ゼムとしてのロシアであり日本なのだ。こっちの方がインターナショナルなのである。天皇制をあんまり重要視しないのも、非ナショナリズムである。

労農派が左翼を止めて転向すると、資本主義・自由市場でイイじゃないか、というネオリベ路線になる。

 

・・・いったい、ナンの話だったっけ?・・・あ、韓国だった(馬鹿)。

 というわけで、日本から韓国に戻る。

 

1980年代からの韓国左翼思想の2大派閥

NL系/NL派~民族解放・民衆民主主義革命論

National Liberation People's Democratic Revolution 

PD系/PD派~反帝・反独占・民衆民主主義革命論

Anti-Imperialism Anti-Monopoly People's Democratic Revolution

1930年代の「日本資本主義論争」の2大派閥

講座派(共産党)、

労農派(非共産党)、

 との比較である。

 

結論から書けば、

NL系(民族解放民衆民主主義革命論) = 講座派(共産党)、

PD系(反帝反独占民衆民主主義革命論) = 労農派(非共産党)、 

だと思う。

 

講座派VS労農派における、明治維新天皇制、アメリカという問題が、

NL系PD系においては、韓国建国、北朝鮮アメリカとなる。

 

NL系は、名前の通り「民族解放」だ。つまりナショナリズムである。

韓国をアメリカ帝国主義の半植民地と定義する。軍事独裁政権も韓国独占資本も対米従属である。

NL系にとっての光州事件は、アメリカ帝国主義に反対する反米民族解放戦争である。

よって最優先は、階級闘争社会主義革命ではなく、まず民族解放闘争=反米運動である。

韓国からアメリカ帝国主義を排除すれば、次は朝鮮半島統一だ。

ただし北朝鮮を倒して韓国主導で統一するのではなく、あくまでも両者対等の平和統一である。つまり事実上、北朝鮮の金さん体制を容認することになる。

しかし、北朝鮮体制「容認」から、どんどん北朝鮮体制「賛美」に変化していき、最終的には、アメリカの半植民地・韓国の打倒、北朝鮮主導の半島統一に賛同するようになっていく。

最終的には、NL系の多数派が、いわゆる親北・従北の「主体思想派」になってしまい、迷走することとなる

 

PD系は、名前の通り「反帝反独占」だ。つまり正統派マルクス主義である。

韓国は、アメリカ帝国主義の影響下にあるものの、相対的に自立した軍事独裁政権の独占資本主義と定義する。

PD系にとっての光州事件は、軍事独裁政権と独占資本に抵抗する労働者の国内蜂起である。

アメリカ帝国主義より、韓国内の軍事独裁政権と独占資本こそが本丸であり、韓国民主化社会主義階級闘争を主眼とする。

韓国内の階級闘争重視なので、北朝鮮との関係も、半島統一も、否定的である。

思想的にも北朝鮮の奇怪な全体主義体制は認められない。戦争再開も反対だが、北朝鮮主導の平和統一など問題外だ。

  

戦前日本を半封建性、戦後日本を対米従属と定義し、天皇制を重要視する、日本を否定して、コミンテルンを理想化する、倒錯した裏返しのナショナリストである講座派と、

韓国は対米従属半植民地と定義し、アメリカを敵視し、アメリカ寄りの韓国を否定して、北朝鮮主体思想を理想化する、朝鮮民族主義まる出しのNL系は、

非常によく似ている。

 

戦前日本は近代資本主義、戦後日本は自律的独占資本と定義し、天皇制に無関心で、日本も外国も相対化する、ナショナリズムが希薄な労農派と、

韓国は自律的軍事独裁政権と定義し、アメリカ帝国主義北朝鮮全体主義も否定する、民族主義が希薄なPD系は、

非常によく似ている。

 

さらに、NL系は統一された組織だったが、PD系はバラバラなグループだったらしい。

ここら辺も、共産党一本の講座派と、種々雑多な一匹狼が多かった労農派に、シンクロしている。

 

そして、全部ではないにしろ、NL系から北朝鮮にどっぷりハマった主体思想派が生まれたのも、コミンテルンに盲従するロボットになっていった講座派の一部に近い。

 

おそらく、NL系が左翼を止めて転向すると、親北・従北から一気に正反対にひっくり返り、反共・反北朝鮮の韓国タカ派になるのではないか?

PD系が左翼を止めて転向すると、資本主義・自由市場でイイじゃないか、というネオリベ路線になるのだと思う。

 

韓国左翼思想に詳しい方々、戦前日本の左翼思想に詳しい方々、

間違いは多々あるとは思いますが、ノンポリ(笑)素人の駄法螺なのでご容赦。

もちろんご指摘ご批判があれば幸いです。