浜田雅功が「恐かった」芸能人は?本番中にフリスク注意も「いいじゃねえか」/芸能/デイリースポーツ online
2018.01.25.
三宅アナから「恐い人とかは?」と聞かれると「普段、バラエティーに来てくれる人の中には恐い人もたまにはいます」と語ったが、三宅アナが具体名を聞くと「小林旭とか…」とポロリ。「めっちゃ恐かった。本番中にフリスクとか食べ出して。『本番中ですが』と言ったら『いいじゃねえか』と一言、言われて『あ、どうぞ』って」とあまりの迫力に、本番中のフリスクも許してしまったと苦笑いで明かしていた。
そりゃ怖いわなあ。
というか、あっちが怖いもの知らずだわな。マイト・ガイだもの。
ここら辺は想像もつかないんだが、平成生まれの人にとって、「小林旭」が、どんな人なのか「わかる」んだろうか?
最近はテレビもあんまり出てないし、歌で売れたのもかなり昔だし。
元は映画俳優。おそらくヤクザ映画好きのバイブル・東映「仁義なき戦い」が一番有名かもしれない。
東映なら、知名度は格段に落ちるが、在日朝鮮人ヤクザを描いた「日本暴力列島京阪神殺しの軍団」も良かった。
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でもアキラは東映ではないのだ。
やはり日活が(実質的に)潰れたのが、大きいか。
ロマンポルノすら遠い過去だから。
東宝は一人勝ち状態だし、「寅さん」や「必殺」の松竹も、「相棒」の東映も、皆さんだって名前はご存知だ。
同じように、昔、「日活」という映画会社があった。
「西部警察」「太陽にほえろ」の石原裕次郎が金看板のトップスタア。
アキラは裕次郎に続くナンバー2。主役を張れるスタアだった。
その下が、娘さんがアナウンサー高橋真麻の桃太郎侍・高橋英樹。今は、時代劇のイメージ、テレビのおチャメなキャラだが、昔は、青春モノそして日活任侠映画のエースだったのだ。
同じく、日活最後の主役・西部警察の渡哲也、となる。
顔はイケメンだったが、歌が下手だった(笑)、和製ジェームス・ディーン(うわ、ジェームス・ディーンの説明が必要かw)赤木圭一郎、
特捜最前線の二谷英明、エースの錠・宍戸錠、横浜ホンキートンクブルースの藤竜也(うーん、平成の皆さんへの説明が難しい)も日活である。
女優なら、
日活青春映画の聖女・今や東映のゴミ映画量産マシーン(笑)吉永小百合、
松竹「男はつらいよ」で寅さんマドンナ・人気ナンバー1の浅丘ルリ子、
鬼平の女密偵役、タランティーノ監督の青春のマドンナ「女囚さそり」「修羅雪姫」の梶芽衣子、
上のyoutubeで最後に踊ってる白木マリは、平成の皆さんでも知ってる作品なら、必殺仕事人中村主水の奥さんである。日活時代はビキニで踊る「お色気」担当だったのである。あんなメリハリのない寸胴ボディーでも(笑)、当時なら十分グラマーで通用したのだ。
平成の皆さんも「美空ひばり」という名前は知ってるだろう。
いや安室なんて比較にならない。
昭和にも歌手は山ほどいたが、ひばりこそトップ・オブ・トップ。
例えば、誰でもいい、あなたがパッと思いつく、和服を着て歌ってそうなベテラン演歌歌手は、おそらく一人残らず全員、彼女より格下である。
ひばりがスタジオに来たら、みんな直立不動で挨拶。まさに昭和の女帝。
アキラは、その女帝のダンナだった人だ。
しかも実質的な仲人は、日本の首領・山口組三代目田岡組長である(笑)。
日本で一番怖い(笑)三代目と直に付き合いがあったんだから、ダウンタウンなんか、屁とも思ってないはずである。
私は根っからの東映ボンクラ小僧だから、日活は守備範囲外なんだが、日活映画なら、裕次郎より、アキラ派だった。
何と言っても日活の稼ぎ頭。
映画は数知れないが、一番有名なのは、やはり「渡り鳥シリーズ」である。
日活映画「渡り鳥」シリーズ
原型「南国土佐を後にして」(1959年)
#1「ギターを持った渡り鳥」(1959年)
#2「口笛が流れる港町」(1960年)
#3「渡り鳥いつまた帰る」(1960年)
#4「赤い夕陽の渡り鳥」(1960年)
#5「大草原の渡り鳥」(1960年)
#6「波濤を越える渡り鳥」(1961年)
#7「大海原を行く渡り鳥」(1961年)
#8「渡り鳥北へ帰る」(1962年)
番外「渡り鳥故郷へ帰る」(1962年)
奇遇にも、同世代である。そして「戦った青春の日々」も全く同じだ。
アキラの「渡り鳥」と、ススムの「安保」は、時代的に完全に重なる。
しかし「渡り鳥」を見ても、学生運動、新左翼思想の影は全く見えない。
日活無国籍アクションには、若者は出てきても、大学生は出てこない。
「渡り鳥」は、そして裕次郎も、日活映画は、若者向け映画なのだが、学生運動しそうな大学生向け・インテリ向けの映画ではないのだ。
全学連、全共闘の大学生たちは、鶴田浩二、高倉健の東映任侠映画に熱狂した。
日活無国籍アクションに熱狂したのは、大学に行けなかった高卒中卒で、田舎から都会に出てきて、大企業に入社できず、小企業のブルーカラーや女工、個人商店の丁稚さんや店員になった「金の卵」たちだ。60年安保闘争とは無縁の低学歴若者の方が人口的には多数派だったのである。
そして左翼ではない「金の卵」こそ、当時の創価学会の布教ターゲットだった、田舎出身で都会で孤立した貧乏人である。
ゆえに、当時の創価学会員は、東宝若大将ではなく、東映仁侠ではなく、日活の裕次郎やアキラに熱狂したのではないか?という「仮説」を持っている。
日活映画石原裕次郎列伝~一輪の花・芦川いづみVS大輪の華・浅丘ルリ子~昔の創価学会員って日活が好きだったんじゃないかな? - 在日琉球人の王政復古日記
1本当たれば、すぐに続編を作るのが当時の映画界である。
公開年を見ていただきたい。10本の映画だがたった4年の間に作っている。1960年なんて年4本である。
しかも、アキラは「渡り鳥シリーズ」に専念してたわけじゃない。同じ年に他の映画を何本も主演している。年1どころか月1ペースで主演映画を作っていたのだ。平成のテレビドラなんか比較にならないハイペース&ハードワークだった。
脚本も粗製濫造だ。それがよく判るのが、2作目の「口笛が流れる港町」という題名。題名だけだとなんだか港町が舞台だと思うかもしれないが、舞台は内陸の地方都市で、港なんて最初にちょっとしか出てこない。
つまり次回作を発表した時点では、決定事項は小林旭主演だけで、脚本もできてなく、どんな映画にするか、ロケ地はどこか、何も決まってなかったのだろう。
atg「祭りの準備」(1975年)原田芳雄VS日活「南国土佐を後にして」(1959年)小林旭、ペギー葉山。 - 在日琉球人の王政復古日記
渡り鳥シリーズは「正体不明の流れ者が、とある地方にやってきて、女を助けて、悪党どもを倒して、淡い慕情を残しながら去っていく」というプロットである。毎回同じだ。
西部劇「シェーン」と同じだ。
といっても、平成の皆さんには「シェーン」の説明、いや、そもそも西部劇の説明からしないといけないのか(笑)。
時代劇なら水戸黄門も実は同じだし、
股旅物、たとえば「木枯し紋次郎」も同じだ。なにしろ「渡り鳥」なのだ。
最近の映画なら「マッドマックス怒りのデス・ロード」、ライアン・ゴズリング「ドライヴ」も同じである。
これらも「正体不明の流れ者が、とある地方にやってきて、女を助けて、悪党どもを倒して、淡い慕情を残しながら去っていく」映画なのだ。
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何本も何本も作ればマンネリになる。いや、水戸黄門的マンネリの心地良さ、を狙ってる映画なのだが、それでも変化は欲しい。
でも主演もプロットも変えられないから舞台を変える。日本各地を巡るのだ。
「主役は固定で、プロットも同じで、舞台だけが変わる」
そういう意味では、
日活・小林旭「渡り鳥」シリーズは、
松竹・渥美清「男はつらいよ」シリーズ、
東宝・森繁久彌「社長」シリーズ「駅前」シリーズ、
東映・菅原文太「トラック野郎」シリーズ、
とも同じなのだ。
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ただし、違いはある。
「男はつらいよ」「社長」「駅前」「トラック野郎」は、
流れ者の男(主人公)の方から、ご当地の女(マドンナ)に惚れて、悪戦苦闘して、結局フラれる、という流れだが、
「渡り鳥」は、
ご当地の女(マドンナ)の方から、流れ者の男(主人公)に惚れて、主人公もその気があるくせに、何も言わずに去っていく、という流れだ。
「男はつらいよ」「社長」「駅前」「トラック野郎」は、男が三枚目のコメディなのだが、
「渡り鳥」は、男が二枚目のラブロマンスなのだ。
マイトガイ(ダイナマイトみたいな男)・アキラが、女にフラれるわけがない。
「マドンナの方から主人公に惚れる」映画は、東宝にもある。
加山雄三の「若大将」シリーズだ。
アキラの渡り鳥と、加山の若大将は、共にギター片手に恋を唄うところも、共通点である。
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あと、「男はつらいよ」なんかは、日本各地の風情を比較的正しく撮影してるが、「渡り鳥」に出て来る日本各地はかなり荒唐無稽である。
日本国中どこに行っても、バンドマンが生演奏で、ウィスキーを呑むような、銀座みたいな豪華なキャバレーが出て来る。日活映画は洋酒が定番。日本酒だの焼酎だのは出てこない。
そして全員標準語。地方の風情ゼロ。ご当地の皆さんが「ここはどこ?」と言い出しそうな映画である(笑)。
ゆえに、日活映画は「無国籍アクション」と呼ばれた。
舞台はどこでもいいし、設定は雑でいいし、考証もいい加減でいいし、脚本もコピペで十分だし、なにより予算もあんまりかからないし、なにも映画とは言わない、テレビかネットのドラマでイイから、平成のイケメン俳優で「渡り鳥」をリメイクしたら、女性ファンも喜ぶと思うだが、ジャニーズあたりで企画してくれないだろうか?