在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

法VS人間VS動物~日本の殺人ホワイトタイガーVSインドの殺人猿VSヨーロッパ中世「動物裁判」。

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人間が動物を殺すことはよくある。 

 

食肉加工業者や漁師が、そして殺虫剤を持った我々が、毎日のようにやっている作業だが、それは裁かれない。

しかし、ワンコやニャンコなど愛玩動物を殺すと裁かれる(こともある)。

    

猫13匹虐待、元税理士に有罪判決「動物愛護に反する」:朝日新聞デジタル

2017年12月12日
 猫13匹を虐待し死傷させたとして、動物愛護法違反の罪に問われた元税理士大矢誠被告(52)=さいたま市=に対し、東京地裁は12日、懲役1年10カ月執行猶予4年(求刑懲役1年10カ月)の有罪判決を言い渡した。細谷泰暢裁判官は「動物愛護の精神に反する悪質な犯行だが、税理士を廃業するなど様々な制裁を受けている」と述べた。
(略)

 

その違いは、何に由来するのか?、については前に考えた。

 

ゴキブリ殺し、ウシ殺し、クジラ殺し、ネコ殺し、ヒト殺し。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

逆に、動物が人間を殺すこともある。

日本でこういう殺人事件があった。

 

ホワイトタイガーに襲われ職員死亡 日本 - BBCニュース

2018年10月9日
鹿児島県平川町の平川動物公園で8日、トラのおりの中で動物園の男性職員(40)が首から血を流して倒れているのが見つかった。男性は搬送先の病院で死亡が確認された。このおりでは希少動物のホワイトタイガーが飼育されていた。
現地報道によると、同動物園で飼育されているホワイトタイガー4頭のうちの1頭が職員を襲ったと警察当局はみている。
救急隊と警察が現場に到着した際には、ホワイトタイガーは麻酔で眠らされていた。

 

人間を殺した動物は、通常は殺処分だが、遺族が許しを望んだらしい。

 

飼育員襲ったトラ、殺処分せず 遺族「飼育して下さい」:朝日新聞デジタル

2018年10月9日
 鹿児島市平川町の平川動物公園で飼育していたホワイトタイガーに飼育員古庄晃さん(40)が襲われて死亡した事故で、9日午前に記者会見した石堂昭憲園長は「基本事項がクリアできていれば、起こらない事故」と語った。一方、襲ったとみられるホワイトタイガー「リク」を今後も園で飼育する考えを明らかにした。
 石堂園長によると事故当時は、飼育員がおりを掃除している時間帯だという。園のルールでは「同じ空間に人とトラが入らないようにする」ことにしており、通常の手順では「展示用のおりからトラを寝室に移動させ、おりと寝室の間の扉を施錠してから、おりの掃除に入る」という。
 「何らかの原因で古庄さんがトラと鉢合わせてしまった。原因については推測になってしまう」と話した。
 古庄さんが一人で作業していたことについては「一部を除いて、どの動物も一人で対応する」と説明した。
 また古庄さんの遺族から「(リクを)平川で飼育してください」と言われたことを明らかにし、殺処分せずに飼育を続ける考えを示した。 

 

「罪を憎んで、畜生を憎まず」

誠に慈悲に満ちた決断である。ご遺族の寛容の心に感動する。

 

しかし、これは「民事」である。

訴える/訴えないは自由だ。

被害者(の遺族)=原告が、加害者(動物)=被告を訴えないこともある。

訴えなければ、民事裁判はない。加害者(動物)=被告は無事だ。 

 

しかし、「刑事」はどうなる?

通常、人間が殺されれば、たとえ遺族が「許します」と言ったところで、警察は加害者への捜査を止めない。刑事裁判に持ち込む。 

  

法VS人間~刑事裁判は、犯罪被害者や遺族とは無関係であり、彼らの怨念や復讐心を晴らせない。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

インドでこういう殺人事件があったようだ。

 

サルを刑事告発?=レンガ投げ人死なす-インド:時事ドットコム

2018/10/27
 【ニューデリー時事】インド北部ウッタルプラデシュ州で、サルの群れが木の上から男性にレンガ片を投げつけて死亡させる「事件」があった。遺族がサルを刑事告発する動きを見せ、話題となっている。
 タイムズ・オブ・インディア紙によると、死亡した男性は18日、薪を拾っていた際に被害に遭った。遺族は同紙の取材に「サルは高所から20個以上のレンガ片を投げ、頭などに命中させた。報いを受けるべきだ」と憤った。
 警察は男性の死を事故として処理。遺族はサルの刑事責任を追及すべく、警察高官らに嘆願書を書いているという。警察当局者は「サルを容疑者として事件を受理すれば物笑いの種だ」と頭を抱えている。

 

素晴らしい! エクセレント!

物笑い?そんなことはない。インド警察は歴史に学ぶべきだ。

 

しかし、インドの猿は、なかなか侮れない。大した畜生である。

支那文明の清華・孔子儒教へ挑戦状を叩きつけたと思ったら、

 

『犭二』『犭犭』の発見~インドの感電サルVS支那の孔子~論語学而第一「學而時習之。不亦説乎」 - 在日琉球人の王政復古日記

 

お次は、ヨーロッパ中世神学への挑戦である。畜生にしておくのは惜しい!

 

数年前、こういうニュースがあった。

最初にこの記事を読んだ時、「おお!さすがヨーロッパの端っこ・マケドニア!やってくれるぜ!」とワクワク期待した。

 

マケドニアの裁判所、はちみつ盗んだクマに有罪判決 | ロイター

2008年3月17日
 [スコピエ 13日 ロイター] マケドニア南部ビトラの裁判所は、養蜂家からはちみつを盗んだクマに有罪判決を下した。ただ、クマには所有者がおらず、保護動物にも指定されていることから、養蜂家に対しては国が14万デナール(約35万円)の損害賠償を支払うよう命じている。
 勝訴した養蜂家はドネブニク紙に対し「クマが怖がると聞いたので、撃退するために照明や音楽を使った。そのために発電機を買い、辺りを照らして音楽をかけた」と語った。
 ただ、その後の数週間は効果があったものの、発電機が使えなくなって音楽がやむと「クマは再びミツバチの巣箱を襲ってきた」という。
 クマの居場所などの情報は明らかになっていない。

 

結論にガッカリである(失望)。

 

もし熊が有罪ならば、その熊にこそ刑罰を与えるのが、司法ではないか。

なんでマケドニア政府に責任があるのか?
有罪判決を受けた熊自身が、罰金を払うか、懲役刑に服するべきである。

というか、最終的には国家が養蜂家に損害賠償、なんて凡庸かつ陳腐な結論なら、最初から「動物裁判」なんかやるな。というか国際ニュースで配信するな。

 

そう「動物裁判」である。

法廷で動物の罪を裁く。過去には現実にあったことだ。

かつてヨーロッパ中世には、正真正銘の「動物裁判」があった。

 
ヨーロッパ中世のとある村。

ある日、家畜のブタ(といっても、半分野生のまま、というか半分家畜化したイノシシというべきか)が、人を食い殺す。

そうすると、
損害賠償を争う「ブタの所有者」に対する民事裁判ではなく、
刑罰を決める「ブタそのもの」を裁く刑事裁判が開始される。

なんと被告のブタにはちゃんと弁護人も付く。
言葉を発することができないブタに代わって、弁護人が「ブタに殺意はない」「出産直後で精神状態が不安定だった」などなど、法に基づいて被告の無罪や減刑を訴える。

ヨーロッパ中世は「人殺しは問答無用で死刑だ!弁護など不要!」という、21世紀極東の某先進国(笑)のネット世論よりも、はるかに「合法」を貴ぶ。

そして判決が下り、死刑となれば、人間と全く同じように、有罪ブタは火刑・斬首・絞首に処せられる。

 

作物を食い荒らす昆虫にも、ヨーロッパ中世の司法は黙っていない。

裁判所は昆虫へ法廷への出頭を命じる。出頭しない場合は法廷侮辱である。

昆虫の何匹かを逮捕連行する。もちろん虫にもちゃんと弁護人が付く。

弁護人は「昆虫の群れ全体の犯罪への刑罰を、一部の昆虫にのみ課するのは、法の精神に反する」と訴える。

有罪となっても、現実問題として、昆虫全部を絞首刑にも火刑にも出来ない。

よってキリスト教会により「破門」を宣告される。彼ら昆虫は天国の門をくぐれないという、死刑より恐ろしい厳罰が下されるのである。

 

もし、この平成日本が、ヨーロッパ中世にタイムスリップしたら、ホワイトタイガーは法廷に引っ張り出されることになる。

殺人か?傷害致死か?過失致死か?無罪か?

検察は「普段から生肉を食ってるトラは、自分のツメやキバが凶器であることを認識している。飼育員にツメやキバを行使したということは、攻撃する意思があったということだ。殺人罪が相当である」

弁護人は「トラに『死』という観念が認識できているとは思えない。馴染みの飼育員を攻撃の意思は無く、じゃれ付くつもりだった可能性が高い。責任能力を問えるかどうか、精神鑑定を要求する」

みたいなやり取りの末、偉大なる神の御名において、裁きが下される。

こっちは刑事裁判なんで、遺族が「ホワイトタイガーを殺さずに飼育してください」といくら頼んでも、死刑執行は止まらない。

 
真面目な話だ。笑い話でもなんでもない。
「法」と「罪」と「罰」そして「理性」や「人間」の根幹に関わる問題である。

 

法VS人間~犯罪は理性が行う~殺意があれば正義の復讐でも死刑。酔っ払い、基地外、殺意がなければ死刑はない。 - 在日琉球人の王政復古日記

近代司法制度は「責任主義」を取るので、責任が取れない、自由意志が弱い、理性が喪失した、酔っ払い、キチガイ、少年の罪を軽くするのである。

近代司法制度は殺意=自由意志=理性を重視する。これは、理性を重視する近代思想、自由意志を尊重する人権思想がバックボーンにあるからだ。

近代人(モダーンマン)は理性ある存在であり、犯罪者も理性ある存在である。その理性に基づいた犯罪行為を、理性に基づいて裁くのが、近代司法制度の基本である。

このシステムでは、最初の想定から、酔っ払い、基地外、少年を「例外扱い」にしているのだ。 

理性を重視するあまり、理性から外れたモノへの対応が苦手。ここに近代司法制度、だけではなく「近代そのもの」の弱点がある。

 

犯罪と知りながらその行為を犯した者は、責任を問われる。
これは、その者が理性を保有しているという前提に成り立つ。
刑罰によって、犯罪は割に合わない愚かな行為だと知らしめる。
これは、その者が理性を保有しているという前提に成り立つ。

 

しかし動物に理性はあるのだろうか?

 

ここまでくると、

人間以外に霊魂は無いとする自然機械論(動物機械論)、

(人間にしかないはずの)儒教の「仁」、

仏教の輪廻思想、ジャイナ教の不殺生、

捕鯨反対論者、動物愛護論者、ヴィーガン(絶対菜食主義者)たちが主張し、近年の動物学からも出て来る「ウシもイルカもイヌもタコも、どの動物も、今までの予想を超えて、高度な知能を保有しているようだ」という、牛丼やチーズバーガーが好きな我々にとっては、かなり厄介(笑)な事実にまで、話題は広がる。

あまりに広がり過ぎるので、そっち方面は後日書くとして、今回は省略する。

 

人間は、悲しい。~沖縄チビチリガマ=靖国神社=慰安婦像少女像徴用工像=心霊スポット=肝試し。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

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サルから人間へ~「モハメド・アリ対アントニオ猪木」は、角川映画「時をかける少女」原田知世に敗北する。 #njpw - 在日琉球人の王政復古日記

 

とりあえず、動物に理性は無いとしても、

理性無き動物が人間を殺す。

理性無き動物の犯罪を裁いても良いのなら、理性無き幼稚園児の犯罪を裁いても良い。

理性無き動物に刑罰を課しても良いのなら、理性無き精神障害者に刑罰を課しても良い。

という、これまた厄介な話につながる。

 

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「笑い」は常に「弱者」の敵であり、民主主義は「笑い」の敵だ~動物や障害者を嬲り殺して楽しんできた人間の歴史。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

安珍( #小朝 #船越英一郎 )VS清姫( #泰葉 #松居一代 )~ #浦和レッズ サポーター平成道成寺。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

動物裁判」は、まったく笑い話ではない。

近代のわれわれをも直撃する(しかも、ずっと見て見ないフリをこいてスルーしてきた)、長い長い夏休みの宿題なのだ。

 

日本警察は、ホワイトタイガーを殺人罪で逮捕できなかったが、 

インド警察は、おサルさんをを殺人罪で逮捕して、裁判にかけるべきだ。

厳格な法体系の尊厳を賭けて、人間の理性の勝利のために、「動物裁判」を復活させるべきである。