在日琉球人の王政復古日記

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【追悼】高倉健映画列伝(東映任侠以前)~仁侠映画と学生運動。

皆さんは、そもそも、根本的に、カン違いしているのだ。

 

例えば、キモイ(失礼)オタク男性たちが、AKB48を熱狂的に崇拝しているからって、AKB48の少女たち自身がキモオタになるわけじゃない。

 

全く同様に、キモイ左翼学生が、健さんを熱狂的に崇拝していたからって、高倉健自身が左翼になったわけではないのである。

 

そう考えれば、納得できるでしょ?

 

twitterとかで知ってビックリしたんだが、

報道ステーション高倉健さんの訃報を学生運動に結び付ける」とか騒いで反発している連中がいる。

ひょっとして、そんなのウソだ!デマだ!、とでも主張するつもりだろうか?

 

1960年代、当時の学生運動全共闘学生が、高倉健任侠映画に大熱狂していたことなんて、当時の世相を紹介した文献を読めば、いくらでも出てくる【史実】である。 

普段は「日本政府による慰安婦の強制連行なんて無かった。当時の資料を読め!」とかほざいてる連中が、自分の趣味に合わない資料は読まないのだ。

 

つーかさ、ハッキリ言えば、あんたたち、健さんの映画、ただの1本も見たことないだろ(笑)。


ただ世間が、昭和を代表する名優だ、日本の男の理想像だ、なんだと騒いでいるから、映画を見たこともないのに、興味もなかったのに、【数日前から】急に「健さんファン」になっただけでしょ? 正直言ってさ。

 

「日本侠客伝」とか「昭和残侠伝」とか「網走番外地」とか、そんな難しいことは言わない、ヘタしたら「幸福の黄色いハンカチ」すら見てないでしょ。

終戦直後の悪い三国人朝鮮人が出てくる、と知って、「三代目襲名」のごく一部をyoutubeあたりで見たのが関の山で(笑)。 

 

もはや、知的怠惰というより、幼児性を感じる。

 

私自身、シネフィルじゃないし、マニアでもない、普通の映画好きなんで、健さんの映画を全部見ているわけでもない。その中から記憶に残ってる作品をランダムにいくつか。あ、記憶で書くので間違いがあったご容赦ください。

 

多羅尾伴内 十三の魔王」東映1958年

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見た中で、おそらく一番古いのはこれ。もちろん健さん見たさではなく、山の御大・千恵蔵先生目当てで見た。だから健さんの記憶があんまりない。

変な話だが、時代劇のイイ役者というのは、現在の理想的体型から見ると、体のバランスが悪い。頭がデカイというか、顔が異常にデカイのだ(笑)。そのほうが着物姿が映えるし、画面映りもいい。

本作は現代劇なんで、その千恵蔵先生が背広姿。平成の感覚でいうと頭でっかちでカッコよくないのだが、そこが東映ファンには逆にカッコイイのである。

どんな変装しても、異様に頭がデカイ千恵蔵先生マル出しマルわかりなのに、誰も気付かない、というお約束が多羅尾伴内の醍醐味である。

 

悪魔の手毬唄東映1961年

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市川崑石坂浩二、じゃないよ。健さんが主演だ。

健さん主演作で、見たことがある中では、これが一番古いはず。当然主人公・金田一耕助役。

え?健さん金田一? ボサボサ頭をゴリゴリかくの? とお思いかも知れないが、当時の横溝モノ・金田一モノは、原作なんてほとんど名前だけで、話の筋もキャラクターも全然別物。健さん金田一もモダンなスーツ姿で、外車を乗り回し、女性秘書まで連れてる。全く明智小五郎みたいなもんだ。原作とは、殺される人間も違うし、犯人も全く別。まあ横溝ファンは別にして、健さんの異色作という価値くらいかな。

 

「べらんめえ芸者と大阪娘」東映1962年

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これは健さん客演で主人公の恋人役。主演は昭和歌謡界の女王・美空ひばり

東映には「ひばり映画」というドル箱があり、だいたいは時代劇なんだが、これは「べらんめえ芸者」シリーズという現代モノ。当作は、キップのイイ江戸前芸者と、大阪弁のおっとりした浪花娘、ひばりの一人二役が見所。当然CGもなく、特撮も難しかった時代、いろいろと工夫して画面を作ってます。

 

【追悼】高倉健映画列伝(東映任侠時代)~「人生劇場」の幕が開く。 - 在日琉球人の王政復古日記

へ続く。