在日琉球人の王政復古日記

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「大阪都」構想住民投票~ネオリベ橋下市長VSコンサバ+ソシアル連合軍~最後に笑う江田憲司(笑)?

橋下大阪市長の「大阪都」構想の住民投票が明日らしいが、

これに賛成する学者、知識人、言論人、著名なネット論客も結構いるが、

これに反対する学者、知識人、言論人、著名なネット論客も結構いる。

 

最近、反対派で目立つのは、京都大学藤井聡さんや作家の適菜収さんだろう。一部で人気の三橋貴明さんも反対の論陣を張っている。

 

しかし、橋下さんと激しく敵対していた知識人といえば、ちょっと前までなら、内田樹さんを筆頭に、中島岳志さん山口二郎さん香山リカさん高村薫さん、といったあたりだった(以下敬称略)。

 

さて、皆さん、上記のお歴々を見て、ちょっと変だと思わないだろうか?

 

藤井聡、適菜収、三橋貴明は、自他共に認める保守派・アンチリベラルである。

対して、内田樹中島岳志山口二郎香山リカは、どう見たってリベラル派・非保守である。

つまり橋下市長の政策に対して、保守派も反対し、リベラル派も反対してるのだ。

そして自民党大阪府連も共産党も反対している。

 

橋下市長と敵対している人々は「橋下市長のやる事、やり方に反対だ」という一点では同じだが、その他の政治課題においては、それぞれお互いに、同一意見とはとても言えない。たとえば集団的自衛権憲法改正問題や対支那・対韓国外交に関して、意見が一致するとは思えない。おそらく激しく対立するだろう

 

結局、橋下市長の政策とは、右なのか?左なのか? 

保守派が対立するということは、リベラルなのか?

リベラル派が対立するということは、右翼なのか?

 

政治を保守/リベラル、右翼/左翼で大きく「2つ」に分けるのは、有効な場合も多々あるが、今回のように上手く説明できないこともある。

政治思想は「2つ」に分けるより、「3つ」に分けたほうが判りやすいのだ。 

 

ネオリベ、ソシアル、コンサバ~現実的な政治路線は「3つ」しかない。あるいは「3つ」もある。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

もちろん大前提として、個々に違いがあるは当然だが、大雑把にざっくり分ければ、

藤井聡、適菜収、三橋貴明は、「コンサバ」なのだ。 

内田樹中島岳志山口二郎香山リカは、「ソシアル」である。

そして双方から嫌われる橋下市長は「ネオリベ」なのである。

だから、ナショナリストからも、共産党からも、批判されるのだ。

政治は、「左右の対立」ではなく、「三つ巴」と考えた方が判りやすい。

 

<首相>関西入り波紋 大阪都構想、住民投票直前に (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 安倍晋三首相が「大阪都構想」の賛否を問う住民投票(17日)を前に16日から関西地方を視察することになり、自民党大阪府連と大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)がやきもきしている。首相は大阪を通過するだけで街頭演説などはなさそうだが、双方が首相との近さを競い合うだけに、一挙手一投足が気になるようだ。

<大阪都構想>官邸と自民、違い鮮明 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 大阪市を廃止し特別区に再編する「大阪都構想」に関する住民投票を17日に控え、構想に対する首相官邸自民党の違いが鮮明になっている。

 菅義偉官房長官は11日の記者会見で、「二重行政を解消するのは当然。大阪市は(横浜市よりも)人口が100万人少ないのに職員の数は1万5000人多い」などと指摘。さらに、党府連が構想に反対する街頭演説会を共産党などと行ったことに触れ、「個人的には全く理解できない」と切り捨てた。

 一方、自民党谷垣禎一幹事長は会見で、「関西の問題では大阪が先頭に立ってくれないと、いろいろなことが進んでいかない。大阪市がなくなるのはどうなのかと、京都(選出の)議員としては感じる」と強調。「(党府連の)同志が必死の戦いをしている。大きなシンパシーを持っている」と擁護した。  

 大阪都構想大阪維新の会が主張している。改憲を視野に維新の党と近い関係を保ちたい官邸側と、関西で維新と激しい選挙戦を行ってきた党側の思惑の違いが背景にあるとみられる。

 

自民党大阪府連はアンチ橋下である。彼らは基本的にコンサバだからだ。

大阪だけでなく、自民党の地方組織は、基本的にコンサバであり、一部ソシアルも混ざっている。ネオリベはほとんどいない。

 

しかし、中央の安倍内閣は、ネオリベの橋下市長に融和的である。

あれれ?靖国に行きたがる安倍ちゃんはゴリゴリのコンサバではなかったか?

たとえ本心はコンサバだとしても(笑)、日本国の首相はアメリカと連携(という美名の従属)の姿勢を取ることが絶対条件なのだ。

つまり「親米」が最優先である。そして「親米」とは、コンサバではなく、ネオリベなのだ。

なぜなら、「親米」とは、右翼ではなく、論理的には「戦前の日本を否定する」ことだからだ。

大東亜戦争は聖戦だった。ハルノートコミンテルンの陰謀!」という主張と

「日本はアメリカと価値観を共有する同盟国」という主張は

頭がアレレなネトウヨでもない限り、両立しないのである。

 

例えば、自民党の地方組織は地元の脆弱な産業を守るためにTPPに反対する。コンサバだからだ。

しかし自民党の中央はアメリカとの関係もあって、最終的にネオリベに流れざるをえない。つまりTPP推進となる。

 

おそらく、橋下市長に好意的な皆さんは、小泉政権を支持していた、TPP賛成、財政健全化推進、バラマキ財政出動反対、小さな政府、必要ならば移民受け入れも賛成、どこまでも親米、日米安保大賛成、大東亜戦争は否定、戦前の日本は間違っていた、改憲は9条のみで十分、愛国心は余計なお世話、韓国には困ったもんだが安全保障上見捨てるわけにも行かない、経済を考えれば支那と喧嘩はできない、、、という意見に近いのではないか?

 

コンサバの皆さんから見れば、ネオリベ売国奴

ソシアルの皆さんから見れば、ネオリベアメリカの犬、ということになる。

 

そして、橋下市長に反対の皆さんは、小泉政権は間違いだった、TPP反対、財政健全化は財務省の陰謀、財政出動で景気回復、何でもかんでもアメリカの言いなりになるな!、あたりはまでは、コンサバもリベラルも意見が一致するんではないか?

まあ、大東亜戦争の評価や憲法改正になると、激しく対立することになるのだが。

 

・・・・・

 

以上、理屈から言えば上記で説明が付く。

しかし、政治は、機械がやるものではなく、人間のやるものだ。

理屈だけでは割り切れない部分がある。

 

橋氏市長の大阪都構想に関しては、ネオリベ、コンサバ、ソシアルの理屈だけで動いているわけではない。

大阪都構想に賛成している人は、橋下市長が言い出したから賛成しているわけではなく、大阪都が純粋にネオリベ思想に合致しそうだから賛成している人が多いと思う。

しかし、大阪都構想に反対している人は、ネオリベ思想が嫌いだから反対しているだけでなく、橋下市長という人間そのものが嫌いだから、反対している人が多いと思う。

 

橋下市長という政治家の手法は、

・自分に賛成しない勢力は敵と認定する。

・敵を攻撃して、政治的勝ち点を上げる。

・強い政治家というイメージで、票を集める。

というやり方だ。

朝日新聞毎日新聞労働組合に噛み付くだけなら、コンサバ陣営も好意的中立だったのだが、意見が異なれば、保守派でも徹底して攻撃した。

結局、橋下さんは、自民、民主、共産、公明、主要政党全部に喧嘩を売ったことがあるのだ(笑)。

 

このやり方は急スピードで出世の階段を登れるが、余計な敵を増やしていくことになる。

橋下さんの「住民投票に負けたら政界引退」宣言は、味方の引き締めには効果があるが、

大阪都は正直よく判らん。というか、実はなんとなく良さそうな気もする(笑)。しかしとにかく橋下が気に入らん。橋下が負けるところが見たいから反対!」

という流れも作っているように思われる。

 

もしも、住民投票が反対で、橋下さん引退なら、維新は大打撃。

相対的に損をするのは、改憲を目指す安倍政権

相対的に得をするのは、ライバルが減る岡田民主党ということになるが、

最大の利益を得るのは、タダで維新を丸ごと手に入れる、坊主丸儲けの「政界わらしべ長者江田憲司ということになるのかもしれない(笑)。