この風景が、この事件の、真相であり、犯人である。
どんな事件でもそうだが、その地名で予断と偏見を持ってしまうことがある。
新宿歌舞伎町で発砲騒ぎで怪我人、となれば、まあヤクザを想像する。
長野県なんとか村で発砲騒ぎで怪我人、となれば、猟友会の事故を想像する。
歌舞伎町で猟友会が事故を起こす可能性はかなり少ないだろうし、
長野県の山奥でヤクザが発砲することもあんまりないだろう。
逆にまったく知らない地名だと、何の想像も働かないので、予断と偏見を持たずには済む。のだが、たとえ予断と偏見であっても、その地名である程度イメージが沸かないと、その事件の背景はなかなか判らない。
サウスカロライナの教会で乱射事件。
となれば、もうそれだけで、教会はゴスペルが流れてそうなプロテスタント、殺されたのはまず確実に黒人で、殺したのもおそらく白人男性である。
まずカトリックのヒスパニックは登場しないし、頭のおかしいアジア系も出番はないだろ、という予断と偏見を持ってしまう。
で、実際、その通りだった。
<米教会乱射>容疑者、過激さ増していた人種差別言動 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
2015/06/19
米サウスカロライナ州チャールストンの黒人教会で起きた銃乱射事件で、逮捕された白人のディラン・ローフ容疑者(21)は最近になり、人種差別的な言動が過激さを増していた。捜査当局による動機や背後関係の解明はこれからだが、米国では人種差別に基づく「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」が後を絶たない。今回の事件は、米社会に重い課題を改めて突きつけた。
(略)
黒いジャケットを着たローフ容疑者のフェイスブックの写真。胸のあたりに、アパルトヘイト(人種隔離)政策時代の南アフリカや、白人支配が続いた旧ローデシア(現在のジンバブエ)の国旗のワッペンをつけ、正面をにらみつけている。
容疑者は州都コロンビア近郊で生まれ育ったとみられ、米紙ニューヨーク・タイムズは、少年時代は静かで、内気だったという友人の話を伝えている。母親に「外に出て、友達を作りなさい」と言われていたほどだった。
高校は中退。造園関係の仕事をしていたが、車の中に寝泊まりするなど、生活はすさんでいった。今年に入り、薬物所持や不法侵入容疑で逮捕された。白人至上主義的な思想を持つようになり、友人は「人種隔離はこうあるべきだとか、白人は白人同士でいるべきだという話ばかりしていた」と証言する。
4月の21歳の誕生日に父親が銃を買い与えた。警察によると、その銃を持って今月17日に訪れたのが、黒人奴隷解放運動の「聖地」ともいえる事件現場の教会だった。
チャールストンはかつて、奴隷貿易で栄えた。この教会は奴隷制度の存否を巡る南北戦争前の1816年創設で、米南部で最も古いアフリカン・メソジスト監督教会だ。奴隷廃止の活動で焼き打ちにあったり、黒人人権活動家のマーティン・ルーサー・キング牧師が訪問したりした歴史を持つ。
事件当日、教会では、牧師で州上院議員のクレメンタ・ピンクニー氏(41)による聖書の勉強会が開かれていた。容疑者は議論を1時間ほど見守った後、突然立ち上がって銃を取り出した。なだめようとした参加者の男性に対し、「お前たちは私たち(白人)の女性をレイプし、この国を乗っ取ろうとしている」と語ったという。この男性や牧師を含め、26~87歳の男女計9人が銃撃の犠牲になった。
アメリカ南部サウスカロライナのオヤジは「おまえもオトナになったんだから銃くらい持たないといかんな」と息子に銃を買い与える。
いくら田舎のサウスカロライナとはいえ、都会に住んでいて、まわりには野生動物なんかいない。いったい、どこで使うのか、いつ撃つのか、何を撃つのか、明確な目的もない銃を買い与える。
百歩譲って、その息子が、学校を出て、ちゃんと定職について、彼女もいるなら、安定した社会生活を送っているのなら、まだわからないではないが、
母親が引き篭もりを心配するような性格で、学校中退、仕事も止めて、犯罪歴、そんな精神状態なのに、
そんな息子に、オヤジは、銃をプレゼントする。
いや、オヤジは、いい歳してナヨナヨしたオカマみたいなダメ息子を心配して、イッチョ前の南部男に鍛え上げるために、銃を与えたのかもしれない。銃を持てば息子も一本背骨が通ってシャキッとしたオトコになるだろう、と。
なだめようとした参加者の男性に対し、「お前たちは私たち(白人)の女性をレイプし、この国を乗っ取ろうとしている」と語ったという。
気が滅入るほど、判り易い犯行動機である。
「南部の息子」は銃という固い固い「おちんちん」をプレゼントしてもらったけど、おちんちんを挿入する相手が見つからなかった。まあ、あんな筋肉のないオカッパ頭じゃ、アメリカの平均的女性にはモテなかっただろう。
しかし「南部の息子」は、自分がもてないという結論を認めない。オレがセックスできる白人女性は絶対にいるはずなのだ。じゃあオレの彼女との出会いを邪魔しているのは誰だ?
彼が東海岸や西海岸に住んでいれば、学校のアメフト部のマッチョイケメンへの嫉妬で済んでいたかもしれないが、南部には白人男性のストレスを黒人への憎悪に発散させる文化が残っている。
くそったれ、ニガーのオスどもは、筋肉モリモリで、ヒップホップなんて踊って、女性に話しかける時も緊張しないでジョークなんか言いやがる。
あいつらニガーが、神様がオレのために用意してくれたはずの、オレ専用のホワイトガールを奪ってセックスしまくってるんだ!
彼が日本の大都市圏の青年だったら、AVと二次元アニメでほぼ解決していた話である。それがアメリカ南部だと9人の人間を殺すことになる。
もう、理由が理由だけに、やりきれなさも底知れない。
南部の誇り? 差別の象徴? 乱射事件で「南部連合旗」議論再燃 米 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース
黒人9人が死亡した教会での銃乱射事件が起きた米南部サウスカロライナ(South Carolina)州では、事件発生翌日の18日、各地で半旗が掲げられた──ある一つの際立った例外を除いて。
州都コロンビア(Columbia)の州議会議事堂前では、南北戦争時の南部連合戦旗が事件後の今も高く掲揚されており、奴隷制を支持し米国からの分離独立を宣言した南部が敗れてから150年以上が過ぎた現在、この旗の持つ象徴性をめぐる議論が再燃している。
13の星がX形に並べられたこの赤・青・白の旗には多くの南部住民が共感しており、同州チャールストン(Charleston)のエマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会(Emanuel African Methodist Episcopal Church)で銃乱射事件を起こしたとされる白人のディラン・ルーフ(Dylann Roof)容疑者(21)もその一人だった。
同州のテレビ記者がツイッター(Twitter)に投稿した画像で、ルーフ容疑者が腰かけている1990年代の現代(ヒュンダイ)自動車(Hyundai Motor)製セダンには、南部連合旗が描かれた「南部連合国(Confederate States of America)」のステッカーがナンバープレートに貼られていた。
州議会前では、国旗と州旗でさえ半旗になったのにもかかわらず、南部連合旗が高々と掲揚されたままだったことに、一部からは強い反発が起きた。だが、南部連合旗はそう簡単に降ろせるわけではない。州当局者によれば、この旗を揚げたり降ろしたりする権限は、法律により州議会にだけ与えられているという。
■南部の尊厳の象徴か、人種差別のシンボルか
南部連合旗の評価は、現在も受け継がれる米南部の尊厳と伝統を示す象徴ととらえる支持派と、人種差別と白人至上主義のシンボルだとみる反対派に分かれている。
南部連合旗に対する支持・不支持の感情は、南北戦争が始まった地であるサウスカロライナ州ではいっそう強い。(南北戦争は1861年4月、チャールストン港のサムター要塞(Fort Sumter)の戦闘で口火を切った。さらにチャールストンは大西洋間奴隷貿易の米国側の中心地で、奴隷になったアフリカ人のうち40%が同市を通過したとされている)
2014年にコロンビアのステート(State)紙が行った調査によると、議会外に南部連合旗を掲揚し続けるべきと回答した同州の白人住民は4人に3人の割合に達し、逆に同旗を撤去すべきと回答した黒人住民は61%に上った。
南北戦争。それは、サウスカロライナみたいな南部では、けっして150年前で終わった話ではない。
Amazing Grace~日本独断「個別的自衛権」より、アメリカ「集団的自衛権」の方が、まだマシではないか? - 在日琉球人の王政復古日記
しかし、いくらなんでも、もういい加減にしろ、とアメリカの東部や西海岸のリベラル派は、南部に不快感を露にしている。
MSNBC(アメリカ・テレビ・リベラル系)
South Carolina's Confederate flag not lowered to half-staff after massacre | MSNBC
ABC(アメリカ・テレビ・中間)
Take Down the Confederate Flag - The Atlantic
マザージョーンズ(アメリカ・雑誌・左翼系)
大西洋の向こう側だと、保守系でさえ、アメリカ南部の特異性を奇異の目で見ている。
英国テレグラフ(英国・新聞・保守党系)