在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

女にうといボンクラ野郎+荒ぶるフェミニスト=奇跡のジェンダー・コラボ映画「マッドマックス怒りのデス・ロード」

女を助けるために、車をぶっ飛ばす、これが未来の「トラック野郎」だ(笑)!

 

http://wwws.warnerbros.co.jp/madmaxfuryroad/assets/img/gallery/3.jpg

 

才能か、偶然か、映画の神様に愛されてしまった映画、というのがたまにある。

 

ゴッドファーザー」「燃えよドラゴン」「スターウォーズ」「仁義なき戦い」「ダークナイト」、、、などと同様、今後も語り継がれる映画になるんだろう。

 

大ヒット上映中!映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』公式サイト

 

もちろん映画以外にも人生の娯楽はたくさんあるわけで、絶対!とはいわないが、「なんか面白いものは?」とか「映画でも見ようかな?」とか、もしカネとヒマがあるのなら、イロイロ趣味はあるだろうが、他の映画を見るくらいなら、コッチにしたほうがいい。

 

「マッドマックス怒りのデスロード」は、本当に、面白い。

 

私はシネフィルでも映画マニアでもないし、映画にまったく詳しくないし、見てきた本数もぜんぜん少ないし、ジャンルも非常に偏ってるが、この映画(以後MMFR)は歴史に残る傑作だと思う。

 

この分野、カーアクション映画としても、いやアクション映画全体でも、エポックメイキングだし、今後のアクション映画はこれが基準となるわけで、余計にハードル上げまくりの業界内近所迷惑(笑)な映画だ。

  

おそらく、MMFRの人気はネットで知ってるが、なんだか怖そうとか、グロいのは苦手とか、そういう人もいるだろうが、ご安心を。

 

MMFR(の優れた部分の一つである)は、残酷描写がほとんどない。

大流血も、人体破壊も、内臓ブチャー、もない。

MMFRがスゴイのは、アクション映画として、残酷描写に頼ってないところである。この内容なら、残酷テンコ盛りもできたし、その方が喜ぶ観客もいただろう。

まあR指定を受けてお客が減るのを回避する面が大きいだろうが、本当に面白い映画は無理して残酷描写を入れなくても作れる、という自信だろう。

 

私は映画を「政治的に」観る。

私からすれば、スターウォーズ」も、「犬神家の一族」も、松竹「寅さん」シリーズも、東宝「若大将」シリーズも、ちゃんと「政治映画」である。

MMFRも、まごうことなき正々堂々「政治映画」である。

 

ネットで、MMFRを巡る奇妙な論争が発生した。

MMFRフェミニズム映画である」という意見と

MMFRは誉め言葉として『バカ映画』なんだから、フェミニズムとか鬱陶しい小理屈は要らないんだよ!」という反発。

 

私から見れば、MMFRは明らかにフェミニズム映画であり、そこが2015年の映画としての意味でもある。

興味深いのは、フェミニズムと呼ばれることへの、MMFRファンの反発だ。

オレの愛するジャンクフードに、余計な添加物を入れるな!、てな感覚か。

 

しかし、MMFRファンは、

登場人物をマニアックに考察することに、反発するだろうか?

登場する自動車やバイクをマニアックに考察することに、反発するだろうか?

登場する武器や楽器(笑)をマニアックに考察することに、反発するだろうか?

他のアクション映画との比較をマニアックに考察することに、反発するだろうか?

そう楽しみには反発なんてしないはずである。逆に喜んで参加するだろう。

 

MMFR=フェミ映画」否定論は、

自動車や武器からMMFRを論じるは好きなのに、

フェミニズムからMMFRを論じるは反発を感じるのだ。

「バカ映画に理屈は要らない」、、、とはいうけどさ、

フェミニズムを論じるのも理屈だが、

フェミニズムに反発するのも(言語化されてないだけで)理屈なのである。

 

MMFRはまごうことなくフェミニズム映画だが、ジョージ・ミラー監督も明言するように、MMFRは「フェミニズムを訴える」映画ではない。

フェミニズムMMFRの目的・目標ではない。

フェミニズムは、奇怪なメイクアップや奇抜な自動車、狂ったキャラクター造形、魅力的な武器などなどと同じ、MMFRを成立させるための材料、道具なのだ。

 

MMFRフェミニズム映画の傑作であることは、MMFRが最高のバカ映画であることを否定しているわけではない。

逆だ。

最高のバカ映画でありながら、同時に、フェミニズム映画の傑作、であることこが、MMFRのスゴイところなのだ。

 

ボンクラ野郎とフェミニスト

お互い住んでる次元も思想もまるで違うように思えるが、

いい年こいて(笑)、恋愛よりバイオレンス!というボンクラ野郎も、

「人間、なんでもかんでも、男と女、ラブ&セックス、じゃねえだろっ!」

という反発では、フェミニズムと共通点はあるのだ。

 

オンナにモテない(笑)ボンクラ野郎を熱狂させるバカ映画の金字塔にして、

いい加減にしやがれ!と荒ぶるフェミニストが爆走するジェンダー映画。

奇跡のコラボレーションである。

優れた映画とはそういうものなのだ。

 

映画「マッドマックス怒りのデス・ロード」~ニュークス&ケイパブルの「キス」。マックス&フュリオサの「授乳」。 - 在日琉球人の王政復古日記