在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

#安倍談話 VS #村山談話 ~欧米列強の責任、日露戦争VS満州事変、慰安婦ゴメン、TPP推進。

一番の特徴は、具体的な国名・地名が列挙されていることだ。

 

【全文】「私たち日本人は世代を超えて過去の歴史に真正面から向き合わなければならない」安倍首相が戦後70年談話を発表 (1/2)

 

村山談話 - 1995年8月15日に発表

 

まず、村山談話に比較して、文章が2倍以上に増えた。

だから、イロイロ新しい要素も増えた。

 

実は《村山談話》は具体的な国名がほとんど入っていなかった。

「日本」以外の国名は「米国」のみ。

あとは「アジア」というくくりで、「中国」も「朝鮮」「韓国」もない。

 

《安倍談話》は、「露」「満州」「インドネシア」「フィリピン」「台湾」「韓国」「中国」「米国」「英国」「オランダ」「豪州」「広島」「長崎」「東京」「沖縄(※琉球を指すようだ笑)」、、、具体的国名・地名のオンパレードである。

 

 

村山談話》は、ぶっちゃけて言えば、

「日本は戦争やちゃいました」「日本はもう二度と戦争しません」とは書いてあるが、

「なんで日本は戦争したのか?」という理由と、「二度と戦争しないためには何が必要か?」という対策が、書いてない。

 

 

《安倍談話》は、大東亜戦争へ至る大きな背景として、

100年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が広がっていました。

と、全ての遠因に欧米列強のアジア侵略と植民地支配があったことを明記している。

 

となると、そもそも欧米が悪い!、と言ってることになるので(笑)、エクスキューズとして、わざわざ

米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

と、欧米への感謝を追記して、バランスを取ってるわけだ。

 

そして

日露戦争は植民地支配の元にあった多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。

として、日露戦争までは日本の行為に正当性はあった、としている。

 

しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が植民地経済を巻き込んだ経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして日本は世界の大勢を見失っていきました。

と、日本が戦争に突っ込んだ原因を明記している。

日本は、主体的に、自主的に、好き好んで大東亜戦争を始めたのではなく、

日本は、経済的に追い詰められて、方向を間違ったのだ、という弁明である。

 

日露戦争までは日本にも正義はあった。満州事変から日本は正義を失った。

いわゆる「司馬史観」ですな。

 

日露戦争「までは」肯定、ということは、韓国は怒りそうだが(笑)、朝鮮半島の植民地化に関しては当時の世界情勢からいって日本にも正当性がある、ということだ。

そこで、わざわざ

戦場の陰には深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも忘れてはなりません。

私たちは20世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み続けます。だからこそ、わが国はそうした女性たちの声に寄り添い、常に寄り添う国でありたい。21世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。

とかなりの分量で追記。

植民地支配まではしょうがなかったけれど、大東亜戦争慰安婦はゴメンね、と韓国向けのエクスキューズになってるわけだ。

 

大東亜戦争は「世界恐慌」と「経済ブロック化」が原因だ、となれば、戦争再発防止の方策は「世界恐慌を起こさない」「経済ブロック化しない」ということになる。

私たちは経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去をこの胸に刻み続けます。だからこそ、わが国はいかなる国の恣意にも左右されない、自由で公正で開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界のさらなる繁栄をけん引してまいります。

つまり、日本は世界経済の自由市場化を推進する、具体的には、TPPやFTAを推進する、ということだ。

 

《安倍談話》は「日本の農業を守る!」とは書いてない。

逆に正反対に、日本はTPPを推進します、それが二度と戦争しないための担保にもなるのです、という世界に向けての宣言なのである。