在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

《911映画列伝》《クリスマス映画列伝》「ラブ・アクチュアリー」(2003年)~アルカイダ&ブッシュ&ブレア批判。


ラブ・アクチュアリー

 

 

恋愛映画というより政治映画である。

というか、優れた恋愛映画は、たいていが優れた政治映画になってしまう。

 

ラブ・アクチュアリー」は「911テロ」から生まれた数多くの政治映画の中の一つだ。

 

911テロから14年。

同じ9月に、サッチャーの巨大なる政治遺産と戦う左翼政治家ジェレミー・コービン労働党の党首になりそうなのも、神の配剤か、何かの因縁か。

 

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ずばり、「ラブ・アクチュアリー」は、反保守、反ブッシュ、反アメリカ共和党、反米、反ブレア、がかなり露骨なイギリスのリベラル映画だ。

 

恋人同士、家族同士、友人同士が出会い、笑顔で抱き合う、空港の風景。

・・・映画の冒頭シーンから、メッセージは明確、というか露骨だ。

 

このシーンは、飛行機乗っ取り自爆テロへのアンチテーゼなのだ。

飛行機は好きな人に会うために、愛の為に飛ぶのであって、憎悪のカタマリとなってビルに突っ込む為に飛ぶのではない、ということだ。

 

登場するカップルは、異なる人種、異なる国籍、異なる階層の混じり合い。 

知的な黒人男性と美人の白人女性の新婚夫婦と、ダサい白人男性の友人。
知的なイギリス人男性と、肉体労働のポルトガル人女性。
見るからにイングランドな白人少年と、いかにもアメリカンな少女。
若いイギリス人首相と、おデブな女性秘書と、ガサツなアメリカ大統領。

リベラルの社会通念まる出しだ(笑)。

 

映画は、テロを引き起こしたアルカイダを批判した返す刀で、立場が反対の「ブッシュのアメリカ」も馬鹿にする。

イギリスのくたびれたロック歌手が、(当時の)アメリカを象徴するゴシップシンガー・ブリトニー・スピアーズを小馬鹿にする。
イギリスでは全然モテないダサい男が、(ブッシュに投票するような田舎者の住む)アメリカ中西部へ行けばアメリカ女にモテモテ。
まあ「反米」というよりは「笑米」、「笑・中西部(共和党支持基盤)」といったところか。

 

ヒュー・グラント演じる英国首相が、スケベで尊大な米国大統領に噛み付く。

あれは労働党を支持していた英国リベラル派が、当時のブレア首相に、戦争へ突き進むブッシュ大統領に対してやって欲しかった「願望」なのである。

つまり現実には、ブッシュに屈し、イラク戦争に加担したブレアへの批判でもある。

 

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もしあなたが政治的に親米派または保守派を自認しながら、「ラブ・アクチュアリー」を見て不愉快にならなかったら、あなたは政治にまったく向いていない。

または映画鑑賞に向いていない(笑)。