あなたの生活に、「源平合戦」「応仁の乱」の影響があるだろうか?
同じく「大東亜戦争」なんてどうでもいい。あなたに何の関係もない。
今の日本社会、あなたの生活に直結しているのは、「この戦争」の《敗戦》なのだ。
2008年頃のCM 広末涼子 バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
東宝映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」(2007)
日韓慰安婦問題も東京裁判も日本国憲法も靖国神社も日米安保もどうでもいい。
そんなことは、日本の本質的な問題ではない。
あなたの生活が苦しいのも、
あなたの就職活動が辛いのも、
あなたの仕事がしんどいのも、
全部、この《敗戦》から始まる。
大東亜戦争は、終戦の日を中心に、毎夏毎夏、今でも語られるのに、
それに比して、「バブル狂乱戦争」は、あまりにも忘れ去られている。
逆なのだ。サカサマなのだ。バブル狂乱こそ、毎年毎年語り継がれるべきなのだ。こっちの方が、また《開戦》する可能性が高いし、次も必ず不可避的に《敗戦》することはほぼ確実だからだ。
プラザ合意からから1990年代初頭にかけての、「バブル景気」という名の、文字通り日本の命運を賭けた大戦争に敗北したことが、その後の日本社会、日本政治、日本経済を決定的に変えた。
この戦争の発端は何で、敗戦の理由は何なのか?
「戦犯」は誰なのか?
始めた戦犯は誰で、必要以上に戦線を拡大した戦犯は誰で、大敗北に至った戦犯は誰なのか? 太平洋戦争同様、そもそも、この戦争を始めたことそれ自体に無理があったのではないか? 敗戦は最初から必然だったのではないか? そして戦後処理は正しかったのか?
真剣に考えるべきはこっちの戦争なのである。
バブルの絶頂期には、日本列島の不動産を全部売ったら、アメリカ合衆国がまるごと2個買える、いや3個買える、みたいな話が新聞や雑誌に載ったりした(当時、ネットはまだ無かった)。
正常な判断力ならば、この時点で「戦況判断の間違い」「戦争計画の異常さ」に気づかないとおかしいのだが、戦争の当事者というのは気付かないものなのだ。そこが、あらゆる戦争の本当の恐ろしさでもある。
太平洋戦争だって、当時の日米の工業力を考えるだけで、日本に勝てるわけが無いはずだったのに、真珠湾に突っ込んで行ったのである。
たとえばバブル絶頂期、企業のオフィス需要は爆発的に増えて、東京都全部を超高層ビルに建て替えても追いつかない、みたいな話もあった。当時でも日本の人口は1億2千万のまま増える予測もなかったのに、その広大なオフィスで、いったい誰が働くつもりだったのだろう?
昔を笑うな。
愚かさは今も変わらないのだ。
今だって、冷静に考察すれば、ウソ、無理、ありえないようなことを、人間は信じ込んでいるのだ。
いよいよ明日、NHK-BSでやるので、ご覧いただきたい。
2016/01/12(火)21:00〜22:57「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」
前もって言っておくが、映画自体は大したもんではない(笑)。
しかし映画の出来に関わらず、ここで扱われている問題が重要なのだ。
後日やる、この映画との対比も興味深い。
2016/01/23(土)18:45〜20:59「ALWAYS 三丁目の夕日」
ある意味、「三丁目の夕日」から始まった戦争の末路が「バブルへGO」なのだ。
世間には、こういう主張がある。
・・・太平洋戦争の発端、真珠湾攻撃は、アメリカの陰謀だった。
・・・ルーズベルト大統領は、真珠湾攻撃の情報を事前に攻撃を知っていたのに、阻止せず、わざと放置し、日本の攻撃を成功させて、日本との戦争の大義名分を手に入れた。
・・・日本はアメリカとの戦争に誘導されてしまった。
同じような話に、
・・・支那事変が泥沼に陥ったのは、全部、コミンテルンが悪い。
というのがある。
田母神さんや、その周辺が主張しているし、ネットにも信奉者が多い。
言うとバカだと思われるから黙っているけど(笑)、産経新聞あたりも、内心は、そう思っている、結構有力な戦争史観である。
バブル狂乱戦争にも、同じような陰謀論があった。
・・・バブル景気は正しかった。そのまま継続発展し続けることが出来た。日本はマダマダ世界一の経済大国だった。
・・・それを「誰か」の陰謀で、わざとバブル景気を潰された。
みたいな話だ。
映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」は、その陰謀史観に従って作られている。
製作者がホンキで信じていたのか、ネタなのか、判然とはしないが、「シャレですよシャレ」とか言いながら、案外ホンキなような気もする(笑)。
なぜなら、《戦争当事者》に反省は無いからだ。
作ったのは、ホイチョイ・プロダクションズ。バブル狂乱の思想的扇動者。
ナチスのゲッペルス、左翼運動における朝日ジャーナルに該当する(笑)。
製作は、バブル当時は飛ぶ鳥を落とす絶好調、今やテレビ不況の代名詞・フジテレビの社長になってしまった亀山千広さんである。歴史の悪意を感じる(笑)。
監督のホイチョイ・プロダクションズ・馬場康夫氏は成蹊大学出身。なんと、今の内閣総理大臣・安倍ちゃんの同級生で顔見知りらしい。
陰謀論を信じそうになってしまう、自分の弱さが怖い(笑)。
自分の弱さ、といえば、私は「かわいい」に対する感性が非常に欠乏しているので、いわゆるアイドルに興味がない。
美人の女優さんも「美人だな」とは思うが、それだけだ。
しかし、その私も、この映画の広末涼子にはやられそうになった(笑)。彼女を見るだけでも価値はあるかもしれない。
もう一つ。
この映画の時代考証の正しさを考察するほど、バブルの文化・風俗には詳しくないが、最初に見たとき、フジテレビで阿部と広末と吹石が携帯をいじってるシーンで、壁に、バブル終焉後の事件であるオウム真理教の指名手配写真が貼ってあったように見えた。「菊地」という文字が。
もしそうなら、時代的にありえない。錯覚かな?
それも確かめてみたいので、今回もう一度鑑賞したいと思う。
皆さんも是非、戦時の狂乱を。
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