天才を自称する青年が「私の質問に答えられる者がいるか?」と自慢した。
そこへロバに乗った老いた隠者が通りかかる。
「そこの老いた隠者よ、答えてみよ。我々が住むこの大地の中心はドコにある?」と、青年が問う。
「ワシのロバの後足が踏んでる場所がちょうど中心じゃよ」と、隠者は即答した。
「そんなわけがあるか?!」と、青年が嘲笑した。
「お疑いなら、あなたが実際に計測すればよかろう」と、隠者は返答した。
青年は言葉につまり、隠者は《大地の中心》を引きずりながら、ロバと共に去って行った。
中央アジアあたりが起源とされるが、各地にあるだろう笑い話である。
太陽系に「第9番惑星」存在か 米チーム発表 写真7枚 国際ニュース:AFPBB News
2016年1月21日
【1月21日 AFP】(更新)米カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームは20日、太陽系の最外縁部に存在する未知の巨大惑星を発見した可能性があると発表した。
チームが発表した声明によると、「プラネット・ナイン(Planet Nine)」の通称で呼ばれているこの天体は、地球の約10倍、冥王星の約5000倍の質量を持ち、「太陽系外縁部の異様な、非常に細長い軌道」を巡っている。「この新惑星が太陽の周りの公転軌道を完全に1周するのには1万~2万年かかる」と推定されるという。
(略)
「天界の科学」のことは、科学者にお任せするとして、
私は「地上の形而上学」のほうに興味がある。
第9惑星を予測したカリフォルニア工科大学のある、同じ国の同じ時代の話である。
米国人のおよそ4人に1人は「地球の公転」知らず、調査結果 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
【2月15日 AFP】米国人は科学がもたらす明るい展望に熱中にする一方で、基礎的な科学知識が不足していることが分かった。米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)が米シカゴ(Chicago)で開催した年次会合で14日に公表された調査結果によると、米国人のおよそ4人に1人は地球が太陽の周りを公転していることを知らなかった。
調査は米国国立科学財団(National Science Foundation、NSF)が米国の2200人以上を対象に実施。物理と生物に関する9つの質問をしたところ、正答数は平均6.5だった。「辛うじて合格」という程度の点数だ。
調査結果によると、地球が太陽の周りを公転していると知っていたのは回答者の74%。人間が原始的な生物から進化したことを知っていたのは半数に満たない48%だった。
(略)
この記事の「知らない」「知っている」という言葉が、
情報として「聞いたことがない」「聞いたことがある」という意味なのか?
それとも、その話を「信じない」「信じている」という意味で返答したのか?
やや判断に迷うところだ。
21世紀の今、「人間はサルから進化した」という、ダーウィン進化論を生まれてから一度も聞いたことがない(情報として知らない)という人がどれだけいるか?
聞いたことはあっても、聖書に反するので、そんなウソは知らない(信じない)、と答えた可能性も高い。
はたして、本当に、地球は太陽の周りを公転しているのだろうか?
本当に「地動説」が正しいのだろうか? 「天動説」は間違いなのか?
天動説は、地球が中心で、太陽が地球の周りを回る。
地動説は、太陽が中心で、地球が太陽の周りを回る。
本当に太陽が中心なのだろうか?
だって、銀河系全体から見れば、われわれの見てる太陽が「銀河系の中心」であるはずがない。もっと大きく見れば、銀河系だって「宇宙の中心」であるはずがない。
つまり、太陽は「宇宙の中心」ではないのだ。
「宇宙の中心」がどこにあるのか(ないのか)は知らないが、少なくとも、太陽を「宇宙の中心」と考える事は、地球を「宇宙の中心」と考える事と同じくらい間違っている。
同じ間違いなら、地球を「宇宙の中心」と考えても、いいではないか。
地球を「宇宙の中心」と考えても、第9惑星を含めた、天体の軌道がかなり複雑になるだけで、動きは説明はできるのである。計算は大変だけど、現在のわれわれにはコンピュータがある。
そして、重要なことは、地球が「宇宙の中心」ならば、人間は「世界の中心」から追放されなくて済む。人間は、世界の端っこの、その他大勢の脇役への仲間入りをしなくて済むのだ。人間が世界の主人公であり続けることができるのだ。
地球を中心から周辺へ蹴っ飛ばしたコペルニクスは本当に正しかったのか?
地動説のインパクトは、天界よりも、地上の方が大きかったように思う。
地動説のおかげで、たしかに惑星軌道は単純になったかもしれないが、人間社会は複雑になった。
世界の中心から放り出されたら、人間も人間社会も、この宇宙において、特別な存在ではない。特別の存在でないのなら、いくらでも分解して、研究することができる。
こうして人間は、個人となり、動物となり、血と肉と骨となり、細胞となり、DNAとなり、タンパク質とミネラルと水分と脂肪となり、バラバラされた。
人間社会は、同じ神を信仰する1個の世界から、同じ言葉を話す複数の世界へ分かれていく。社会が不動で永遠のモノではないのなら、気に入らなければ革命でぶっ壊して作り直してもいい。
人間社会に「近代」がやってきたのである。
そして、コペルニクス本人にもとばっちりがやってくる。
はたしてコペルニクスは何人か? 人数ではない(笑)。国籍または民族である。
コペルニクスはトルンという町に生まれた。
現在はポーランド領である。しかし歴史上は、プロイセン領だったこともある。
彼自身、ポーランド語を喋っていたかどうかも怪しい。ドイツ語の先祖を喋っていたかもしれない。
地動説を発見した偉大なる天才・コペルニクスは、ポーランド人か?プロイセン人(つまりドイツ人)か?、で論争がおこった。
北方領土は、日本の領土か?ロシアの領土か?
のり巻や剣道や折り紙は、日本が起源か?韓国が起源か?
人間のやってることは、悲しいほどに、ドコでも同じである(笑)。
おそらく、コペルニクス自身は、ポーランド人だのドイツ人だのという意識は無かっただろう。当時そういう分類はポピュラーではなかったからだ。
彼は、まずトルン市民であり、ポーランド、リトアニア、ボヘミア、ハンガリーにまたがる多民族国家ヤギェウォ王朝の臣民であり、なによりカトリック教徒(=人間)だったのである。
1個のカトリック教圏(=人間世界そのもの)だったヨーロッパを、プロテスタントの誕生で分裂させ、さらに、ポーランドだのドイツだの、言葉や、民族や、経済や、軍事の恣意的な線引きで、国境を作り、国土を作り、ナショナリズムを生んだのも、コペルニクスの地動説と同じ、近代への流れだ。
地上が分割され、人々が分裂していく時代、これもまた、コペルニクス(の時代)が生んだもう一つの「地動説」だ。
その分け方が、普遍的な真理、当然の正義かどうかなんて、誰にも計測できない。
昨今、イスラム難民でゆれるEUは、コペルニクスの「地動説=ナショナリズム」への、「天動説=グローバリズム」からの巻き返し、とも言えるわけだ。
第9惑星は本当に存在するのか?
本当に地球は太陽の周りを公転しているのか?
世界の中心は、太陽なのか?、地球なのか?、それともロバの後足か?
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