在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

アメリカ大統領選挙~ドナルド・トランプを巡るアメリカ版「ネトウヨVS保守派言論人」の内ゲバ。

あんまり日本語では紹介されない面白い記事があった。

 

CNN.co.jp : トランプ氏めぐり保守系メディアが二分 米大統領選 - (1/3)

ニューヨーク(CNNMoney) 来年の米大統領選に向けた共和党指名候補争いで、実業家のドナルド・トランプ氏がこの夏、同党有権者の支持を多く獲得した。だが、トランプ氏に関する意見は既存の保守系メディアの間で大きく割れている。
コメンテーターの中には、トランプ氏が保守主義を侮辱し、共和党が政権に返り咲く可能性を危うくしているとの批判がある一方、米国政治に欠けている反体制的な戦闘姿勢を同氏が体現しているとする声もある。
以下では、保守系メディアで影響力が強い人物らのトランプ氏をめぐる立ち位置を見る。

 

興味のある人なら、

新聞のニューヨークタイムス、ワシントンポストはリベラル、

テレビのCNNはややリベラル寄り、FOXはガチガチの保守系で共和党支持、

みたいなバランスは知っていると思うけど、

アメリカ独特なのが、ラジオの影響力なのだ。

 

車社会、国土が広く長時間ドライブのアメリカでは、今でもラジオが新聞・テレビ並みの影響力を持つ。

そしてラジオの世界では圧倒的に保守派・共和党支持が強い。長時間ドライブするような場所はアメリカでも中西部なわけで、共和党の地盤だからだ。

 

そんなFOXや保守系ラジオ、あと保守言論雑誌の業界では、普段なら共和党支持でだいたい一枚岩なのに、今回はトランプ支持か?トランプ批判か?で、意見が二分しているらしい。

 

トランプ氏の味方

 

アン・クールター氏:保守派として有名なメディア人の中でも最も熱烈にトランプ氏を支持。特にトランプ氏の強硬な移民政策に共感しており、人工妊娠中絶などを行う非営利組織「全米家族計画連盟」を同氏が支持したことには目をつむる構えだ。

 

ショーン・ハニティ氏:フォックス・ニュースの司会者。トランプ氏と同ニュースのロジャー・アイレス会長の間で最近もめ事があった際は、仲介役に。トランプ氏はこの後、ハニティ氏とのインタビューには和やかに応じた。
ハニティ氏はやはり保守派のグレン・ベック氏の批判からトランプ氏を擁護。ベック氏宛ての公開書簡の中で、「政治に関する彼の率直な外部からの視点を気に入っている」などと述べた。

 

ビル・オライリー:数百万人の不法移民を強制送還するとのトランプ氏の公約をめぐり、8月18日夜のインタビューで問いただした。ただ、両氏がお互いに敬意を持っているのは明白で、12年には共に米大リーグ・ヤンキースの試合を観戦。6月には「ヒラリー・クリントン氏のあいまいな言動よりトランプ氏の率直な物言いの方が良い。いつ何時でもだ」と述べた。

 

ラッシュ・リンボー:米国で最も人気のあるラジオ司会者の一人。いずれの共和党候補に対しても批判を避ける方針だが、トランプ氏に良い印象を持っていることは間違いない。7月には、「移民に関する議論に全面的な変化をもたらした」として評価した。

 

マイケル・サベッジ氏:保守派のラジオ司会者。コールター氏に唯一比肩するほど熱烈なトランプ氏支持派で、「我々が持つ最高の選択肢」としている。7月、ラジオ番組のゲストとしてトランプ氏を招いた際は、「あなたはこの時代のウィンストン・チャーチル(元英首相)だ」と述べた。

 

ブレイトバート・コム保守系のニュースサイト。トランプ氏とは長年、良好な関係を築いており、トランプ氏の側でもここ数年、同サイトに「独占ニュース」を提供。8月15日付の記事では、トランプ氏は「絶好調」であり「大統領の風格」を見せたとしている。

 

トランプ氏の敵

 

ジョージ・ウィル氏保守系コラムニストで、トランプ氏とは犬猿の仲。トランプ氏はツイッターで再三ウィル氏を攻撃しており、フォックス・ニュースが同氏の出演を許していることに疑念を呈した。
一方、ウィル氏の側でも8月12日に米紙ワシントン・ポストのコラムで、トランプ氏は「偽の共和党員」だと反撃。16日には、核兵器を動かす権限を同氏に与えることの是非を考慮すれば、有権者は考えを改めるはずだと示唆した。

 

チャールズ・クラウトハマー氏:やはりツイッター上でトランプ氏の批判の標的となっている。同氏が8月上旬、クラウトハマー氏の「好意的なコメント」に謝意を表明したことで、攻撃はいったん収束。
だが数日後、共和党候補が初めて一堂に会したテレビ討論会をめぐりトランプ氏が不満をもらしたことに対し、同氏の「タフガイ」のイメージにそぐわないとクラウトハマー氏が述べ論戦が再燃。トランプ氏はツイッターで、フォックス・ニュースは同氏を解雇すべきだと攻撃した。

 

グレン・ベック:フォックス・ニュースの元司会者で、トランプ氏が保守派識者の支持を集めている状況に困惑。フェイスブック上でハニティ氏らの支持に異論を唱え、「みな優秀な人たちだ」「私は何を見逃しているのだろうか」と述べた。
ベック氏は17日にもハニティ氏の番組に論及。「民主党支持者と自己規定することが多かったトランプ氏の過去の言動を見て、なぜ保守派が彼を味方だと思えるのか理解に苦しむ」と述べた。

 

ビル・クリストル氏:保守派の週刊誌「ウイークリー・スタンダード」の編集者。トランプ氏はジョン・マケイン上院議員のベトナム戦争従軍に関し辛らつなコメントを表明したことで、クリストル氏の支持を失った。
クリストル氏はマケイン議員に関するコメントがトランプ氏に打撃を与えると予想。これは外れたが、依然としてトランプ陣営の失速を予想している。

 

米紙ウォールストリート・ジャーナルの論説面:同紙の論説委員はトランプ陣営に批判的であり、同紙を所有するルパート・マードックがトランプ氏の選挙戦追放を画策しているのではとの臆測を呼んでいる。
マードック氏は7月、トランプ氏が国を「うろたえさせている」と言及。だが最近、電話で会談し、批判の調子を和らげた。
ただ同紙の論説面は依然として追及を緩めず、8月17日付の紙面では、トランプ氏の移民政策を支持すれば共和党が「強制送還党」になるとする社説を掲載した。

 

日本で普通に暮らし、日本語メディアだけを見ている限り、アンタ誰?という、あんまりお馴染みの無い人ばっかりである。でもアメリカでは知名度がある人たちだ。

私も詳しいわけではないが、ある程度ご紹介したい。

 

アン・クールターは白人女性。日本じゃ「コールター」と書かれることが多い。この中では比較的有名。アメリカ版「櫻井よしこ」サンといえば判りやすいか(笑)。徹底した民主党嫌い、イスラム嫌い、発言の過激さで悪名高い暴言女王である。宗派は長老派。ドイツ系か?スコッチ・アイリッシュか?その混血だろう。

 

ショーン・ハニティはFOX系らしいがあんまり良く知らない。この名前でカトリックということはアイリッシュだろう。

 

ビル・オライリーFOXテレビで有名。ネット検索すればいろいろ出てくる。こっちも名前からしてアイリッシュ。宗派もカトリック

 

ラッシュ・リンボーはアメリカのラジオの一番の有名人。日本でいえば「やしきたかじん」をもっとむき出し(笑)にしたような人である。ドイツ系で宗派はメソジスト。

 

マイケル・サベッジもラジオ。あんまり知らない。ユダヤ系らしい。

 

ブレイトバート・コムは保守系ネットメディア。ユダヤ系。

 

ジョージ・ウィルは著作も多い有名なコラムニスト。日本でいうなら文芸春秋中央公論あたりで評論を書いて、ハードカバーの政治書籍を出版するタイプ。泣く子も黙る正統保守本流だが、調べてみると意外にも無神論者らしい。ちょっとビックリ。

 

チャールズ・クラウトハマーも新聞コラムニスト。フランス系ユダヤ人。外国人嫌いで引き篭もりのトランプやその支持者とは正反対に、アメリカは世界に関与すべきだ、とする典型的なネオコン主義者である。東海岸ユダヤ人らしく合理的で、福音派とも対立する。

 

グレン・ベックも有名。これもビックリで実はモルモン教徒らしい。アンチ・オバマケア=アンチ・オバマ運動の茶会(ティー・パーティー)の仕掛け人の一人。

 

ビル・クリストルは誰でも知ってる大物保守派言論人。ユダヤ系。親父さんのアービングはアンチ・ソ連トロツキストから、ソ連を倒すために保守派に転向した思想家。レーガンを育てたネオコンのドンである。保守といってもSAPIOやWILLみたいなレベルには寄稿しない高級言論人である。

 

ウォールストリートジャーナルは、有力新聞の中では唯一の保守系。ただし宗教保守ではなく経済保守。ネオコンにも近い。

 

こう見てみると、非常に明確だ。

 

同じ保守系でも、

テレビやラジオで活躍する「おしゃべり」が、トランプ支持。

新聞や雑誌で評論を書く「執筆者」が、トランプ批判。

あんまり学識の高くない、専門書も読みそうにない人が、トランプ支持。

学識が高く、政治学者・哲学者レベルの人が、トランプ批判。 

海外に興味がなく、国内問題専門の人が、トランプ支持。

海外を視野に入れた、世界の中のアメリカを考える人が、トランプ批判。

自身がキリスト教福音派、または、福音派相手に商売する人が、トランプ支持。

政治にキリスト教をあんまり持ち込まない合理的な人が、トランプ批判。

ラジオをネットに置き換えれば、アメリカのネトウヨはトランプ支持。

バークやハイエクアリストテレスを読みそうな知識人がトランプ批判。

という感じになる。

 

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