在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

ガンジーの糸車は70年後を予測できたか?~インド財閥撤退でイギリス白人失業危機~英連邦「コモンウェルス・ゲームズ」。

英王子夫妻、「幸せの国」ブータン初訪問 国王夫妻が歓迎 写真16枚 国際ニュース:AFPBB News

2016年04月15日
英国のウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge)の夫妻が14日、「国民総幸福量(GNH)」を掲げていることで知られるヒマラヤ山脈の王国ブータンを初訪問し、同国のジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク(Jigme Khesar Namgyel Wangchuck)国王とジェツン・ペマ(Jetsun Pema)王妃の歓迎を受けた。(c)AFP

 

ヴィジュアル効果を駆使した演出で、某島国で人気をゲットした山国の国王ご夫妻が、今度は自国に、前々世紀の世界覇権帝国の末裔をお迎えしたようである。

 

ブータン国王七変化~「和服」という外交戦術。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

この2国は普通の間柄ではない。ブータンはかつて大英帝国の植民地だ。

日本と琉球の関係とあんまり変わらないのだ。

琉球王統尚氏にも、ワンチュク陛下のような知恵者がいれば、多少は歴史も変わったやも知れぬ。嗚呼(笑)。

 

ウィリアム王子ご夫妻はブータンだけをご訪問したわけではない。

その前に、政治的にももっと大きな意味のある大国に訪問している。

 

英ウィリアム王子夫妻がインド初訪問、クリケットに挑戦 (CNN.co.jp) - Yahoo!ニュース

英王室のウィリアム王子とキャサリン妃が10日からインドを初訪問している。最初の訪問先となった西部ムンバイでは、夫妻がインドの国民的スポーツ、クリケットに挑戦する場面もみられた。
ウィリアム王子夫妻はムンバイの競技場オーバル・マイダンで、地元の子どもたちとのスポーツ・イベントに参加。クリケット界のスター、サチン・テンドルカール元選手のボールにキャサリン妃が勇ましくバットを振り、ウィリアム王子も自慢の腕前を披露した。

 

言うまでもなく、いや、言わないと知らない人のほうが多いか(笑)、インドもイギリスの植民地だった。だったどころではなく、事実上イギリス最大、最重要、別格の植民地だった。

イギリス女王はわざわざ「インド皇帝」を名乗った。アフリカやオーストラリアなどの他の植民地とは格が違ったわけだ。

イギリスはインドから搾り取った莫大な利益によって、世界に君臨する世界覇権帝国を創り上げた。

 

旧宗主国と旧植民地。じゃあ歴史認識問題で対立しているか(笑)?

といえば、確かに、インドの在野や、歴史学のテリトリーでは、植民地時代のイギリスの残虐行為を告発する声もないではないが、現在の政治への影響は極めて少ない。

 

イギリスの場合、インドのような遠いアジアやアフリカの植民地より、どっちかというと、白人同士、隣のアイルランドとの関係のほうがはるかにトラブッた。北アイルランドでは、日本でいえば朝鮮総連みたいな組織(笑)と在特会みたいな組織(笑)が、双方武装して、お互いに爆弾や銃で殺し合っていたのである。

比較的平穏だった南米でも、いきなりフォークランドを巡ってアルゼンチンと近代兵器の応酬を繰り広げた。

今でも、異民族の半分外国みたいな国内・北アイルランドスコットランドを抱えているし、移民も、琉球人180万匹(笑)、在日韓国人50万人どころではなく、アフリカ、インド、東アジア、イスラムオセアニア、大陸ヨーロッパ、世界中のいろんな宗教と肌の色の連中がワンサカ住んでいる。ロンドンなんてほとんど第三世界だ(笑)。

帝国主義国家で植民地を持ったんだから、当たり前の代償なのである。

 

記事の中で、サラリと書いているが、「インドの国民的スポーツ、クリケット」は、もともとイギリス土着のスポーツである。だからこそ、インドの国技なのに英国王子が自慢の腕前なのだ。

クリケット植民地時代にインドにやってきた「英帝残滓」だ(笑)。韓国の花札や剣道みたいなもんである。

 

スポーツで言えば「コモンウェルス・ゲームズ」という国際大会がある。

日本になじみはないが、それも当たり前で、日本には参加資格がない。なぜなら日本は独立国だったからだ。

参加資格は「イギリス連邦」加盟国だ。 イギリス連邦とは何か? 大英帝国の元植民地の集まりだ。イギリスを筆頭に、インド、南アフリカ、カナダ、パキスタン、マレーシア、ケニア、ルワンダパプアニューギニア、オーストラリア、ジャマイカ、ナイジェリアなどなどが参加するローカルなオリンピックである。

例えるなら、日本人、朝鮮人アイヌ、台湾人、琉球人、満州人、樺太の白系露人、南洋のポリネシア人などなどが集まって運動会をするようなもんだ。

 

200年以上に渡ってさんざん利益を搾り取ってきた世界中の旧植民地をいまだに友好国としている、大英帝国の恐ろしさ・したたかさ、ここに極まる。

朝鮮人琉球人とアイヌ程度で、ピーピーピーピー情けない泣き言を言う、帝国主義の落第生(笑)とは、タフネス差が段違いなのだ。

イギリス人(イングランド人)には、植民地を支配するだけの能力、覚悟、度量、したたかさがあったのだ。

能力も覚悟もない極東の軟弱野郎が、イギリスのマネゴトをやらかしたのが、すべての間違いの始まりだったのである。

  

しかし、そういう友好関係は、時代が進むと、こういう新しいステージを迎える。

 

タタ撤退計画で英鉄鋼業界に激震、EUの規制も影響 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

2016年3月31日

 インドの鉄鋼大手タタ・スティールがイギリスからの全面撤退を検討していることが明らかになり、衝撃が広がっている。何千人もの従業員の解雇が予想され、イギリスの鉄鋼業界全体が大打撃を受けかねない。

 タタの発表によると、サウスウェールズ地方にあるイギリス最大の製鋼所ポート・タルボット工場の再建計画は、インド・ムンバイで行われた取締役会で「コストがかかりすぎる」として却下された。

 世界的な鉄鋼需要の減少で鉄鋼業界では過当競争が激化している。鉄鋼需要はますます低下の一途をたどる見通しだ。

全面撤退なら1万5000人規模の雇用喪失
 ポート・タルボットの再建断念は、ロザラム、コービー、ショットンなどイギリス各地にあるタタのプラントにも影響を及ぼすだろう。タタが全面撤退すれば、ざっと1万5000人分の雇用が失われ、工場のあった町の景気も冷え込みかねない。昨秋にはタイの鉄鋼大手サハウィリアがイギリス北東部ティーズサイドのプラントを閉鎖、2200人分の雇用が失われたばかりだ。

 今やヨーロッパでの鉄鋼生産で第2位を占めるタタ。撤退の影響はあまりに大きく、イギリスの鉄鋼労働組合の幹部は今週インドに赴き、溶鉱炉の火を消さないよう役員に直訴する予定だ。

 

日本も他人事でないのは、皆さんご存知の通りである。

シャープはまるごと、台湾人の企業へ。

東芝白物家電は、支那人の企業へ。

 

アベノミクス円安効果~シャープは1244億円ディスカウントで鴻海に売れた。東芝白物は171億円引きで美的へ。 - 在日琉球人の王政復古日記

アジアが日本企業を買う。

そんなの当たり前で、1980年代に日本企業がアメリカの映画会社やニューヨークの不動産を買い漁ったのと同じである。

どうせ、十年先には、支那や台湾や韓国の持ち物が、南米やアフリカの企業に買われるのである。

見下していた相手に、自分の持ち物を買われる。

因果は巡る糸車だ。

 

そう。因果は巡る糸車だ。

 

インドの国旗の中央にある模様は、糸を紡ぐ車である。

民族衣装に身を包んだ、建国の父ガンジーが、グローバル資本主義の英国産綿製品を買わずに、自国で紡いだ綿製品を買おう、と呼びかけた独立運動の象徴である。 

 

グローバル資本主義の英国産商品を買うな、ナショナリズムのインド産を買え、と主張していたガンジーのインドが、たった70年で、ヨーロッパの企業を白人から買収して、宗主国・世界資本主義の本丸・女王陛下の領土で、かつての主人の子孫たちを雇って、綿製品ならぬ鉄板を作るようになったのである。

 

近代の先頭・先進工業国・宗主国イギリス。

前近代・後進農業国・植民地インド。

大卒の肌が黒いインド人管理職がエアコンの効いた部屋でデスクワークをし、

高卒のイギリス白人労働者が作業着で溶鉱炉の熱を浴びている。

 

マハトマ・ガンジーは、70年後のインドとイギリスを予測できただろうか?

 

植民地侵略企業・イギリス東インド会社設立から400年、軍事力と産業力でインドを支配してから約200年、その立場は、70年で逆転した。

しかし、そのインドの鉄屋の栄光も永遠ではない。

早くも、支那やその他の新興国の生産過剰で、イギリス撤退を検討している。

女王陛下の軍隊が、死体の山を築いて、400年かけてやったことを、

グローバル資本主義は10年かけずに逆転するのである。

 

しかも、そのインドは完全に近代化したはワケで全然ない。21世紀の今でも、名誉殺人やカースト差別など近代以前の野蛮な理屈が支配する社会である。そのままイギリス経済を侵略している。

 

2世紀も昔、悪臭漂うロンドンで共産主義を構想した、あのカール・マルクスも、前近代のアジアがそのままヨーロッパに侵略する、今の事態を予想できたか?

 

2015年北京赤色警報~1952年ロンドン・スモッグ~1858年大悪臭~環境汚染が共産党を産んだ。逆ではない(笑)。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

因果を巡る糸車は、女王陛下も、ガンジーも、マルクスも超えて、高速自動回転を続ける。