在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

私を安心させてください。財務省陰謀論~国債は「政府の借金」。「国民の借金」ではなく「国民の資産」。

世に陰謀論の種は尽きまじ。

そして陰謀論は、だいたいにおいて、妄想であり、クソだ。

 

前に、コミンテルン陰謀論を批判したが、

 

#田母神俊雄 ~アジア解放を目指した真珠湾攻撃がコミンテルンの陰謀なら、コミンテルンは日本の同志。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

まあ、コミンテルンは、いくらなんでも普通の人間なら、基地外のタワゴトと判るので、現実社会にあんまり影響を与えないからまだいいけれど、現実社会にモロに影響する陰謀論もある。

 

いわゆる「財務省陰謀論」だ。「消費税増税財務省の陰謀」というやつだ。

 

まず最初の最初に、私は経済【も】門外漢である。全く判らない。

財務省陰謀論が正しいのか?間違っているのか?、本当に、心の底から、ガチで、判らない。

判らないが、 財務省陰謀論には、どうしても、理解できない疑問がある。

誰か、疑問を解決して欲しい。教えて欲しい。

 

まず、この陰謀論の特徴は、右翼も、左翼も、仲良く支持することである(笑)。

 

憲法だの、安全保障だの、原発だの、支那韓国だの、安倍自民党への評価だの、他の話では激しく対立するのに、財務省だけは、右も左も「敵」だと認識する。

 

そして、いわゆる専門家にカテゴリーされる、著名(ただし、経済学業界などのホンモノのアカデミック現場ではなく、ネットなど学問シロウト相手がほとんど)な経済学者、経済評論家、エコノミスト、ジャーナリストが、平然と「財務省陰謀論」を唱える。 

 

財務省陰謀論者がよく使うフレーズだが、

「ニュースでよくある『日本の借金XXXX兆円。国民一人当たりXXX万円』なんていう脅しは、消費税を上げたいだけの財務省の大ウソだ。

 国債は、日本の借金ではない、国民の借金でもない、政府の借金だ。

 いくら増えても政府の借金であり、『国民一人当たり』なんていう表現がインチキだ。

 日本の国債は、日本国民が買っている。国民の借金ではなく、国民の資産。多ければ多いほど、国民の財産は増えている。」

てのがある。「政府の財政VS国民の生活」別々論である。

 

この理屈だと、政府が借金まみれでも、国民の生活には影響がない、ということになるけど、ホントかね?

 

たとえば、あなたが、友人に、金を貸す。

友人の借金は、当たり前だが、あなたの借金ではなく、あなたの資産=債権だ。

ここで友人が夜逃げする。借金は返してもらえない。

この場合、あなたは、何か、得をしたのだろうか? 

 

もし、政府が「お金がないので、国債を償還できません」となる。

つまり政府破産=デフォルトだ。

国債が換金できない。国債が紙切れになる。国債保有している人が全部被る。

日本の場合、被害者は、日本の金融機関と、日本の国民である。

これでも、国民の生活は無関係なのか?影響がないのか?

 

もちろん、現実には、おそらくこんなことにはならない。

もし、政府にお金が無くなったら、今現在もやってるように、日本銀行輪転機をフル回転させて印刷させまくる。臨時に「1億円札」でも「10億円札」でも刷って、国債を全部償還する。

これをやれば、政府は大丈夫だが、日本円が爆発的に増えるので、対ドル相場が暴落。ハンパーインフレになる。

1ドル=100円から、1ドル=1000円。ガソリン価格も10倍だ。

国債10000円は、そのまま日本円10000円で償還され、損はしない。

ただし、その時はマクドナルドのランチセットも10000円である。

 

大東亜戦争の戦時国債も、このやり方でチャラにした。

敗戦でも日本政府は継続した。破産しなかった。潰れなかった。

しかし終戦直後の国民の生活がどうなったのか? 狂乱物価、現金紙屑、預金封鎖、ネットでググれ(笑)。

 

国債は、政府の借金! 国民の借金ではない! 国民の債権!」

このフレーズが、まるで画期的な解決策みたいに流通してるけど、何か現実的な意味があるのだろうか?

 

さて、消費税増税に関しては、経済の専門家と呼ばれる人々の中で、意見が真っ向から対立する。

 

まず、財政タカ派の意見がある。

「消費税を増税せよ。将来的には10%以上の増税も必要になる」「日本の不景気の原因は財政悪化にある」「財政健全化なくして、景気回復なし」「増税先送りは財政をさらに悪化させる」「歳出削減が必要。財政出動の余裕はない。」「国債はこれ以上増やせない。日銀引き受けは財政ファイナンスであり破綻への道だ」「人口減少の国に経済成長は無理。このままでは将来的に取り返しがつかなくなる」などなど。

 

また、リフレ派の意見がある。

消費税を増税するな。10%どころか、5%に戻せ」「日本の財政悪化の原因は不景気にある」「景気回復なくして、財政健全化なし」「増税は逆に税収を減らし財政はさらに悪化する」「大胆な財政出動で公共事業を増やして景気刺激」「国債はまだまだ出せる。買い手がいなければ日銀に引き受けさせればいい」「日本は世界一の債権国。国債つまり政府の借金は、国債保有する国民の資産」などなど。

 

正直、どっちが正しいか?、私には本当にわからない。

 

ただし、どっちの意見が正しいとしても、はたして「財務省陰謀論」は成立するのだろうか?

 

まず、大前提として、あらゆる陰謀は、陰謀を仕掛ける連中にメリットがあるから陰謀を仕掛けるわけだ。

「俺たちは損をしたくてたまらない!」というマゾ系陰謀は一応除外する。

だから、財務省陰謀論が成立するには、陰謀によって、財務省にメリットがあることになる。ただ財務省は組織であって生身の人間じゃないので、実際にメリットを感じるのは、財務省高級官僚という人間たちだ。

人間の感じるメリット、欲望というのは、金銭欲、性欲、権力欲だ。

このうち、今回の話題では、性欲はまず除外していいだろう。

消費税は経済の話なんで、人間最大の欲望・金銭欲を考えてみる。

 

まず、財政タカ派が正しいと仮定する。

消費税増税で、税収は増える。財政が健全化に進む。

で、そうなったら、財務省高級官僚に、何か、メリットがあるのか?

 

税収が上がったら、その何%かが、出来高制で、官僚の給料になるのか? 財政が黒字になったら特別ボーナスが出るのか? 政府から裏金が支給されるのか? 

そんな話は聞いたことがない。

仮に、景気回復か、増税か、何らかの理由で、税収が増えたとしても、財政が健全化しても、財務省高級官僚のサイフはまったく膨らまない。財務省の金庫(というか帳簿上の数字)と、財務省高級官僚個人の銀行残高は、別々のものである。

逆に、消費税増税を止めて(仮に財政タカ派の理屈が正しいとして)税収が減ったとしても、財政赤字が増えても、財務省高級官僚には何らペナルティはない。給料が天引きされないし、ボーナスも減らない。

 

つまり、消費税を増税しようが、やめようが、逆に減税しようが、財政が健全化しようが、悪化しようが、【財政が破綻しない限り】、財務省高級官僚にはなんら金銭的メリットもないし、デメリットもない。損か得かで言えば、どっちでもいいのだ。

 

いやいや、財務省高級官僚のゼニ儲けは、チンケな公務員給料じゃない。退職後の「天下り」による、莫大な報酬なのだ、という意見も、判らんではない。

でも、消費税を増税したら、どういう理屈で、天下り先の待遇が良くなるのか? 

そもそも、天下り先の待遇を良くするにはどうすればイイのか? 

天下り先を支えている国家財政と日本経済が調子良くなることだ。

つまり、財政健全化と日本の好景気が、退職後の財務省高級官僚のサイフをパンパンに膨らませるわけだ。

 

財務省高級官僚も人間だからゼニが欲しい。そのためには退職後の天下り先をリッチにすることが望ましい。そのためには、天下り先を儲けさせる財政健全化と日本の好景気が必要であり、そのための消費税増税だ!、という計画だとする。

 

でも、ソレって、陰謀か(笑)?

 

財政健全化と日本の好景気で、国民が困るのか?

国民が困らない、むしろ喜ばしい陰謀を、陰謀と呼ぶべきなのか?

 

いやいや、そもそも財政タカ派が間違ってる。リフレ派が正しいと仮定する。

 

消費税増税で、税収は増えない。増えないどころか不景気になって、ますます税収が減る。財政はさらに悪化する。

財務省高級官僚は、消費税増税で、日本が不景気になること、財政が悪化することを十分承知している。判った上で、わざわざ、強行しようとする。財務省の陰謀に気をつけろ!

 

で、日本を不景気にして、税収を減らして、財政が悪化させたら、どういう理屈で、財務省高級官僚はゼニが儲かるのか? 

上記で考察したように、不景気になっても、財政が悪化しても、【財政が破綻しない限り】、財務省高級官僚のもらえる給料は減らない。もちろん増えることもない。

同じ理屈で、不景気になって、財政が悪化して、どういうカラクリで、財務省高級官僚たちの天下り先の待遇が良くなるのか? 報酬が増えるのか?

日本の景気が悪くなれば、日本の企業の収益も落ちる。財務省高級官僚の天下り先だってお金が厳しくなる。 天下っても財務省高級官僚の待遇は悪くなる。

 

「消費税増税で、日本を不況にしてやる! そして天下り先もダメにしてやる! オレタチ財務省高級官僚はトータルで何億円も損ずるぞ! やったー!」

 

馬鹿なのか? いや財務省高級官僚ではなく、財務省陰謀論者の理屈の方だが。

 

いやいや、財務省高級官僚の目的は、将来の天下り先ではなく、予算のバラマキの権限の確保・増大にある、という意見もある。

 「消費税増税で税収は増え、予算も増える。増えた予算をどうバラまくか、それが財務省高級官僚の権限になり、その権力の行使が目的なのだ」

確かにそういうタイプの陰謀は多い。

関東軍だって、何も自分の金儲けのために、満州事変を起こしたわけじゃない。 

日本の国益のため、または、自分たちの権力拡大のため、出世のためだ。

 

財務省の陰謀は、日本の国益のためなのか? だったら批判するほうが売国奴である。となれば財務省の陰謀は、自分たちの権力拡大のため、出世のためだろう。

 

しかし、リフレ派の理屈でいえば、消費税増税で、不景気になって、税収が減るのではなかったか? そうなれば、財務省高級官僚が自由にできる予算は減り、権限は縮小するのでは? 

財務省高級官僚は、自分の権限を減らしたくて必死なのか? しかし、最初に決めたように、マゾは例外である。

 

まあ、とりあえず、財務省高級官僚は、予算バラマキの権限の確保・増大を画策している、権力欲で動いている、と仮定しよう。

しかし、それならば、どんな手段だろうが、とにかく予算が増えればいい。

何も評判の悪い反対論の多い消費税に頼る必要はない。リフレ派が大好きな国債があるじゃないか。

国債をバンバン発行すれば予算は確実に増える。予算が増えるという意味では、消費税でも国債でも同じことだ。しかも国債なら確実に予算を増やせる。消費税のように予想を外して不景気になって減る可能性はない。

 予算バラマキという 財務省の陰謀」は、消費税じゃなく、国債でも、問題なく、どころか、はるかに簡単で確実に達成できるのだ。

 

どうして、消費税増税による予算バラマキは財務省の陰謀と批判するのに、国債増刷による予算バラマキ財務省の陰謀にならないのか? どっちも財務省高級官僚の権限拡大ではないか。

 

財務省陰謀論」を主張する人々、特にリフレ派は、だいたいにおいて、積極財政、財政出動国債バンバン出すことを主張している。

しかし、国債をバンバン出して、財政出動、積極財政をやれば、当然、財務省高級官僚の権限は自動的に増えるではないか。

つまり、財政出動、積極財政を主張する人は、財務省高級官僚の権限を増やすことを応援してるわけだ。

 

なんで財務省高級官僚は、国債ではなく、消費税を上げたがるのか?

納得できる説明は、国債発行はこれ以上増やせない、くらいしか思いつかない。なぜか?、そんなことをしたら、いずれ財政が破綻するから。

 

でも、コレって、陰謀か(笑)? 財政を破綻させない陰謀ってナニ?

 

もちろん、「財政だけは守る。だから国債は増やさない。だから消費税を上げる。そのために国民が苦しんでも、大不況になってもかまわない」

・・・コレなら確かに陰謀だろうが、そんなやり方で、日本を不況にして、財務省高級官僚の目的である天下り先の待遇が安定して良くなるだろうか?

 

逆に、「国債は国民の借金ではなく、政府の借金。いくら増えても大丈夫。国民生活のために消費税は上げない。財政を破綻させてもいいから国債をバンバン出す」

・・・コレも陰謀だろうが、政府の財政が破綻しても、国民の生活は大丈夫!なんていうことが本当にあるのか?

 

確かに、財務省高級官僚は、日本国民という宿主の生き血をすする寄生虫だ。

しかし寄生虫からすれば、宿主がまるまる肥え太ってくれないと、美味しい生き血がすすれない。宿主が貧血になったら、寄生虫も飢えるのである。

宿主を体調不良にしたり病気にしたりする寄生虫は、マヌケな寄生虫である。

優れた寄生虫は、寄生されてることすら宿主に気づかせない。どころか、腸内で消化が難しい食物を分解したり、皮膚に付く雑菌を排除したり、宿主の健康をいろいろサポートする。

日本の財務省高級官僚は、日本国民を吸い尽くして殺したら、自分も死ぬしかない。日本を吸い殺したら、次は美味しそうなインド国民に寄生しよう、みたいな器用な芸当ができる寄生虫ではないのだ。

 

それとも、上記以外に、何らかの、財務省の陰謀があるのだろうか?

財務陰謀論を支持する皆さんは、財務省のどんな陰謀を想定しているか?

ひょっとしたら、最初に除外した、性欲が正解だったのか?

消費税を増税すると、高級キャバクラのサービスが濃厚になるのだろうか?

 

私は、本当に、経済が判らない。ホントだ。 

財務省陰謀論は本当に正しいのか?間違いはないのか?

消費税増税財務省の陰謀、なのか?

国債は「政府の借金」。「国民の借金」ではなく「国民の資産」。は本当に本当なのか?

本当ならば、上記に上げた私の疑問に答えはあるのか?

ガチで、誰か、優しく、教えて欲しい。

 

財政赤字は困ったことだ。不景気も何とかしてほしい。

この世には、解決困難な出来事が山積みである。

しかし、それらの大半は、誰のせいでもない、我々の肛門から出たウンコの後始末である。

それを、自分以外の誰かのせいに押し付けて、文句を言ってスッキリするのは、問題の解決ではない。

お酒を飲んでストレス解消したところで、明日の仕事が減るわけではないのだ。

  

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