在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

#市場ずし 「わさび」だけでなく、批判派&擁護派ともに、予断と偏見も「ヌキ」でお願いします。

人間、食い物には、甘党、辛党、それぞれ好みがある。

人間は欲望に流されると、好きなモノを好んで食べ、嫌いなモノを敬遠する。

そして「偏食」になる。何であろうが、偏食は不健康である。

「健康」を保つには、好きなモノばっかり食べないことだ。

口に合うモノばっかり、警戒せずに食べていると、いつか「食中毒」を起こす。

 

「偏食」「健康」「食中毒」は、肉体だけの話ではなく、

精神や知性の「偏食」「健康」「食中毒」も、同様だ。

 

なぜか「それ」が欠如してる人ほど、使いたがる不思議な言葉に「メディアリテラシー」というのがあるが(笑)、本来のメディアリテラシー」とは、「知性の食中毒」を引き起こす「情報の偏食」を警戒するバランス感覚をいうのだ。

 

ワサビ多めは外国人へのサービス 市場ずし「嫌がらせではない」 (毎日放送) - Yahoo!ニュース

握り寿司の間からわさびがはみ出しています。韓国人の観光客が大阪で寿司を食べた際、わさびを大量に入れられたとネット上に投稿したもので、外国人への嫌がらせではないか、との書き込みもあります。3日、この寿司を提供した店の店長が取材に応じ、わさび増量は外国人客へのサービスだったと説明しています。

 「これがわさび爆弾だ」
 「辛すぎて、頭が痛くて、涙が出てきました」(ネット上の書き込み)
 梅田や道頓堀など大阪に8店舗を構える「市場ずし」。回転寿司ではない、職人が目の前で握る寿司が1皿200円から食べられる人気の寿司店ですが、寿司に添えるわさびを巡ってインターネット上で「炎上」していました。
 「韓国人を差別するゴミみたいな店です。なぜ行くのか理解できない」
 「人種差別の店だ」
 「気分が悪い。大阪でこんなことが続くなら本当に困る」(ネット上の書き込み)
 市場ずしの難波店を訪れたという韓国人の観光客が、「通常より明らかに多いわさびを入れられた」とネット上に投稿。韓国のサイトなどで「外国人への嫌がらせではないか」と批判されていたのです。
 「市場ずし」の運営会社は2日ホームページに謝罪文を掲載。3日MBSの記者が難波店を訪れると、店長が取材に応じました。
 「写真を見た限りでは確かに(わさびが)多いなと思います。2年ぐらい前からね、(わさびを)普通に最初は入れてたんですけど、外国の方が来られたら、ほとんどが『わさび、わさび』とおっしゃるので」(「市場ずし難波店」店長)
 外国人観光客が押し寄せる大阪・ミナミ。難波店でも客の3割が外国人だといいます。その多くがわさびを増やして欲しいと注文することから、職人があらかじめわさびを多めに握っていただけで、差別的な意図はなかったといいます。
 「職人さんが個人個人の判断である程度やってるから、(わさびを)これだけの量入れようとか指示したことはない。(外国人客には)多少は皆多めに入れている」
 Q.嫌がらせでは、との指摘も
 「嫌がらせでは本当に無いです」(「市場ずし難波店」店長)
 他の寿司店で聞いてみても、韓国人や中国人の観光客には「日本の寿司はわさびが物足りない」という人が少なくないといいます。
 「わさびとか辛い刺激が好きなのかなという印象はある。わさびを別でくださいと言われることはよくある」(魚河岸たちばな 谷口健一店長)
 国慶節で日本にやってきた中国人観光客も…
 「日本のわさびは辛くないですよ。中国で食べているわさびは辛さが強烈です。本当に鼻にツンとくるんです」(中国・広州から)
 「中国のわさびはもっと辛い。日本のわさびはあっさりしている」(中国・杭州から)
 「あくまでもサービスの延長でだんだん量が増えていった。『ノーワサビ』と言われたらストップして、わさびなしで対応していた」(「市場ずし難波店」店長)
 Q.差別ではない?
 「それは言い切れます」
 この店では、現在外国人客にはワサビと寿司を別々に提供し、好きなだけのせてもらう形を取っているということです。

 

こういうニュースは、人を選ぶ。いや、人が選ぶ。

日ごろから、排外主義的なネトウヨ言論を快く思ってない、アベ政治を許さない的なリベラル派は、こういう騒動を耳にすると、頭から、アジア人差別だ、ヘイトだ、と信じやすい。

 

でも、その安易な態度は、何か不祥事や事件が起こるたびに、「犯人は在日!」とネットに書くことに人生の喜びを見出して、切ない日常を何とか乗り切ってる愛国者の皆さんと、ほとんど変わらない。

 

美味しそうなニュースほど、注意して食べないといけないのだ。

 

この記事だって、後半まで読むと、状況はそう単純でもないことが書かれている。

市場ずし以外の、別の寿司屋さんも「アジア人観光客は、傾向として、多めのワサビを好む」と証言しているし、

大陸支那人観光客も「リーベンの香辛料はパンチが効いてないアルネ」と証言している。

つまり、ワサビ多めを好むアジア人観光客は確かに存在するようなのだ。

 

ちなみにこの記事は産経新聞(笑)ではなく、毎日新聞TBS系の毎日放送である。保守系とは言い難い。そこが取材してこういう風に書いてるんだから、市場ずしの行為が、本当に民族差別だったのかどうか?、現時点では、完全に「クロ」とは言い難い。まだまだ判断材料に乏しいのだ。

 

もちろん「どうせ、アジア人はワサビが好きだから、注文聞く前にタップリ塗っとけ」という態度は、寿司職人としてプロ意識に欠けるし、アジア人の味覚を軽視し過ぎだし、いろんな好みのあるはずの客を大雑把に一緒くたにし過ぎだし、接客業として雑すぎる。

しかし、高級店でもないようだし、薄利多売の流れ作業みたいな外食産業に、きめ細かなサービスを要求するのも、現実問題としてシンドイだろうとは思う。

だから、注文前に「モア・ワサビ? オア、ノー・ワサビ?」に聞いとけば済む話だし、これからやるらしい「ワサビ別添え」に、最初からしておけば、何のトラブルもなかったわけだ。

現場で、外国人客にそういう傾向があるのなら、現場で場当たり的に対応しないで、本社に報告を上げて対応策を統一しておけば、こういうことにはならなかっただろう。

風評被害こそ外食産業最大の注意事項なんだから、そういう意味で市場ずしに問題がなかったわけではない。

 

しかし、それが、単なる寿司屋の手抜きサービスだったのか?、実は本当に、現場のすし職人の民族差別だったのか?、現時点では、まだ、グレーゾーンである。

 

メディアには、市場ずしだけが変だったのか?、アジア人のワサビ好きがどれくらいの割合なのか?などなど、他の寿司屋や、いろんな国の観光客に、広く取材を続けてもらいたいし、

市場ずしにも、カネと手間のかかる話だが、風評被害を解消する必要経費なんだから、社長が前面に出て、外部からちゃんとした弁護士を雇って、社内調査をした方がいいだろう。

万が一、韓国や支那が嫌いだったとしても、そういうのは休日にネットに罵詈雑言を書いて解消すべきであり、その気持ちを職場に持ち込まないのが寿司職人としてプロ意識だろう。そうできないのなら、そういう社員は解雇するしかない。

 

もちろん、大前提として、いかなる人間も、予断と偏見から自由になることは不可能である。

逆に、人間には予断と偏見が可能だからこそ、人間はかろうじてモノゴトを判断できる、とも言える。

もし予断と偏見を完全に排除できたとしたら、その人はいかなる判断も不可能な廃人になるしかない。

しかし、それでも予断と偏見を排除する努力こそが、人間の歴史を進歩させてきたのだ。

 

たかがワサビともいえるが、たかがワサビで済んでる内に、もっと深刻なモノを混入して人の生き死ににまで発展しない内に、マジメに対応した方がいい話である。

その意味で、この騒動は軽い問題ではない。