在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

「一人ぐらいは こういう馬鹿が 居なきゃ世間の 目は覚めぬ」~安倍首相と左翼全共闘の「兄弟仁義」北島三郎。

安倍晋三首相「演歌の精神である義理と人情を大切にされている」 歌手・北島三郎さんの「芸道55周年」記念パーティーであいさつ(1/3ページ) - 産経ニュース

2016年10月6日

 安倍晋三首相は5日、東京都内のホテルで歌手の北島三郎さんの「芸道55周年」を記念するパーティーに出席してあいさつし、「日本の大切な演歌をずっと頑張って最前線で大黒柱として支えていただいたのが、北島三郎さんだ。そしてまさに演歌の精神である義理と人情を大切にされている」とたたえた。首相のあいさつは次のとおり。

 

タテマエ的には、「風雪ながれ旅」や「函館の女」、永六輔の「帰ろかな」あたりが代表作ということになるんだろうが、個人的には何といっても、これだ。 

 


「兄弟仁義」

  

この歌が大当たりして、東映仁侠映画にもなった。

サブちゃんは演歌歌手というだけでなく、ヤクザ映画スタアだったのだ。

 


映画 『兄弟仁義』 より、 村田英雄、松方弘樹、北島三郎、新川二朗。

 

ヤクザ賛美の「兄弟仁義」も、昔はテレビで普通に歌っていた。

しかし、いつの頃からか、テレビで流れることが無くなった。

 

安倍ちゃんもサブちゃんが好きらしいが、わざわざ「義理と人情」と言うくらいなんだから、安倍ちゃんにとっても、サブちゃんの代表作は兄弟仁義」だろう。なぜなら、安倍ちゃんもそういう趣味だからだ。

 

政治においては、安倍ちゃんと私は、あんまり合致しないが(笑)、

映画の趣味なら、ドンピシャ、非常に話が合う。 

 

安倍元首相、政界引退後にヤクザ映画撮る?トーク番組で映画監督の夢語る : 映画ニュース - 映画.com

2010年4月19日
[映画.com ニュース] 「撮るとしたらヤクザ映画ですかね」。安倍晋三元首相は、政界引退後に映画監督転身の夢を描く――。
安倍元首相が、文化放送のラジオトーク番組「安藤和津 TEPCO トークマルシェ」にゲスト出演することが決定。このほど行われた収録で、映画監督への憧れを語った。
大好きだという映画の話題に花が咲き、密かな野望を明かした。「俺が作ったら絶対ヒットするなと思ったりして。実際は難しいんでしょうけど、自分でメガホンが握れたらどんなにいいかと」。さらに、「自分で撮るとしたらヤクザ映画ですかね。『仁義なき戦い』をさらにドキュメンタリータッチにして、それと『ゴッドファーザー』を足して2で割ったものとかね」と具体的な構想まで飛び出した。
一番好きな邦画は「蒲田行進曲」、洋画は「卒業」。最近の作品では「ALWAYS 三丁目の夕日」がお気に入りとか。

 

安倍ちゃんもヤクザ映画が大好きなのだ。暴対法の精神に違反している(笑)。

 

安倍ちゃん一押しの角川・松竹「蒲田行進曲」も、「仁義なき戦い」と同じ東映ヤクザ映画の巨匠・深作欣二作品だ。

 

そして、正反対に、アメリカンニューシネマ(アメリカ反体制左翼映画)「卒業」も好きらしい。

右翼な安倍ちゃんも、やはり、左翼の空気を吸った「時代の子」である。

 

ベトナム反戦!反体制ヒッピー発祥の地・バークレー~アメリカンニューシネマ「卒業」VSアンチリベラル「ダーティーハリー」 - 在日琉球人の王政復古日記

 

Born To Be Wild~イージーライダーの最期~ハーレーダビッドソンVSトランプ関税戦争~リバタリアン(脇坂あゆみ、藤森かよこ) - 在日琉球人の王政復古日記

 

右の安倍ちゃんだけではない。左の人々もヤクザ映画を愛した。

 

asahi.com(朝日新聞社):さらば「演歌の殿堂」コマ劇場 最後の北島三郎公演 - 音楽 - 映画・音楽・芸能

2008年9月11日

 第1部「国定忠治」は凶状持ちの親分の逃避行と親子愛を描く人情物。サブちゃんが苦衷の親分を渋く演じ、実の娘の水町レイコが舞台初共演している。「主役がすぐ登場し、テンポよく進むのがいい。60年代の東映ヤクザ映画時代からサブちゃんは存在感のある俳優でもあった」と嵐山さん。

(略)

全共闘時代は学生がみな『兄弟仁義』を歌った。今の僕のテーマソングは『函館の女』。旅に出て船に乗ると、つい口ずさんでしまう」

 

親の血をひく 兄弟よりも
固い契りの 義兄弟
こんな小さな 盃だけど
男いのちを 懸けて呑む


義理だ恩だと 並べてみたら
恋の出てくる すきがない
後は頼むと 駆け出す露路に
降るはあの娘の 涙雨

 

俺の目をみろ なんにも言うな
男同志の 腹の内
一人ぐらいは こういう馬鹿が
居なきゃ世間の 目は覚めぬ

 

北島三郎の「兄弟仁義」は、もちろんヤクザ的心情を歌った歌詞だが、

そのまんま、一人一殺的・三島由紀夫的な右翼テロリズム礼賛の歌詞にも読める。

しかし、それだけでなく、正反対なはずの左翼全共闘も熱狂した。

「親の血をひく 兄弟よりも 固い契りの 義兄弟」も、

「義理だ恩だと 並べてみたら 恋の出てくる すきがない」も、

一人ぐらいは こういう馬鹿が 居なきゃ世間の 目は覚めぬ」も、

左翼学生運動の心情に完全にシンクロしていたからだ。

 

兄弟仁義」は、
左翼的なアナキズム賛歌であり、
同時に、
右翼的なファシズム的心情を歌った唄でもある。
優れた歌とは、多面的・多義的なのである。

 

《アナキズム映画列伝》 「ファイト・クラブ」(1999年)《ファシズム映画列伝》~ブラッド・ピット、キングコング西野亮廣、リバタリアン西原理恵子。 - 在日琉球人の王政復古日記

  

安倍ちゃんのような保守派だけでなく、当時の左翼学生こそが、東映任侠映画を支えた大きなファン層だった。

安倍ちゃんも、全共闘も、義理と人情に泣くニッポン人なのである。

 

政治はともかく(笑)、映画に関して、安倍ちゃんは完全に正しい。

 

映画なんて、しょせんは趣味だ。見なきゃならない!なんて映画はない。

しかし、暴論を述べれば、何十万本あるかわからない古今東西の映画作品の中で、あえて1本選ぶとすれば、あなたがオトコである限り、最低限、二十歳までに1回は「ゴッドファーザー」だけは見ておかないといけない。これは「オトコとしての義務」である(笑)。

 

ゴッドファーザー」を見て、号泣してしまうイキモノを、オトコ(別名・ボンクラ)と呼ぶのだ。

ゴッドファーザー」を見て、つまんなーい、だからナニ?、と思ってしまうイキモノを女性と呼ぶのである。

人間の性別はゴッドファーザー」で判定できる。マタの間にキンタマが有る無いは関係ない。

 

さらに日本語文化圏には、オトコ学科・追加必修単位として「仁義なき戦い」5聖典がある。