北野武監督『アウトレイジ 最終章』2017年公開! 西田敏行/光石研/白竜ほかキャスト多数続投 | Daily News | Billboard JAPAN
2016/12/02
北野武監督18作目となる最新作『アウトレイジ 最終章』が、2017年に公開される。
『アウトレイジ』シリーズは、北野武監督が初めて手掛けたシリーズプロジェクトで、裏社会の男たちの抗争を描いた究極のバイオレンス・エンターテインメント。2010年に『アウトレイジ』、2012年に『アウトレイジ ビヨンド』が公開され、シリーズ累計興収22億円超を記録した。そんな超人気シリーズが、前作から5年の月日を経て、遂に最終章を迎えることとなった。
前作に引き続き、「大友組」元組長・大友役にビートたけし、関西最大の組織「花菱会」幹部・西野役に西田敏行、同・中田役に塩見三省、関東の組織「山王会」白山役に名高達男、五味役に光石研、組織を追う警察・平山役に中村育二、同・繁田役に松重豊、韓国大物フィクサーの側近・李役に白竜らが出演し、前作『アウトレイジ ビヨンド』の“その後”が描かれる予定。現在制作中とのことで、気になるシリーズ初参戦のキャストは後日発表となる。
正直、北野武映画はちょっと苦手だ(汗)。
もちろん、北野武が映画監督として優れているのは、私のようなボンクラでも、よく判る。
だいたい映画マニアで「北野映画が嫌い」という人は、あまりに北野に映画の才能があり過ぎて、逆にジェラシーが沸く、みたいな複雑な感情(笑)を除けば、あんまりいないと思う。
ただ、そういった、北野映画の周辺に漂う、映画マニア=シネフィルの「映画=芸術」的傾向が苦手なのだ。
「苦手」というのは「否定」ではない。映画は芸術だと思う。
映画マニア=シネフィルは、ボンクラな私なんかよりはるかに本数も見てるし、頭がイイんだから、基本的に正しいと思う。
ただし、私にとっては、どこまで行っても、原則として映画はエンタメであり、たまに政治を判りやすく映し出す鏡でもあり、しかしそこにある芸術性を読み取る才能はまるでないのが判っている。だから「映画=芸術」的傾向が苦手だ。
私は、北野武を、お笑い芸人ではなく、映画監督なんだと思っている。
超人気お笑い芸人が、たまたま、映画監督の才能もあった、というのではなく、
サカサマに、映画監督が、たまたま、お笑い芸人出身という変わった経歴だった、という認識だ。
逆に言えば、私は、お笑い芸人・ビートたけしを、そんなに支持してない。
いや、私だって、ビートたけしがスゴイお笑い芸人だとは判る。判るが、実際に、ビートたけしの漫才、コント、バラエティで、腹が痛くなるほど笑った経験がない。
まあ、これは生まれついての文化風土の差もある。私は「西」の人間だからなのか、ビートたけしに限らず、東京のお笑い芸人の、その技量には上手だなあと感心したことはあっても、ゲラゲラ笑ったことがほとんどない。
だから、ビートたけしが悪いわけではなく、東京のお笑い全般、映画でいえば、森繁久彌も、植木等も、渥美清も、大好きだし、天才だとは思うが、彼らの映画で爆笑したことはない。海外のモンティ・パイソンの方がよっぽど爆笑できる。
ビートたけしも、失礼な言い方になるが、要は「テレビのゴールデンタイムに使えるバランス感覚のある立川談志」でしょ?という感覚がある(笑)。
逆に、大阪の芸人には、何回も腹が痛くなるほど笑わせてもらった経験はある。
松本人志もその一人で(ただし、昔の。今は、ちょっとw)、お笑い芸人としての評価は、「松本人志>>>ビートたけし」である。
しかし、正反対に(笑)、松本人志に映画監督の才能は、残念ながら乏しい。
「大日本人」(2007)は、映画じゃなく、コントだし、コントで2時間は長過ぎる。
「しんぼる」(2009)は、あんなモノを止められなかったプロデューサーが悪い(笑)。
北野映画は、スゴイけど、苦手だ。なぜなら芸術映画だからだ。
海外、特にヨーロッパでの評価が異常に高く、日本の興行成績が知名度の割には全然ダメ(笑)、ということが、北野映画の芸術性を証明している。
だから、全部は見ていない。
全部見てない私の北野映画ベスト3は、
1位 「ソナチネ」(1993)
2位 「キッズ・リターン」(1996)
3位 「その男、凶暴につき」(1989)
となるか。
特に1位と2位は見事なモノである。3位は初監督でこの出来はスゴイ。
ワースト(ってほどではないが、見た中では最下位、という意味で)は「座頭市」(2003)。
なんだか、北野武が撮りたくて撮った感じがぜんぜんしない映画だった。CG丸出しの殺陣と血糊も良くなかったし。
演者としては北野以上の映画の天才な上に、本人のやる気まで満々だった、さらに時代劇の出来る役者もインフラも揃っていた、勝新太郎の大映「座頭市」シリーズに比べると、やはりアレだ。
東映ボンクラ小僧の私としては、北野映画のヤクザモノは一応抑えている。
「ソナチネ」は突出してスゴイが、すべて標準以上の出来である。「平成ヤクザ映画」というカテゴリーなら全作ベストテン入りだろう。
ただ、北野ヤクザ映画って、各作品の構造がよく似てる。
というか、どの作品もほとんど同じ構造なのだ。
A:北野は小規模で武闘派のヤクザ。
主人公・北野武が所属するヤクザ組織は、小規模ながら武闘派で鳴らす中間管理職的立場である。
B:北野より弱い人間または組織。
映画前半は、北野グループより弱い人間や組織が登場して、それを北野グループが徹底的にコテンパンにやっつける。
C:北野よりケタ違いに強い巨大組織。
しかし、映画後半、はるかに大きなヤクザ組織が登場して、イケイケになっていた北野グループを、徹底的にコテンパンにやっつける。
D:策士・トリックスター。
全体の絵図を描いている策士・トリックスターが暗躍。
E:無言・無表情の暗殺者。
抗争の実行犯である暗殺者は無言・無表情で不気味。
F:マスコット。
北野のそばにはマスコット的存在がいる。
「ソナチネ」(1993)
A:北野は、東京・北島組傘下村川組。
B:北野にクレーンで吊るされる雀荘店主、北島組友好団体・沖縄・中松組。
C:中松組と村川組を潰しにかかる北島組と沖縄・阿南組。
D:北島組幹部・矢島健一。
E:北島組の暗殺者・南方英二。
F:中松組組員・勝村政信、女・国舞亜矢。
「BROTHER」(2001)
A:北野は渡米して、日系ギャング団を結成。
B:日系ギャング団に潰される地元のギャング。
C:ケタ違いに巨大なイタリア・マフィア。
D:北野自身。
E:イタリア・マフィアの暗殺部隊。
F:日系ギャング団の寺島進、オマー・エップス。
「アウトレイジ」(2010)
A:北野は、関東・山王会直参池元組系大友組。
B:村瀬組。
C:山王会と池元組。
D:山王会会長・北村総一朗、若頭・三浦友和。
E:村瀬組を襲撃する大友組、大友組を襲撃する池元組。
F:刑事・小日向文世、アフリカ某国大使館員。
「アウトレイジビヨンド」(2012)
A:北野は、関西・花菱会に支援された木村組の客分。
B:関東・山王会会長・三浦友和、若頭・加瀬亮。
C:花菱会。
D:刑事・小日向文世。
E:山王会幹部・田中哲司、花菱会の暗殺者・高橋克典、韓国マフィア・白竜。
F:木村組組長・中野英雄。
「キッズ・リターン」(1996年)
北野が出てないし、厳密なヤクザ映画でもないから、ちょっと外れるが、各要素はある。
D:先輩ボクサー・モロ師岡。
E:ヤクザ・石橋凌を暗殺する自転車の老人。
F:漫才師を目指す高校生。
さて、次回作は「アウトレイジ最終章」らしい。
やっぱり、興行成績が良いと、配給側から催促もされるし、予算も集まるのだろう。
ヤクザ映画として、「アウトレイジ」に比べて、「アウトレイジビヨンド」がイマイチだったのは、花菱会が一枚岩過ぎる、無敵すぎる部分だった。
それぞれの映画に出てくる、それぞれのヤクザ組織も警察側も、大なり小なり内部に問題を抱え、意見対立があるのだが、「ビヨンド」の花菱会だけは会長も幹部も暗殺部隊も意見の対立も利害の対立もない。だから花菱会だけ弱点がなくて面白味がなかった。
「最終章」は、生き残った北野と花菱会、そして警察の戦いになるのだろうが、花菱会がどうもめるのか?誰と誰が対立するのか?今までの北野ヤクザ映画の「共通構造」がまた出てくるのか?今度は違うのか?
あと、白竜経由で韓国要素が入ってくるようなウワサモある。北野映画への評価は、韓国映画界でも高そうなので、韓国の映画俳優が出演するかもしれない。
無理だとは思うが、韓国で一番だと思うソン・ガンホや、国民的俳優アン・ソンギあたりがチョイ役でも出たら、楽しみである。
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