「土曜ワイド劇場」40年の歴史に幕 惜しむ声続々「数々の名作をありがとう」 (スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
2017/4/8(土)
テレビ朝日の2時間ドラマ「土曜ワイド劇場」(土曜後9・00)が8日、最終回を迎え、1977年のスタート以来40年間の歴史に幕を下ろした。同番組は、情報番組「サタデーステーション」(土曜後9・00)のスタートに伴い「日曜ワイド」として日曜午前10時枠に移る。
あんまりテレビを、特にドラマを見なくなったが、
私にとって、テレビ朝日「土曜ワイド劇場」といえば、
「江戸川乱歩の美女シリーズ」1977年~1985年である。
と言っても、リアルタイムで見た記憶はごく一部で、後からレンタル屋のDVDでコンプリートしたのだが。
主演・天知茂、監督・井上梅次、ともに新東宝(東宝とは別会社)出身で、エログロというか、キッチュというか、リアリティの欠如というか、荒唐無稽というか、薄っぺらい(笑)というか、安っぽい(笑)というか、張りぼて(笑)というか、いや悪口でも批判でもなく(ホント)、そういうテイストがたまらなくイイのだ。
天知茂という役者さんも大好き。
多くのドラマで主役を張ったスタアだが、あの目つきの鋭さは、目つきの悪さ(笑)と紙一重であり、善良・温厚な主人公にはとても見えない。
実際、初期は悪役が多かった人だ。一歩間違えば、悪役俳優のまんま終わってもおかしくなかった人だったと思う。
だから、美形の悪党、悪に染まったイケメン、ピカレスクロマン、いわゆる歌舞伎でいう「色悪」にドンピシャの役者さんだった。
「色悪・天知」の代表作が、四谷怪談物の最高傑作の呼び声も高い、
新東宝「東海道四谷怪談」(1959年) 監督・中川信夫 主演・天知茂 である。
見よ、この「眼力」!
唄では、昭和右翼も、昭和左翼も、共に号泣した(笑)、これが代表作である。
日本「新・国歌」選手権~君が代VS学生節(植木等)VS昭和ブルース(天知茂)VS傷だらけの人生(鶴田浩二)。 - 在日琉球人の王政復古日記
「当たり役」というのがある。
寅さんといえば渥美清、眠狂四郎といえば市川雷蔵、座頭市といえば勝新太郎、柳生十兵衛といえば近衛十四郎か千葉真一、金田一耕助といえば石坂浩二か古谷一行、他の役者さんは考えられないくらい、キャラクターと役者がシンクロしてしまう現象である。
明智小五郎も天知茂以外には考えられなくなってしまったことは、このシリーズの絶対的な魅力ではあるが、彼が死んだ後、明智小五郎作品をなかなか作り難くなったデメリットもある。
「江戸川乱歩の美女シリーズ」そのものは、昭和50年代当時の日本が舞台だが、原作の江戸川乱歩自体が戦前日本が舞台であり、原作の要素をかなり取り入れていた初期の作品は、犯人の動機が「親の代の恨み・恥辱・怨念を、孫子の代で晴らす」みたいな古臭い、時代がかったものが多く、舞台の現代社会とはアンバランスなんだが、その食い合わせの悪さが、逆に絶妙の味わいを醸し出していた。
天知茂の、現実離れした色遣いのスーツと、異常に太いネクタイ、
大道具さんのトンカチの音が聞こえてきそうな、いかにも安っぽいセット、
マトモには通用しないトリックや、無意味ですらある推理、
無茶苦茶な心理描写や、正気を疑うストーリー運び、
井上梅次監督の、自由で、とってつけたような、安っぽい演出、
無名な役者さんたちの、やっつけ仕事みたいな大根演技、
または逆に、ベテラン俳優さんたちの、ワル乗りでやり過ぎの怪演、
それらが、すべて、逆に、イイのだ。
どうだ! これぞ、オトナの悪ふざけ(笑)。
水戸黄門の西村晃と、ダンディ天知茂の、ワル乗り演技合戦(笑)!
これが、「江戸川乱歩の美女シリーズ」の神髄だ。
なんだか、悪口のオンパレードになってきたが(笑)、決して批判ではない。
粗製乱造時代の日本のプログラムピクチャーにも通じる、大昔の香港映画にも通じる、こういうテイストがたまらなく好きなのだ。
マイ・フェイバリット・テレビドラマ・ベスト10を作ったら、間違いなく入る作品である。
ありがとう。テレビ朝日「土曜ワイド劇場」。