在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

産経新聞VSウィーン条約~ワシントン中国大使館前「劉暁波プラザ」VS韓国ソウル日本大使館前「慰安婦像少女像徴用工像」

https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/diplomat.htm

外交関係に関するウィーン条約
第二十二条 
2 接受国は、侵入又は損壊に対し使節団の公館を保護するため及び公館の安寧の妨害又は公館の威厳の侵害を防止するため適当なすべての措置を執る特別の責務を有する。

 

米有力紙「劉暁波プラザ」実現を主張 ワシントンの中国大使館前の通り改称へ社説掲載 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

2017/8/3(木)
 【ワシントン=加納宏幸】米紙ワシントン・ポストは2日、7月に中国で死去したノーベル平和賞受賞者で民主活動家の劉暁波氏にちなみ、ワシントンの中国大使館前の通りを「劉暁波プラザ」に改称するよう主張する社説を掲載した。
 社説は、改称によって「劉氏の生涯や功績をたたえ、中国に人権弾圧を看過していないと伝える」ことができると強調した。また、中国外交官に劉氏や拘束中の人権活動化や弁護士を思い起こさせ、劉氏の妻の劉霞さんの解放を促すことにつながると指摘した。
 米議会では共和党のクルーズ上院議員らが今年5月に「劉暁波プラザ」に改称するための法案を提出した。上院は過去に同様の法案を可決したが、オバマ前大統領は改称に慎重で、上下両院で可決しても拒否権を発動する構えをみせていたため実現しなかった。
 ワシントンでは冷戦期の1980年代、旧ソ連大使館前の通りがノーベル平和賞を受けた人権活動家の名にちなんで「アンドレイ・サハロフ・プラザ」に改称された前例がある。

 

【産経抄】ワシントンに劉暁波プラザができないわけ 7月20日(1/2ページ) - 産経ニュース

旧ソ連で流刑の身の上にあった反体制物理学者、サハロフ博士は、決断を迫られていた。重い病気の妻になんとか海外の病院で治療を受けさせたい。自ら心臓病を抱える博士が選んだ方法は、ハンガーストライキだった。
 ▼欧米諸国からは、一斉にソ連非難の声が上がった。モスクワを訪れたミッテラン仏大統領は、サハロフ問題を正面から取り上げた。そんな圧力が功を奏したのか、夫人の一時出国が認められる。夫妻の流刑が解除されたのは、その1年後の1986年12月である。
 ▼今月13日に亡くなった中国の民主活動家、劉暁波氏は、これまでどんな弾圧を受けようと国を去ろうとしなかった。ところが死の直前になって、米国やドイツでの末期がんの治療を望むようになる。昨日の矢板明夫記者の記事で、合点がいった。劉氏は妻と出国すれば、自分が死んでも妻は外国で自由になれる、と考えたのだ。その最後の願いさえ、中国当局は拒否した。
 ▼サハロフ博士と劉氏は、ともにノーベル平和賞を受賞しながら、授賞式にその姿がなかったという点でも共通している。ただ、サハロフ博士の夫人は代わりに出席できた。劉氏の場合は、家族の出席さえ許されなかった。
 ▼劉氏がより悲惨な境遇を強いられた理由は何か。一言でいえば、国際社会の中国に対する弱腰である。ドイツで開かれていたG20で、各国の首脳から劉氏の話題が出ることはなかった。
 ▼米国の首都ワシントンでは1980年代、ソ連の人権抑圧に抗議するため、ソ連大使館前の通りが「サハロフ・プラザ」と改称された。上院は昨年、同様に中国大使館前を「劉暁波プラザ」と名付ける法案を可決した。もっとも、オバマ大統領は拒否権発動の構えを見せ、実現しなかった。

 

劉暁波プラザ」「アンドレイ・サハロフ・プラザ」。

個人的には、心情的には、理解するし、賛成したい。

 

まず、琉球人、というだけで誤解されてしまうが(笑)、もちろん私に左翼的心情が無いとは言わないが(笑)、私は、マルクス主義共産主義を根本的に否定する。

 

それこそ、場合によっては、「個人の自由より国家権力の優先」を平気で主張する、スターリン主義者とどこが違うんだ?状態のネトウヨさんなんかよりも、はるかに徹底的に、共産主義を拒否する。

 

マルクス、レーニン、スターリン毛沢東の名の元で行われた政治体制は、現実世界に実現してはいけない最悪の政治体制であり、全部ウンコだと思っている。

 

《ガーリームービー列伝》イスラム少女戦記アフガニスタン編「アフガン零年」(2003年)その2~マルクス共産主義にすら美点がある。 - 在日琉球人の王政復古日記

ここで、世界史の原理原則を述べる。

共産主義マルクス・レーニン主義スターリニズムは、弁護の余地のない「ウンコ」である。

ポルポトカンボジア、金さんの北朝鮮を見れば判るように、この世に地獄をもたらす悪魔の思想だ。

大東亜戦争の日本よりもはるかに大量の人間をぶっ殺した、マルクス・レーニン主義スターリニズム共産主義を、根本的なレベルでまったく自己反省していない代々木の日本共産党を、私はまったく評価しない。彼らは病的な不感症である。

 

もちろん、同時に、共産主義の「悪魔的魅力」も十分理解する。

ロシア・アバンギャルド芸術なんか大好物だ(笑)。

しかし、それは、ナチス親衛隊の制服がカッコイイ、特攻隊の死の思想は官能的だ、というのと同じで、サブカルチャーならいいけれど、現実の生活に持ってこられたら、北朝鮮ポルポトと同じで、こっちが生物的に死んでしまう(笑)。

 

もちろん、マスクスは偉大な思想家なんだろう。彼の思想は重要だ。

しかし、あくまでも、現時点では、「机上」のアイデアで留めておくべきモノであり、「地上」に実現させてはならない危険物だ。

ホモ・サピエンス」の学名が変わるくらい、人類が進化(変化)を遂げないと、正常には運用できない、1000から2000年くらい早すぎた政治体制である。

 

ソビエト共産党がウンコだったように、中国共産党もウンコである。

だから、アンドレイ・サハロフ・プラザ」にも劉暁波プラザ」にも賛同したい気持ちはヤマヤマだ。

 

しかし、残念ながら、「総論賛成・各論反対」。

ゴミ処理場は必要だが、オレの家の近所には作るな。

普遍的な理屈と、個別の利害が、合致せず、完全に衝突するのが、この世の常だ。

 

というか、普通に考えて、よりにもよって、日本が、特に産経新聞が、「劉暁波プラザ」というアイデアに賛成していいのか? というか賛成できるのか?

 

【歴史戦】徴用工像を在済州日本総領事館前に 韓国の市民団体 ソウル、釜山に続き10月に設置 - 産経ニュース

2017.7.20
 【ソウル=名村隆寛】韓国南部・済州(チェジュ)島の在済州日本総領事館に、日本の朝鮮半島統治時代に「強制された」という徴用工の像を設置する計画を、韓国の市民団体が20日、発表した。
 計画を進めるのは「済州地域日帝強制徴用労働者像建立推進委員会」。聯合ニュースによると、同委員会はこの日、済州道議会で行った会の発足を兼ねた記者会見で、今年10月中旬ごろに総領事館の公園に像を設置する方針を表明した。像の管理条例の制定に向けた運動も展開するという。
 徴用工像は4月に別の団体が、ソウルの日本大使館や釜山(プサン)の日本総領事館の前に、日本による朝鮮半島統治からの解放記念日にあたる8月15日に設置することを発表している。
 大使館と釜山の総領事館の前では、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約に反し、慰安婦像が撤去されず放置された状態だ。慰安婦問題をめぐる日韓合意の精神にも反しており、日本政府は韓国政府に撤去を要求してきた。
 徴用工像の設置もウィーン条約に違反する行為で、済州も加われば、在韓国の日本公館すべての前に国際条約に反した像が置かれることになる。 

 

産経新聞は、今まで、さんざん、ソウル日本大使館前、釜山日本総領事館前、済州日本総領事館前における、韓国名:少女像、日本名:慰安婦像、および、徴用工像の設置に、強く反対してきたはずである。

その理由は、法理上は、タテマエ的には、ウィーン条約第22条2項に違反するからだ。

ホンネでいえば、日本を侮辱するような、日本にケンカを売るような、韓国人の行為、韓国政府の無策は、不愉快極まる、ということである。

 

でも、その、日本の「タテマエの法理、ホンネの心情」は、支那中国共産党の立場や心情と何が違うのか?

 

ワシントンの中国大使館前の通りを「劉暁波プラザ」と命名するのと、

韓国の日本大使館前、日本総領事館前に、慰安婦像が立つのと、

どこがどう違うのか? 全く同じ行為ではないか。

 

韓国が日本に嫌がらせを仕掛けているように、

アメリカも支那に嫌がらせを仕掛けているのである。

アメリカから支那への嫌がらせが許されるのならば、

韓国から日本への嫌がらせをどういう理屈で批判できるのか?

日本大使館前の慰安婦像を批判する日本の立場で、

どうやって支那大使館前の劉暁波プラザ」に賛同できるのか?

 

劉暁波プラザ」も、慰安婦像も、ウィーン条約第22条2項の、少なくとも、その意図に、その精神に、抵触する可能性が高いではないか。

 

像と命名は異なるか? じゃあ、ソウル日本大使館前の通りを「戦争犯罪通り」「戦犯国通り」「安重根通り」「原爆通り」「ヒロヒト通り」に改名しても、ウィーン条約第22条2項の精神に違反しないし、日本人も、産経新聞も、韓国人に文句は言わないのか?

 

慰安婦への人権侵害はオオウソだが、劉暁波への人権侵害は真実だからか?

しかし、ウィーン条約第22条2項には「ウソなら許さない。真実なら許す」なんて書いてない。真実だろうがウソだろうが、相手国が不愉快に感じたら、ダメなのである。

 

アメリカが広島長崎に原爆を落としたのはアメリカも認める事実だが、じゃあ東京のアメリカ大使館前を「原爆1丁目」に改名していいのか?

日本の立場からは同盟国、友好国に失礼はできない、ということになるが、ウィーン条約第22条2項には「同盟国はダメ。嫌いな国はやりたい邦題」なんて書いてない。

 

韓国人がいかに日本を嫌おうと、日本の外交公館を侮辱してはいけません。

それがウィーン条約第22条2項であり、だからこそ日本が正々堂々韓国を批判できるのだ。

 

産経新聞は、

支那を道義的に批判する目的の、しかしウィーン条約第22条2項に違反しそうな、劉暁波プラザ」に慎重だった民主党オバマ前大統領に、批判的である。

それなのに、同時に、

日本を道義的に批判する目的の、しかしウィーン条約第22条2項に違反している(でしょ?)、慰安婦像を阻止しなかった朴槿恵前大統領を批判し、黙認を続ける文在寅現大統領を批判するのである。

ウィーン条約第22条2項を「守った」オバマを批判し、 

ウィーン条約第22条2項を「破った」朴槿恵と文在寅も批判する。

どっちなんだ(笑)?

同じ内容でも、自分に都合が良ければ誉める。自分に都合が悪ければ貶す。

これがダブルスタンダードでなかったら、何だ? 

 

大陸支那の「国家主権」より、劉暁波の「人権」が尊い

その思想に、個人的には大賛成である。

しかし、その思想は、どんなに性悪でも国家は国家、どんなに粗暴でも国家主権は国家主権、国家主権の「治外法権」的優先をうたったウィーン条約とは、正反対であり、相反する。

ウィーン条約第22条2項は、

善良(笑)な日本と、陰険(笑)な韓国との間にも、適応されるし、

野蛮(笑)な支那と、正義(笑)のアメリカとの間にも、適応されるのである。

 

産経新聞も、さすがに、自分の論理矛盾に気が付いているのか(笑)、

劉暁波プラザ」は、横暴な支那への批判だから、ウィーン条約第22条2項なんか無視して、実現せよ!

と、明確には書いてないが、論調を読めば誤解のしようがない、「言外」には、そう主張しているのである。

 

でも、こんな、あからさまなダブルスタンダードを、支那習近平さんや、韓国挺対協やハンギョレ新聞が納得するとはとても思えない。

習さん「慰安婦像がNGなら、劉暁波プラザもNGアルヨ。アイヤー!

挺対協「劉暁波プラザがOKなら、慰安婦像もOKニダ。シッパル!」

になるのが当たり前だし、

産経新聞は、どういう理屈で再反論できるつもりなのか?

 

劉暁波プラザ」に賛同したワシントン・ポストは、アメリカのリベラル新聞の代表格だ。

オバマさんの民主党支持だし、毎日のようにトランプ政権とケンカしている。日本で言えば、朝日新聞毎日新聞である。普段は産経新聞と敵対している立場だ。

 

劉暁波プラザ」改名法案を議会に提出したのは、大統領選挙でも善戦した共和党テッド・クルーズ。同性愛も社会福祉も認めない、ガチガチのキリスト教福音派であり、彼はワシントン・ポストとは全く正反対のケンカ相手である。日本で言えば日本会議在特会だ(笑)。

 

今回の劉暁波プラザ」は、リベラルのワシントン・ポストと、福音派テッド・クルーズの、天敵同志の呉越同舟なのだ。

なんでそんなことが実現したかといえば、

リベラルのワシントン・ポストは、支那の人権侵害を許さない。

福音派テッド・クルーズは、キリスト教を弾圧する共産主義を許さない。

双方の意見が一致したのである。

 

これは日本にとって、他人事ではない。

ワシントン・ポストみたいなアメリカ東海岸のリベラルも、

テッド・クルーズみたいなアメリカ中西部・南部のキリスト教右翼も、

日本と韓国の微妙な関係やややこしい歴史なんか、大して詳しいはずがない。そもそも興味もない(笑)。

 

もしも、ワシントン・ポストなんかが、「劉暁波プラザ」が人権問題であるように、慰安婦も人権問題だ、と言い出したら?

 

もしも、テッド・クルーズなんかが、ヤスクニみたいな土俗信仰が盛んで、キリスト教徒が1%しかいない日本よりも、キリスト教しかも福音派勢力を持っているアジア有数のキリスト教国・韓国に、宗教的好意を持ち始めたら?

 

「国家にはそれぞれ固有の事情がある。アメリカの価値観を押し付けるな!」というわけで、日本も、習近平さんと同盟するしか道が無くなるのである(笑)。