#BREXIT #EU離脱 映画列伝(その4)「静かなる男」(1952年)~レーガンもオバマもバイデンもアイリッシュ。 - 在日琉球人の王政復古日記
の続き。
EUは2つの顔を持つ。
インターナショナル共同体、多種多様の民族、自由な移動、巨大な市場。
と同時に、
大陸ヨーロッパ・ナショナリズム、グローバル企業の支配、ブリュッセル官僚帝国の大きな政府。
EUに対して、イギリス保守派は分裂する。
経済界は巨大市場を求め、EU残留派。
そして、イギリスの左翼・リベラルも分裂した。
移民や大都市文化リベラル左翼は移動の自由を求め、EU残留派。
アメリカ民主党の支持基盤と同じだ。
中小都市・工業地帯の白人労働者は、グローバル企業に反発し、EU離脱派。
スコットランド・ナショナリスト、北アイルランド・ナショナリストは、イングランド専制を嫌い、EU残留派。
EU側ももちろん、EU残留派。
しかし、アメリカ民主党のサンダースと同じラジカル・レフトの労働党コービンも、グローバル企業優位とブリュッセル官僚帝国を嫌い、EU離脱派だった。
'Oh, Jeremy Corbyn!' Chant Glastonbury Compilation
ロンドンのリベラル派はEU残留なので、支持基盤の分裂が命取りとなり、あれだけ人気者だったコービンは惨敗する。
労働党支持層の分裂も手伝い、ポピュリズムを煽ったEU離脱派・保守党ジョンソンが、ネオリベ経済界の反対を押し切って、大勝する。
保守もリベラルもバラバラ。右翼も左翼もなく、「グローバル資本主義」VS「排外民族主義」VS「都市リベラル」の三つ巴の混乱。それがEU離脱のてんやわんやである。
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このままノーディールなら、北アイルランドとアイルランド共和国の間に国境が復活する。アイルランド島は再び分断される。ヘタすればIRAやUDAの殺し合いが再燃する。
北アイルランド問題に関わったEU残留派のアメリカ民主党がジョンソン保守党に釘を刺す。オバマもバイデンもアイリッシュなのだ。
オバマ米大統領:英国、EU離脱なら通商協定締結交渉は「最後列」に - Bloomberg
2016年4月23日
オバマ米大統領は22日、英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を選択した場合、米国との通商協定締結交渉は「最後列」に並ぶことになると述べた。EUから離脱した方が有利な通商協定を結べると主張する英国の離脱支持派に対し、直接警告した格好だ。
ロンドンでキャメロン英首相との共同記者会見に臨んだオバマ大統領は「投票を操作しようとロンドンに来たわけではない。自分の意見を述べている」と前置きし、「英国が離脱する場合、米国にある種の行動を期待する人々が英国にいる。恐らく、ある時点で英米の通商協定は結ばれるだろうが、近い将来に実現することはない」と語った。
バイデン氏が英首相に警告、北アイルランド和平脅かせば貿易協定ない - Bloomberg
2020年9月17日
米大統領選の民主党候補、バイデン前副大統領はジョンソン英首相に対し、欧州連合(EU)離脱合意の一部をほごにする計画を強行して北アイルランドの和平を脅かすのであれば、米国が英国と貿易協定を結ぶ可能性はなくなると警告した。
バイデン氏はツイッターで「北アイルランドに和平をもたらしたベルファスト合意(1998年の北アイルランド包括的和平合意)が英国のEU離脱の犠牲になることは容認できない」と述べ、「米英間の貿易協定はベルファスト合意を尊重し、厳格な国境管理の復活を阻止することが条件でなければならない。以上」と投稿した。
どういう結末になろうが、EUとイギリスとアイルランドと北アイルランドの関係は、次の5つのパターンになる。
EU:EU加盟国
脱:EU離脱国
大陸:ヨーロッパ大陸
愛共:アイルランド共和国
英北愛:イギリス領北アイルランド
英GB:イギリス領イングランド、スコットランド、ウェールズ
外国:イギリスおよびEU加盟国以外
===:自由貿易。フリーパス
【HB】:ハード・ボーダー/国境/税関
≒BS≒:バックストップ/税関無し国境
≒?≒:事実上の税関
【A】イギリス・アイルランドEU加盟(1972年-2019年)
EU大陸===EU愛共===EU英北愛===EU英GB【HB】 外国
【B】ノーディール:イギリス合意なしEU離脱。アイルランド分断。
EU大陸===EU愛共【HB】脱英北愛===脱英GB【HB】外国
【C】バックストップ・机上の空論。実質・不可能。
EU大陸===EU愛共≒BS≒脱英北愛===脱英GB【HB】外国
【D】バックストップ・現実案。実質・北アイルランド分離。
EU大陸===EU愛共≒BS≒脱英北愛≒?≒脱英GB【HB】 外国
【E】17世紀逆戻り(笑)。アイルランド戦争再び。
EU大陸【HB】脱愛共===脱英北愛===脱英GB【HB】外国
BREXIT合意なし、ノーディールなら【B】。
それはマズいからバックストップ【C】。
北アイルランドにEUルール適用。アイルランド分断はなくなるが、イギリス・ブリテン島と北アイルランドの間をフリーパスにしたら、イギリス全体がEUルールとなる。BREXITをやる意味がない。
よって、ブリテン島と北アイルランドの間に事実上の税関が必要【D】。
となれば、今度は北アイルランドがイギリスから分離される。北アイルランド・アルスター・ユニオニストが暴れる。
さらに北アイルランドを分離していいのなら、次はスコットランド独立→EU単独加盟である。
そうなることは、EU離脱国民投票の時から判っていたし警告もされていた。しかしイングランド・ナショナリズムの暴走は止まらなかった。
イングランド・ナショナリストが止まらないのなら、スコットランド・ナショナリストだけ止まる理由はない。同じく、北アイルランド・ナショナリストも、アルスター・ユニオニストも止まらない。イギリスはバラバラだ。
アイルランドに分断なく、かつ、北アイルランドの分離なし、方法はある。
アイルランドもEU離脱させてイギリス支配下に置けばいい【E】。
イギリス海軍が漁場に出るどころではない。イギリス陸軍がアイルランド強襲上陸、ダブリン占領である。清教徒革命17世紀に逆戻りだ(笑)。今度は何万人死ぬことになるか?
【B】【C】【D】【E】全部ダメなら【A】しかない。
BREXIT取り止め(笑)。つまりBREXITは最初から無理ゲーに近かったわけだ。
ジョンソンはどうするつもりなのか?
FTAはしょせんカネの話である。
北アイルランドの「人間」が、自由にアイルランド共和国と往来できる、自由にブリテン島と往来できる。これがないと、ナショナリストとユニオニストが黙っていない。それが可能なのか?
おそらく、離脱か残留か妥協か対立か、ワケの分からない中途半端な状態で終わる(いやまだまだ続く)だろう。
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