議事堂に乱入したトランプ支持者。持っている旗は「南軍旗」。
トランプは共和党。しかし南北戦争の南軍は民主党なのだ。
トランプ支持者は民主党の旗を持って乱入したわけだ。
なんで、こんなサカサマな事態になったのか?
黒人のオバマ大統領は民主党である。
奴隷解放宣言したリンカーン大統領は共和党である。
アメリカ南北戦争は、奴隷制廃止を掲げる北部と奴隷制存続を掲げる南部との戦争であった。北部のリンカーン大統領が共和党で、南部は民主党だった。
リンカーン時代とオバマ時代で、共和党・民主党の支持基盤が、そして政策も、サカサマに逆転している。
人が変わったのではない。党が変わったのだ。
もしも100年前なら、トランプは、共和党ではなく、民主党の大統領だっただろう。
リベラル派と保守派、脳構造に違いがあった 英研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
2011年4月9日
【4月9日 AFP】世界観が真っ向から対立することの多いリベラル派と保守派だが、実際、脳の構造が異なっていたとする研究成果が、7日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。
英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の研究チームは、健康で若い成人90人を対象に実験を行った。自分の政治的志向を1の「非常にリベラル」から5の「非常に保守的」まで5段階で評価してもらったあと、脳をスキャンした。
その結果、リベラル派であるほど前帯状皮質の灰白質の容積が大きく、保守派であるほど右へんとう体の容積が大きい傾向があることがわかった。
前帯状皮質は複雑性の理解に関連しており、不確実性や対立をチェックする機能を持つ。そのため、前帯状皮質が大きい人ほど不確実性や対立への認容性が高く、リベラルな物の見方を許容しやすくなると考えられるという。
一方、へんとう体は恐怖心の処理に関連しており、これが大きい人ほど、反感や脅すような表情に敏感で、危機的状況に際してはリベラル派以上に攻撃的に反応する傾向があるという。
これまで、一定の心理的特性でその人の政治的志向を予測できることは知られていた。政治的志向を脳活動と関連付けた研究はあったが、脳の構造と結びつけた研究は今回が初めて。(c)AFP
そもそもにさかのぼってみる。
#独立戦争(1770年代~)。
共和党の源流となった当時の政党は連邦党。
代表的人物は、アレクサンダー・ハミルトン財務長官(連邦党)。
支持基盤は、北部東海岸。都市部富裕層。工業、金融。アメリカ生まれの最初期移民。イギリス系、北欧系。プロテスタント(長老派などカルヴァン派、聖公会)。WASP。要は勝ち組。
政策は、今の共和党とは180度サカサマ。各州の権限よりもワシントン連邦政府を重視する連邦主義(中央集権)。通貨を統一して州境を無くす。今のEUみたいな志向。イギリスに比べて弱体の工業を守るための重商主義(保護貿易)。イギリスに親近感。海洋国家志向。進歩的。
アメリカ建国当時、民主党は民主共和党と名乗っていた。ややこしい。
代表的人物は、トーマス・ジェファーソン大統領(民主共和党)、ジェームズ・モンロー大統領(民主共和党)。
支持基盤は、東部内陸部。農村部、都市部貧困層。農業。外国生まれの新規移民。アイルランド系、ドイツ系。カトリック、プロテスタント(メソジスト、バプテストなどのアルミニウス派)。反WASP。要は負け組。
政策は、今の民主党とは180度サカサマ。ワシントン連邦政府よりも各州の権限を重視する州権主義(地方分権)。強権的なワシントンを警戒。中央銀行すら反対。BRXITのイギリスみたいな志向。独立自営農民のための重農主義(自由貿易)。イギリスを警戒、フランス革命に親近感。大陸国家志向。保守的。
モンローは、アメリカは外国へ干渉しないから、外国からの干渉も拒否する「孤立主義」のモンロー主義で有名。これもトランプのご先祖だ。
最初は連邦党優勢だったが、徐々に民主共和党優勢に変わる。
連邦党は解体し、ホイッグ党となり、離合集散の末、共和党が誕生する。
代表的人物は、アンドリュー・ジャクソン大統領(民主党)。
ジャクソンこそトランプ的ポピュリズム政治家の元祖かもしれない。
#南北戦争(1860年代~)。
ここで、アメリカ合衆国・北軍・共和党・リンカーンが、アメリカ連合国・南軍・民主党に、完勝・圧勝したから、現在のアメリカがある。
もし、北部が負けないまでも、休戦して南部が負けないまま終わっていたら、南部は「巨大な南アフリカ」として残り、対峙する北部は世界に関与する覇権国にはなれなかっただろう。
もし南部が残ったら、その後の世界史はかなり変わった。第一次世界大戦はアメリカ参戦がなくだらだら終わらない。ヘタしたら、ソ連は21世紀まで生き残ったかもしれない。
共和党。
代表的人物は、エイブラハム・リンカーン大統領(共和党)。
支持基盤は、北部。都市部富裕層。工業、金融。プロテスタント。WASP。勝ち組。
政策は、連邦主義(中央集権)。重商主義(保護貿易)。奴隷制度反対。進歩的。
代表的人物は、ジェファーソン・デイヴィス大統領(アメリカ連合国)。
支持基盤は、南部。農村部、都市部貧困層。農業。カトリック。反WASP。負け組。
南部農村プロテスタントと北部都市部貧困層カトリックの間に共通点は全く無いが、アンチ北部都市部富裕層という一点で連合する。
政策は、州権主義(地方分権)。重農主義(自由貿易)。奴隷制度賛成。保守的。
南北戦争後、国力を蓄えたアメリカは保護貿易から自由貿易に代わり、第一次世界大戦で新大陸の田舎国家からイギリスに代わる世界覇権国に成り上がった。
その直後に大事件が起こる。
#大恐慌(1930年代~)。
ここで独立戦争・南北戦争と続いたアメリカ政治がガラリと変わり始める。
共和党。
代表的人物は、ハーバート・フーバー大統領(共和党)。
支持基盤は、北部。都市部富裕層。勝ち組。
政策が変わっていく。連邦主義(中央集権)→州権主義(地方分権)。レッセフェール(自由放任経済)。進歩的→保守的。
奴隷解放は「機会の平等」となり、自由競争、小さな政府、大恐慌も神の見えざる手=市場に任せる。
民主党。
代表的人物は、フランクリン・ルーズベルト大統領(民主党)。
支持基盤は、南部。農村部、都市部貧困層。負け組。
政策が変わっていく。州権主義(地方分権)→連邦主義(中央集権)。ニューディール(ケインズ経済学)。保守的→進歩的。
支持基盤の農民と労働者が大恐慌の被害を受けたためにニューディール政策を採用。公共事業、貧困対策、社会福祉、大きな政府「結果の平等」となっていく。
大恐慌から第二次世界大戦を通してニューディール民主党優勢時代となる。
#米ソ冷戦(1945年~)。
共和党は反ニューディール→反社会主義から、反共、赤狩り、経済保守・社会保守・文化保守の政党となっていく。
代表的人物は、ジョセフ・マッカーシー連邦上院議員(共和党)、バリー・ゴールドウォーター連邦上院議員(共和党)。
#公民権運動(1960年代~)。
共和党。
代表的人物は、リチャード・ニクソン大統領(共和党)。
支持基盤がガラリと変わる。北部→南部。都市→田舎。白人。キリスト教福音派。
政策は、南部戦略。反共。小さな政府。リバタリアニズム。
共和党は南部戦略によって南部白人およびキリスト教福音派を獲得して急速に宗教保守化する。長年の地盤・北部都市部インテリ進歩派は南部と福音派を嫌って離反。
民主党。
代表的人物は、ジョン・F・ケネディ大統領(民主党)。
支持基盤がガラリと変わる。南部→北部。田舎→都市。黒人、ヒスパニック。
政策は、公民権運動。反戦。大きな政府。社会福祉。プロチョイス。
民主党は公民権運動、反戦運動、フェミニズム運動により有色人種およびリベラル白人の支持を獲得したが、リベラル化に反発した長年の地盤・南部農村プロテスタントが離反。ニューディール連合は崩壊した。
#米ソ冷戦→アメリカ一強(1980年代~)。
政策は、南部戦略。プロライフ。ネオコン。反共。小さな政府。反社会福祉。
民主党も過度なリベラル化に歯止めをかけ、第3の道・ニューデモクラットで巻き返す。
#オバマ→トランプ(2008年~)。
共和党。
支持基盤は、全国農村部。内陸部。白人。キリスト教福音派、ティーパーティー、Qアノン。
政策は、反オバマケア。孤立主義。保護貿易。プロライフ。同性婚反対。移民制限。ポピュリズム。
民主党。
支持基盤は、全国都市部。東海岸、西海岸。黒人、ヒスパニック。LGBT。
政策は、オバマケア。同盟重視。環境問題。プロチョイス。同性婚賛成。BLM。
2021年、共和党は分裂を恐れトランプを切れなかった。
異物だったトランプ派がすでに過半数。もはやトランプ派が勝つか?負けるか?の段階は過ぎた。
トランプは突然変異ではない。
レーガンのキリスト教福音派、
ニクソンの南部戦略、
マッカーシーの赤狩り、
ゴールドウォーターのリバタリアニズム、
長年の政策によって、共和党が本来は民主党的だった「南軍」を呑み込んだ、つもりが、逆に「南軍」が共和党を呑み込み、ついに本来の共和党「北軍のリンカーン」を逆転した。
2021年1月「第2次南北戦争」で南軍が勝利した。リンカーンの北軍は敗北した。リンカーンの議事堂に南軍旗が翻ったのだ。
#トランプ?AOC?(202X年~)。
共和党。
支持基盤は、全国農村部。内陸部。五大湖? 白人。キリスト教福音派。トランプ派。
民主党。
代表的人物は、カマラ・ハリス副大統領(民主党)、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦下院議員(民主党)。
支持基盤は、全国都市部。東海岸、西海岸、メキシコ国境、テキサス?フロリダ? 黒人、ヒスパニック。LGBT。
今後の注目はいわゆる激戦州=紫の州である。
ラストベルト、五大湖周辺は人口が流出する。出ていくのは都市部の民主党支持者だ。残る農村部の共和党支持者の比重が重くなる。今はまだ青い五大湖がどんどん赤くなるだろう。
南部テキサスとフロリダは人口が増える。都市部に入ってくるのは民主党支持者だ。農村部の共和党支持者の比重が小さくなる。今は真っ赤なテキサス・フロリダが紫色になってきた。これからはどんどん青くなるだろう。
2022年中間選挙、
共和党少数派リンカーン派が生き残れるのか?
民主党プログレッシブはどこまで増えるのか?
2024年大統領選挙、
共和党のポスト・トランプは誰になるのか?本人か?新顔か?
期待の星だったニッキー・ヘイリー国連大使はトランプに逆らって厳しくなった。マイク・ペンス副大統領、マルコ・ルビオ連邦上院議員も同様。
トランプ派のクリスティ・ノーム・サウスダコタ州知事、ロン・デサンティス・フロリダ州知事、マイク・ポンペオ国務長官あたりが出て来るか。
これらトランプ派だけで、民主党カマラに勝てるか?
そして、民主党でも、共和党でも、最大の敵は習近平なのである。
どっちでもいいから、習近平には勝って欲しい(笑)。
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