在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

「もう一つのアメリカ」テキサス州~大寒波停電停水、電気代暴騰、マスク拒否、ネアンデルタール人。


GUNFIGHT AT THE O.K. CORRAL / Frankie Laine   OK牧場の決闘 / フランキーレイン(和訳歌詞付き))

 

2021年冬、大寒波がアメリカ中西部全域を襲った。

テキサスだけ直撃ではなかった。しかしテキサスの停電被害が際立った。

原因は、カナダに近い寒い州ならば前もって冬季対策をしているが、メキシコ湾のテキサスでは冬季対策が不十分だったことが大きい。

 

しかし、共和党州テキサス特有の事情もあった。

テキサスは石油も天然ガスも豊富な産油州であり、平地で広いので風力発電も盛んだ。エネルギーには恵まれてる。電力は自前で賄える。本来なら全米でも一番停電が起こりにくい州だったのである。

それが逆にテキサス独自の電力政策の原因となった。電力網もテキサス州独自で整備しており他州との連携が乏しい。

  

もともとテキサスは巨大で自前で何でもできるため、独立意識が高く、ワシントン連邦政府の介入を嫌う。

大西洋のはるか向こう側、EUすらその事情を知っている。

 

欧州委員長がテキサス州の独立支援? トランプ大統領に警告 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

2017年3月31日
【3月31日 AFP】欧州委員会(European Commission)のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長は30日、ドナルド・トランプDonald Trump米大統領が英国の欧州連合EU)離脱(ブレグジットBrexit)を称賛し続けるなら、米オハイオ(Ohio)州やテキサス(Texas)州の独立を支援するつもりだと冗談を飛ばした。
 マルタの首都バレッタ(Valletta)で開かれた欧州人民党(EPP)の会合での発言。前日29日には、英国がEUからの離脱手続きを正式に開始している。
 ユンケル氏は、トランプ大統領について「英国の離脱を喜んで見ている」と指摘。「もし彼がそのような姿勢を続けるのならば、私はオハイオ州テキサス州オースティン(Austin)の独立を働き掛けよう」と続けると、会場からは笑いがこぼれた。
 トランプ氏は以前、EU離脱をめぐる英国民投票に対し、良い考えだとの見方を示すとともに、他の国々も後に続くだろうと述べている。
 ユンケル氏は先週、インタビューの中で、他国にEU離脱を働き掛けないようトランプ政権にくぎを刺していた。(c)AFP

 

一種の独立王国でもあるテキサスは、特にワシントンが民主党政権の時には、公民権オバマケアやグリーン・ニューディールやマスク命令に反発して「オレたちは自由だ!命令するな!」「リベラルどもが鬱陶しいから独立だ!」という声が起こりやすい土地柄だ。

自助努力礼賛、自由市場経済万歳なので、電力も安定供給より価格競争を優先した。規制緩和で新規業者が大量参入、変動価格が多く、通常時は安いが、緊急時には電力代が跳ね上がる。

 

寒波で電気代180万円 米テキサス、規制不在で法外の請求額 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

2021/02/22
記録的寒波に見舞われた米テキサス州では、数百万戸が数日間にわたる停電の影響を受けた上、一部の住民は法外な電気代請求額を目の当たりにし、肝を冷やしている。国内唯一の独立エネルギー市場が裏目に出た形で、同州の議員らは運営の不手際に関する調査を行う意向だ。
テキサスの住民らはソーシャルメディアに、膨大な電気代が記された請求書の写真を投稿。中には、月の締め日がまだ来ていない段階ですでに電気代が1万7000ドル(約180万円)に膨れ上がった人もいたと報じられている。
(略)

テキサスは米国で唯一、独自の送電網を運営している州で、主な設備はすべて州内にあることから、運営は連邦政府からの直接管理がほぼない状態で行われている。これによりエネルギーコストの節約が可能になった一方で、緊急時には国内の他の送電網に頼ることができなくなっている。

 

共和党社会主義だと批判してオバマケアにも反対した。 

国民健康保険が無いから、毎月の健康保険料支払いも無いが、もし病気になったら100%全額請求される。病気一発で破産する人も多い。

テキサスは、電力も、健康保険も、自由競争、自助努力、自己責任の丁半鉄火場ウォール街スタイルなわけだ。

 

大寒波はテキサスに大停電を招き、水道も止まった。

規制緩和と値下げ競争で電力業者が冬季対策まで準備できず設備が凍結したのが原因だが、それを言い出すと共和党の基本理念・自由競争が原因になってしまうので、共和党アボット州知事は「民主党が進めた再生可能エネルギーが悪い」と主張した。

すると、民主党支持のビル・ゲイツが「共和党の過当競争の失敗を、民主党のグリーンエネルギーの責任にするな」と噛み付いた。

バイデン大統領も「大寒波は地球温暖化=気候変動がシャレにならない証拠だ。化石燃料に依存できない」と反論する。 

 

テキサス大停電、深刻な水不足誘発 再発防止へ規制強化: 日本経済新聞

2021年2月20日
【ニューヨーク=山内菜穂子】米南部を中心とする記録的な寒波の影響で、テキサス州が停電に続いて深刻な水不足に直面している。低温による水道管破裂や停電による水処理施設の停止で広範囲で断水が発生した。水道水を飲む場合は煮沸するよう求める勧告も出た。停電の再発を防ぐため、アボット知事は発電機など電力システムをつくる重要設備が凍るのを防ぐよう義務づける規制強化を州議会に要請した。
(略)

今回の事態を教訓に電力の規制緩和を見直す動きも出ている。同州では規制緩和によって新規参入業者が急増し、電気の低価格競争を繰り広げていた。アボット知事は発電設備が凍結を防げなかったことを問題視し、18日には発電設備などの凍結防止を義務付ける立法措置を州議会に要請した。
アボット知事が停電を引き起こした原因の一つとして風力と太陽光発電をあげたことも波紋を呼んでいる。知事は同時に、オバマ政権が政策の柱に位置づけた再生可能エネルギーへの大規模な投資計画「グリーン・ニューディール」も批判した。
停電は気温低下で暖房利用が増えたところに、天然ガスのパイプラインや風力発電設備が凍結したのが原因とされている。アボット知事の発言に対して米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は17日、米メディアに、他州には凍結防止措置を備えた風力発電施設があることを指摘し、「(風力や太陽光の普及を停電の一つの原因とした)知事は間違っている」と強調した。

  

テキサス大寒波で「気候変動」論争 再生エネ転換、規制緩和が裏目:時事ドットコム

2021年03月01日
(略)

 「天候に左右される再生可能エネルギーのみに依存するのは危険だ」。野党共和党に属するアボットテキサス州知事は当初、寒波に伴う風力発電設備の凍結が危機を招いたと主張。これに対して民主党は再生エネの不信感をあおる政治的な発言だと猛烈に批判し、バイデン政権は「大寒波は気候の危機が迫っている証左だ」(報道官)と反論した。
 テキサス州独自の電力制度も停電の一因となった。同州での寒波による停電は10年ぶり。発電業者が予備電力を十分確保する仕組みがないために供給危機が再発した。他州から電力を融通する「連系線」が乏しい点は、送電網が地域単位で独立しがちな日本と似ている。

(略) 

 

大寒波・大停電が一山越えたら、今度はマスク着用義務解除、商業活動全面再開、を宣言した。

確かにワクチン接種は日本より進んでいるが、感染数・発病数・入院数・死者数、全て世界一、テキサス州も危機的状況なのに、マスク無し、ソーシャルディスタンス無し。

知事がそういう政策を取るのは、州民がそういう政策を支持しているからだ。

健康より自由、医学より経済、テキサス人はどこまでも共和党マインドである。

 

米テキサス州、マスク着用義務を解除へ 10日に商業活動も全面再開 - BBCニュース

2021年3月3日
テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は2日、州内の新型コロナウイルス対策について、10日にもマスク着用義務を解除し、商業活動を全面的に再開すると発表した。「今こそテキサス州を100%開く時だ」としている。
アボット州知事はこの日、同州ラボックの商工会議所での演説で、新型ウイルス対策の制限措置を解除すると明らかにした。
「あまりに多くのテキサス州民が雇用の機会を奪われている」とアボット氏は述べた。「あまりに多くの小規模事業者が経費の支払いに苦労している。こんなことは終わらせなければならない」。
(略)

 

科学重視のバイデンさんは呆れ果て、「マスク不要はネアンデルタール人の発想だ」とテキサスとミシシッピーの南部共和党をまるで原始人扱いのオーバーラン発言をやらかす(笑)。

 

マスク着用義務解除は「ネアンデルタール人のような判断」、バイデン氏 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News

2021年3月4日
【3月4日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は3日、テキサス、ミシシッピ両州がマスク着用義務を解除したのは「ネアンデルタール人のような判断」だったと批判し、米国は新型コロナウイルス流行の抑え込みには程遠いと主張した。
 テキサス、ミシシッピ両州は2日、各種規制を緩和しないようにとの警告を押し切る形で、来週からマスク着用義務を解除し、レストランやバーの全面的な営業再開を認めると発表。
 バイデン氏はホワイトハウス(White House)で報道陣に対し、両州の判断は「大きな過ち」だと述べた。「何も問題はない、マスクを外そう、なかったことにしようというネアンデルタール人のような考え方は、何よりもしてはいけないことだ」
 米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー(Rochelle Walensky)所長も、両州の判断は連邦政府ガイドライン違反で、マスク着用義務の解除は時期尚早だと述べた。
 ワレンスキー氏は、「今はすべての規制を解除する時ではない」と述べ、「今後1~2か月」で新型ウイルスの流行がどうなるかが決まると指摘。マスク着用とソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)を続けるよう呼び掛けた。(c)AFP/Ben Sheppard

 

早速、共和党が「オレたちを原始人呼ばわりか!?」と噛み付く。

民主党側も、ラジカル・レフトの映画監督マイケル・ムーアが「マスクもガマンできないお前ら共和党に貴重なワクチンはもったいない」と乱戦状態である。

 

米、マスク論争再び バイデン氏「原始人」発言に批判:時事ドットコム

2021年03月06日
 【ワシントン時事】新型コロナウイルスがこの1年猛威を振るった米国で、マスク着用の義務化をめぐる論争が再び過熱してきた。感染者数減少で着用義務の解除に動く保守州に対し、バイデン大統領が「ネアンデルタール人のような(浅はかな)考えだ」と批判。保守層から「侮辱だ」と反発が相次いでいる。
 バイデン氏の発言は3日、南部テキサス、ミシシッピ両州の共和党知事がマスク着用義務の解除を決めたことを「大間違いだ」と批判する中で飛び出した。
 ミシシッピ州のリーブス知事は「米国人に(マスク着用の)手ほどきは必要ない。国民を侮辱するのでなく信頼すべきだ」と反発。共和党若手のホーリー上院議員も「これが団結を訴える政治家か。自分の考えに同意しない人はネアンデルタール人扱いか」とバイデン氏を非難した。
 米メディアによると、感染者数の減少を受け、5州がマスク着用義務を解除しようとしているが、いずれも共和党地盤の保守州。トランプ前大統領が人前でのマスク着用を拒んだように、義務化への抵抗はいまだ強い。
 だが、マスクへの対応の遅れが世界最悪の感染を招いた側面は否めず、民主党支持者には「貴重なワクチンはあなたたちに必要ない」(映画監督のマイケル・ムーア氏)と保守州を非難する声が相次ぐ。サキ大統領報道官は4日の記者会見で「大統領の発言は不満と憤慨の表れで、それは米国民がこの1年間持ち続けた感情だ」と主張した。

 

「日本人のアメリカ」は、ハリウッドとニューヨークとワシントンである。これが他の国の人々も変わらない。アメリカの情報は、ハリウッドとニューヨークとワシントンから流れて来るからだ。

しかし「別のアメリカ」もある。その典型がテキサスだろう。

まあ、テキサスはテキサスで、アメリカ全体の平均から見ればかなり特殊ではあるが。

 

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