在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

#SDGs VS穴掘ってまた埋める~ケインズVSドストエフスキー~緊急事態宣言VSストロング系チューハイ

心折れて…「あきらめ廃業」急増 倒産減少の裏で休廃業は過去最多の見込み:東京新聞 TOKYO Web

2021年1月14日
 東京商工リサーチは、2020年に自ら事業をやめたり解散したりした件数が5万件前後となり、過去最多となる見通しを明らかにした。政府の資金繰り支援策で倒産件数はバブル期以来の低い水準となったが、コロナ禍での先行きを悲観し自主廃業を選ぶ事例が増えている。
◆政府支援打ち切りで今年は倒産増える懸念も
 13日に発表した20年の全国の企業倒産(負債額1000万円以上)の件数は、前年比7.2%減の7773件と1990年以来30年ぶりに8000件を下回った。そのうち、新型コロナウイルスの関連倒産は792件だった。
 産業別では飲食業や宿泊業を含むサービス業の倒産が最も多く、建設業、小売業と続いた。負債総額は1億円未満が76%と、小規模倒産が目立った。
 倒産が減ったのは持続化給付金や、実質無利子・無担保の融資といった政府の支援策に支えられたことが理由だ。そのため、給付金の打ち切りを受け、倒産が今後増加する懸念もある。
(略) 

 

コロナの直撃を受けたのが飲食業界である。

「酒を出すな」と言われれば、夜のメシ屋の大半は商売できない。

 

しかし、一方、酒は社会の良き事「だけ」をもたらすわけではない。

 

ストロング系チューハイに薬物依存研究の第一人者がもの申す 「違法薬物でもこんなに乱れることはありません」

2020年1月21日
ジュースのような口当たりの良さなのに、アルコール度数は9%と350ml缶1缶で日本酒1合分のアルコールを含むストロング系チューハイ。薬物依存研究の第一人者が「危険な薬物」と警鐘を鳴らしています。
(略)
ストロングZEROは「危険ドラッグ」として規制した方がよいのではないか。半ば本気でそう思うことがよくあります。私の臨床経験では、500mlを3本飲むと自分を失って暴れる人が少なくありません。大抵の違法薬物でさえも、使用者はここまで乱れません。
結局あれは「お酒」というよりも、単に人工甘味料を加えたエチルアルコール=薬物なのです。そして、ジュースのような飲みやすさのせいで、ふだんお酒を飲まない人や、「自分は飲めない」と思い込んでいる人でもグイグイいけます。そうした人たちが、ビールの倍近い濃度のアルコールをビール並みかそれ以上の早いペースで摂取すればどうなるのか。ただでさえ人類最古にして最悪の薬物といわれているアルコールですが、その害を最大限に引き出す危険な摂取法です。
(略)

 

その危険なエチルアルコールという薬物を売り買いできなければ、飲食業は成り立たない。

われわれの社会や文化は、確実に健康に悪いモノで成り立っている。

 

自動車も同じ。売れないと日本経済は回らない。しかし交通事故も覚悟だ。

 

日本において廃棄される、まだ食える食品、食品ロスは年間約600万トン。世界の飢餓地域への食糧援助分を日本のゴミだけで上回るらしい。

 

仮に食品ロス年間600万トンを捨てずに食えば、環境には間違いなく良い事だが、 年間600万トンの食糧が売れなくなる。

マジメにやれば、間違いなく、農家の収入が減る。

 

私個人はあらゆる意味で、エコロジストではない。

SDGs(持続可能な開発目標)というムーブメントも、一歩も二歩も離れて見ている。

 

ロシアの作家・ドストエフスキーの小説に、拷問の話が出て来る。

殴る蹴るではない。メシを抜くわけでもない。

囚人に、半日かけて穴を掘らせる。そして、半日かけて、また埋めさせる。何の意味も生産性もない。毎日毎日その繰り返し。人間は無意味な作業には耐えられなくなる。

 

現実に、ナチスドイツが強制収容所で無意味な作業を繰り返させて、収容者の反抗心を潰していったという。

 

イギリスの経済学者・ケインズの著書に、景気対策が書かれている。

失業手当を出すよりも、政府が労働者を雇って、穴を掘って、また埋める、その方が景気対策には有効だ。

日本でやってきた公共事業も、GOTOトラベルも、GOTOイートも、基本的には、同じ効果である。

 

化学メーカーが肥料を作る。それで農家が穀物やブドウを作る。それで酒造家が酒を造る。それを問屋が流通させる。それを居酒屋が客に出す。それが客の小便になる。

最後は小便になる。それが無ければ、われわれは生活できない。

 

健康に悪い酒を飲まなくなれば、居酒屋が潰れ、問屋が潰れ、酒造家が失業し、農家が失業し、化学メーカーが倒産する。

 

ストロング系チューハイも、それを全くの有害と見なすか?、必要な快楽と見なすか?

食べ残しの食品ロスも、全くの無駄と見なすか?、その浪費が経済を回すと見なすか?

人間は、どちらの立場にも立てる。言い換えれば、人間は、たとえ無意味でも、意味を作り出すことができる。

 

穴掘ってまた埋める。

無意味に強制すれば拷問だが、意味さえあれば、無ければ作れば、無駄でも人間はやり続けることができる。