在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

日本人には亡命先が無い~欧州の「しんどさ」と「うらやましさ」~ベラルーシ五輪選手、ポーランド到着。

https://www.travel-zentech.jp/world/map/Belarus/image/Map_of_Belarus_and_neighboring_countries.gif

 

東京五輪の新競技「障害物フライト女子8595km級」は、ポーランドの不戦勝で終わったようだ。

何をするか判らないベラルーシ相手で心配だったが、波乱が無くて何よりである。

 

東京五輪8,595km障害物フライト競争ポーランド対ベラルーシ(成田→ワルシャワ)~クリスツィナ・ツィマノウスカヤ選手 - 在日琉球人の王政復古日記

 

ベラルーシ陸上選手 亡命先のポーランドに到着 | オリンピック・パラリンピック 競技・選手 | NHKニュース

2021年8月5日
東京オリンピックに出場したあと、第三国への亡命を希望し、日本を出国したベラルーシの陸上選手が、日本時間の5日朝早く、亡命先のポーランドに到着しました。
ポーランドの首都ワルシャワの空港に到着したのは、陸上女子のベラルーシ代表、クリスチナ・チマノウスカヤ選手(24)です。
(略)
ベラルーシの隣国ポーランドが、人道的な配慮からビザを発給して亡命を受け入れたため、チマノウスカヤ選手は、成田空港からオーストリアのウィーンを経由してポーランドに向かいました。
ベラルーシでは、27年にわたって国を率いるルカシェンコ大統領が政権に批判的な人たちへの弾圧を強めていて、チマノウスカヤ選手が今後、記者会見などで、亡命に至った詳しいいきさつをどう説明するのか注目されます。

 

人道的な配慮から亡命を受け入れたポーランドだって、EU内部では、人権優等生ではない。

 

EU、ハンガリーとポーランドに法的措置開始 LGBTQの権利めぐり 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

2021年7月16
【7月15日 AFP】(更新)欧州連合EU)の欧州委員会(European Commission)は15日、EU加盟国のハンガリーポーランドでLGBTQ(性的少数者)市民に対して差別的とされる措置が導入されたことを受け、両国の保守政権に対する法的措置を開始した。
 欧州委員会EU加盟国に対し、違反手続きを開始する権限を持っている。この手続きには複数の段階があり、数年にわたり長期化する場合があるが、最終的には欧州司法裁判所(European Court of Justice)への提訴と経済制裁につながる可能性がある。
 ハンガリーは先週、EU指導部や加盟各国の首脳からの警告を押し切り、「反小児性愛法」を施行。未成年者に対して同性愛や性別移行を「助長」する行為などを禁止した。ポーランドでは、国土の3分の1ほどを占める約100の自治体が「反LGBT」決議を採択している。
 欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長は「誰を愛するかということや年齢、民族、政治的見解、信仰を理由に、われわれの社会の一部が汚名を着せられることを、欧州は決して許さない」と表明した。(c)AFP

 

1956年、ソ連に抵抗し、共産主義体制の欺瞞と犯罪を満天下にさらしたハンガリー動乱
1989年、ソ連崩壊、米ソ冷戦終結の導火線となったポーランド民主化革命。

20世紀後半、自由と人権への戦いの先頭を走ったと言ってもいい両国が、

21世紀初頭、LGBTには抑圧的なポピュリズム政権で、EUと対立している。

 

ホロコーストで大虐殺を受けたはずのユダヤ人が、パレスチナ人の土地を奪うのと同じで、100%邪悪な民族も、100%善良な民族も、この世には存在しない。

権力に虐げられてる時は、どんな民族も可哀想だが、権力を手に入れたら、どんな民族も邪悪になるのである。例外はなさそうだ。

 

映画「君の涙、ドナウに流れ1956」~ハンガリー今昔物語、ハプスブルグ家の夢、オスマン帝国の後始末。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

ワレサはおそらく共産党のスパイだった。それを批判するヤツは「共産主義とは何だったのか?」を全く理解できていない。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

本物の軍人。本物の愛国者。ヴォイチェフ・ヴィトルト・ヤルゼルスキ(1923/07/06~2014/05/25)。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

ベラルーシの人口は神奈川県より少ない、面積は本州より少ない。

ポーランドの人口は1都3県くらい、面積は本州+北海道くらい。

 

そもそも、ベラルーシは、どこから、どこまでが、ベラルーシなのか?

そもそも、ベラルーシなんて国が、ホントにあるのか?あるべきなのか?

ベラルーシ人って誰だ? ベラルーシ人なんて民族が、ホントにあるのか?

 

日本人の皆さんは、そういう悩み方を、まず、しない。

琉球人には、そういう悩み方をする、へそ曲がりも(笑)、ここにいる。

日本人はそれが幸せだと思ってる。一応は正しい。

一応は正しいが、それはそれで、しんどい瞬間も来る。

 

ベラルーシ人にとっての、ベラルーシ

ベラルーシ人にとっての、ロシア、ポーランドウクライナ、ドイツ、は、

日本人にとっての日本、

日本人にとっての、韓国、中国、とは、かなり違う。

 

ベラルーシ人にとって、ロシア語は外国語というより方言だし、東京人がコテコテの大阪弁を聞くようなもんだろう。

ベラルーシにはポーランド人も住んでいるし、ポーランドにもベラルーシ人が住んでいる。勉強しなくても、ポーランド語も、ドイツ語も、見慣れているし、普通に覚える。

ベラルーシ人ならEUに亡命するのは、日本の地方出身者が首都圏に住みたい、という感覚に近いものがあるだろう。

 

感覚で言えば、戦国時代の甲斐人が信濃駿河を眺める気分かも知れない。

武田領と今川領は違うし、方言も違うが、引っ越してもストレスはない。

 

今も昔も、欧州はバラバラに分かれていて、何度も何度も戦争で殺し合った。国境線は動き、国が滅び、分裂し、また生まれた。

欧州の国同士の付き合いも複雑だ。

日韓なんて、基本的に日韓両国の話である。大きな話でも、北朝鮮と中国とアメリカがからむ程度の単純な話だ。台湾もフィリピンも基本的に関係ない。

ベラルーシには、両国関係というモノは基本的にないかもしれない。常に、どんな問題でも、最低でも、ロシア、ポーランドウクライナリトアニア、ドイツあたりがデフォルトで利害関係者として登場する。

 

欧州の外交はコストもストレスも時間もかかる。しかし、選択肢もたくさんある。

 

日本人にEUはない。かわりに13億人の中国がある(笑)。

欧州の「しんどさ」とは、違う意味で、日本もかなり「しんどい」ポジションである。

 

だって日本人には、いざという時の「亡命先」が無いんだから。