「仁義なき戦い」もずいぶん減った。
菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫、山城新伍、渡瀬恒彦、田中邦衛、成田三樹夫、丹波哲郎、金子信雄、宍戸錠、小池朝雄、夏八木勲、室田日出男、天津敏、遠藤辰雄、加藤武、曽根晴美、小松方正、川地民夫、名和宏、山本麟一、川谷拓三、志賀勝、福本清二、野口貴史、織本順吉、木村俊恵、林彰太郎、阿波地大輔、西田良、そして、千葉真一。
残るは、小林旭、北大路欣也、梶芽衣子、前田吟、小林稔侍、伊吹吾郎、黒沢年雄、片桐竜次、岩尾正隆、池玲子、八名信夫、くらいか。
書き忘れ、ご容赦。
アキラと東映城の若様はデカいな。
アキラが旅立てば、日活は完全に歴史の彼方か。
コロナで入院の千葉真一さん死去、82歳…JAC設立でアクション俳優育成にも尽力 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン
2021/08/20
日本のアクション俳優の草分けとして映画やテレビドラマで活躍した俳優の千葉真一(ちば・しんいち、本名・前田禎穂=まえだ・さだほ)さんが19日、肺炎で死去した。82歳だった。
所属事務所によると、千葉さんは、新型コロナウイルスに感染して8日から千葉県内の病院に入院していたが、肺炎が悪化して酸素吸入を続けていた。
福岡市出身。日本体育大で学んだ。1959年、東映ニューフェイスに合格した。特撮作品「新 七色仮面」に出演。その後、ドラマ「キイハンター」や「服部半蔵 影の軍団」で人気を集めた。映画「仁義なき戦い 広島死闘篇」「激突!殺人拳」「柳生一族の陰謀」「戦国自衛隊」「魔界転生」などに出演し、ダイナミックで野性味あふれる演技を見せた。90年「リメインズ 美しき勇者たち」では監督も務めた。海外でも「サニー・チバ」として人気を博し、米映画「キル・ビル」に出演した。
アクション俳優やスタントマンの育成にも尽力し、ジャパンアクションクラブ(JAC)を設立。真田広之さん、志穂美悦子さんらを輩出した。
2017年に死去した女優の野際陽子さんは元妻。娘の真瀬樹里さんも女優。再婚後に生まれた息子の 新田真剣佑あらたまっけんゆう さん、 眞栄田郷敦まえだごうどん さんも俳優として活躍している。
千葉真一は、東映実録路線、東映空手アクション、テレビ時代劇、3つの分野の最後の大御所だった、彼の死で、この3分野が歴史になった。
そして、この3分野こそ、タランティーノみたいな、欧米にはないテイストの70年代日本B級文化好きの変わったガイジン(笑)の好物であり、ソニー千葉こそ「エキゾティック・ジャパン」のアイコンだった。
私は、普通に「時代遅れの東映ボンクラ小僧」なだけで、特に千葉ファンというわけではない。私なんかより凄い千葉フリークはたくさんいるだろう。
そんな「千葉シロウト」一般人(笑)である私の、千葉映画に関する雑感を。
以下は、名作ランキングではない。傑作・凡作・駄作を含む。ただ、記憶に残る映画をランダムに。
※評価は、
映画としての価値「映画」
千葉としての価値「千葉」
その他(政治、LGBT、など)
で分かれる。
映画としてアレだが(笑)、千葉真一として最高、という作品も多い。
東映「日本暗殺秘録」(1969年) 主演
映画★★ 千葉★★ 政治★★★★★
70年代東映実録路線「前夜」の作品。
映画として「どうなんだ?」という部分はあるが、千恵蔵、鶴田、若山、高倉、文太、純子、里見、待田、天津、と、時代劇&任侠・東映オールスター映画としての価値がある。
当時の千葉はまだまだの存在だった。それがこれだけスゴイ出場メンバーの中、主演というのは凄いことである。
カルト映画「江戸川乱歩全集恐怖奇形人間」の吉田輝雄も出ている。
東映では珍しい、田宮二郎の出演も貴重だ。東映に縁が無かったのは、少々残念である。東映田宮作品はもっと見たかった。
この映画、当時の現実とシンクロしていた。
1969年10月 東映・日本暗殺秘録
1972年1月 連合赤軍事件。
銀幕の中で戦前テロリスト映画を上映している前後、映画館の外で、左翼も右翼も戦後史に残るテロ事件を引き起こしていた。
例えるなら、オウム真理教事件の最中に宗教映画、東日本大震災の前後に災害パニック映画、を作ったようなもんである。今なら、公開延期だろう。
映画のメインは、1932年の血盟団事件。血盟団は日蓮主義に基づく愛国主義団体だった。
戦前、太平洋戦争前夜は、「法華経の時代」だったのである。
★広宣流布(笑)★映画 #人間革命 (1973) #続・人間革命 (1976)~ #創価学会 #公明党 #日蓮正宗 #日蓮 #法華経 - 在日琉球人の王政復古日記
「日本暗殺秘録」でも、千葉真一と片岡千恵蔵が南無妙法蓮華経と唱題するシーンが出て来る。
唱題シーンが印象的な映画と言えば、
・大映「日蓮と蒙古大襲来」(1958年) 長谷川一夫(日蓮)
・東映「日本暗殺秘録」(1969年) 千葉真一(小沼正)、片岡千恵蔵(井上日召)
・東宝「人間革命」(1973年)「続・人間革命」(1976年) 丹波哲郎(戸田城聖)、あおい輝彦(池田大作)
役者も、長谷川一夫、片岡千恵蔵、丹波哲郎、萬屋錦之介、文句なしの大御所総出演である。
阿弥陀信仰は仏教スレスレで、ホントは仏教じゃない部分がある。
どっちも、真面目に考えないといけない宗派だ。
東映「仁義なき戦い 広島死闘篇」(1973年) 助演
映画★★★★★ 千葉★★★★★ 政治★★★★★
映画としても、千葉としても、やはりあらゆる意味で、「仁義」が最高傑作だろう。
私は第3作「代理戦争」派だが、その次が第2作「広島死闘篇」だ。
政治的にも「靖国映画」「リバタリアン映画」として、重要作品である。
《靖国映画列伝》東映「仁義なき戦い広島死闘編」(1973年)~飼い犬・山中VS野良犬・大友 - 在日琉球人の王政復古日記
《リバタリアン映画列伝》東映「仁義なき戦い広島死闘編」(1973年)~「美味いもん食うて、マブいスケ抱くために、生まれてきとるんじゃないの」 - 在日琉球人の王政復古日記
#仁義なき戦い はコメディ映画~ #藤純子 (富司純子) #高倉健 #菅原文太 VS #寺島しのぶ #岡田准一 #松坂桃李 #役所広司 - 在日琉球人の王政復古日記
東映「激突! 殺人拳」(1974年) 主演
映画- 千葉★★★★★
東映「直撃! 地獄拳」(1974年) 主演
映画- 千葉★★★★★
この2作は、千葉真一空手アクション時代の代表作。
映画としては脚本もセットも演技も演出もハッキリ問題外なんだが(笑)、無茶苦茶なのに千葉真一テイストは大爆発である。
全てを丁寧に作った映画は、よっぽどな事がない限り、「それなりの映画」になる。
でも、あらゆる意味で「やっつけ仕事」「いい加減」でも、スタアのオーラで、何とかなってしまう映画もある。
「良い映画」「面白い映画」って、いったい何なんだろう?、という疑問がぬぐえない時がある。
実録路線の後、東映は「ピンキーバイオレンス」と「空手アクション」で「最後の悪あがき時代」を迎える。そして「極妻」で東映は終わる。
オールスター映画。
「血肉化した左翼思想」「ミスター左翼」山本圭ファンはマスト。
千葉は脂っこい新幹線運転手(まったく、そう見えない)。
東映「沖縄やくざ戦争」(1976年) 助演
映画★ 千葉★★ 政治★★★
「本土復帰映画」。琉球人としては必見だが、映画としては大したことはない。
東映「トラック野郎・度胸一番星」(1977年) 助演
映画★★★ 千葉★
東映版「寅さん映画」。
東映・鈴木則文の菅原文太は、通りすがりの女性を見るだけで勃起する。
9条護憲社会主義・山田洋次と、アウトロー&アナキズムの鈴木則文の、思想対決である。
千葉は客演でテイストは弱め。
松竹「男はつらいよ」渥美清/車寅次郎VS東映「トラック野郎」菅原文太/星桃次郎VS東映「昭和残侠伝」高倉健/花田秀次郎。 - 在日琉球人の王政復古日記
ラブゲーム東宝「森繁久彌社長、加山雄三若大将、植木等無責任」VS純愛松竹「渥美清寅さん」VS売春東映「菅原文太トラック野郎」 - 在日琉球人の王政復古日記
東映「柳生一族の陰謀」(1978年) 助演
映画★★★ 千葉★★★★
角川「魔界転生」(1981年) 主演
映画★★★ 千葉★★★★
久々の東映時代劇映画2本。
東映時代劇の幕引きが、市川右太衛門ジュニア・北大路欣也でも、近衛十四郎ジュニア・松方弘樹でもなく、千葉だった、というのも、東映時代劇の歴史から見れば、意外だった。
松竹「闇の狩人」(1979年) 助演
映画★★ 千葉★
出来は佳作。千葉テイストも低い。原田芳雄映画というべきか。
角川「蘇える金狼」(1979年) 助演
映画★★★ 千葉★ LGBT★★(笑)
角川「戦国自衛隊」(1979年) 主演
映画★★ 千葉★★★ LGBT★★★★★(笑)
この角川2作の千葉、特に「戦国自衛隊」はLGBT度クライマックスである。
松竹「必殺4 恨みはらします」(1987年) 助演
映画★★★ 千葉★
「必殺映画」最高傑作。
そして、相楽ハル子が無駄に(笑)エロティック。
東映「将軍家光の乱心 激突」(1989年) 助演
映画- 千葉★
松竹「いつかギラギラする日」(1992年) 助演
映画★★ 千葉-
バブル時代のファッションって、70年代よりも古くて、ダサい。
バブルって、いったい、何だったんだろう?
映画として評価されてないが、カーアクションは頑張っている。
他人には勧めないが、個人的には捨てきれない映画。
千葉とは関係ない余談になるが、
実は、題名「いつかギラギラする日」というのは、この映画のために用意されたものではなかった。
広島やくざ抗争を基にした「仁義なき戦い」が大当たりした東映は、鶴田&高倉の任侠映画から、実録路線に舵を切る。
山口組や九州やくざもどんどん映画にしていったが、映画が当たれば何でもアリの東映らしく、実録なら題材は何でもイイということで、「実録・日本共産党」という企画が上がった。
この戦前非合法時代の共産党を描く映画の題名が「いつかギラギラする日」の予定だったのである。
当然、共産党支持者の動員を当て込んだ。代々木とも交渉したが、馬鹿な代々木は「共産党の暗部を描くな」とクレームを付けて企画がとん挫する。
日本共産党というのは、とことん「お勉強のできるキレイゴト馬鹿集団」だ。
もしも、広島共政会が「親分を悪く描くな」と、「仁義」の企画を潰していたら、日本のアウトロー・カルチャーは、広島のイメージも、大きく変わっていただろう。
「仁義」以降、「原爆とカープの広島」から、「原爆・カープ・仁義の広島」に変わった。日本中のボンクラ小僧は広島を聖地としてリスペクトしたのだ。まあ、そのリスペクトが名誉だったのか?不名誉だったのか?は微妙だが(笑)、大当たりした映画というモノは、サブカルチャーすら変えるのだ。
もしも、日本共産党が「光も闇も全部描いてください」と東映に内容をマル投げしていたら、菅原文太が戦前共産党員を演じていたら、70年代以降の日本共産党のイメージはガラリと変わっただろう。どれだけ悪く描かれようが、広島のように、「ワルカッコイイ」と共産党ファンが増えたことは間違いない。議席数だって増えたはずだ。
これ以上ないチャンスを、代々木中央の優等生馬鹿が潰したのである。反体制のクセに、庶民のアウトロー・マインドを理解していなかったら、天下なんか取れるわけがない。
その後、東映は、共産党の敵(笑)・部落解放同盟に声をかける。キップ(映画チケット)が売れるなら、何でもアリである。
「夜明けの旗 松本治一郎伝」(1976年)、「狭山裁判」(1976年)が公開されるが、解同は同盟員を動員して前売り券100万枚を売り切ったという。解同は代々木よりはるかに物分かりが良かった。
しかし東映は「解同だけじゃ一般客に響かない」と「やくざ残酷秘録 片腕切断」「蛇と女奴隷」「バカ政ホラ政トッパ政」を同時上映した。
部落解放運動とエログロC級映画を同時上映する。これが東映である(笑)。
さらに、東映岡田社長は解同に「もっとキップ買え」と追加購入を要求したという。おそらく、部落解放同盟相手に押し売りをかけたのは、日本史上、東映だけだろう(笑)。
カネしか興味がない東映の前には、ヤクザも、左翼も、被差別部落も、関係ない。これが真の意味で資本主義であり、差別のない社会だ。
アメリカ「キル・ビル Vol.1」(2003年) 助演
映画★★★★★ 千葉★★ 政治-
「アメリカ人から見た、カッコイイ・ジャパン」
「カッコイイ」以外の形容詞が思いつかない。
タランティーノは全作そうだが、音楽が素晴らし過ぎる。
映画として優れた傑作だし、日本B級カルチャー集大成として歴史的作品。
「戦後日本」を記録として残してくれたタランティーノに感謝するしかない。
日本政府は勲章を贈呈するべきである。
昭和最後の銀幕スタア a.k.a. Sonny Chiba
令和に、コロナで、眠る。ご冥福をお祈りする。