在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

21世紀の中世異端審問を生き抜いた不屈の科学者・アンソニー・ファウチ博士に感謝と賞賛を送る。

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2020年トランプ政権、ファウチ博士。

 

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2021年バイデン政権、ファウチ博士。

 

同じ人間の表情とは思えない(笑)。

トランプ政権の時は冷酷なイメージだったが、やっぱり根はイタリア系ニューヨーカーだった。

トランプ政権がもの凄いストレスだったのだろう。

 

ファウチ所長一家に殺害の脅迫、警備対策迫られる 米 - CNN.co.jp

2020.08.06
(CNN) 米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は6日までに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け公衆衛生上の対策を提言したことで自らや家族に殺害の脅迫が届いたことを明かし、ストレスを覚えたとの心境を吐露した。
ハーバード大学公衆衛生大学院のフォーラムで述べた。殺害の脅迫は娘たちも悩ませたとし、警備上の対策を講じることを迫られたとも述べた。
脅迫を受けるとは私の途方もない夢の中でも想像出来なかった」と指摘。「純粋に公衆衛生上の原則である事柄に反対する人間が、私やあなたが科学の用語を交えた発言を気に入らないからとの理由で脅迫行為に実際に及ぶことは想像出来なかった」とも続けた。
同所長はトランプ政権の新型コロナウイルス対策チームの中心人物の1人。
ファウチ所長はまた、米国内には「反科学」の風潮が一定程度あるとの見方も表明。CNN記者に対し、一部の者が抱くこの感情は権威や権威への不信感とおおむね関係があるとも説明。
科学者は時には権威ある人物とみなされているとし、科学を信頼しない人々は権威に抵抗することは政府にさからうことだし、科学に抵抗することも同様だと考えていると述べた。
その上で科学者は人々との接触、社会への関与や証拠に基づいた政策がなぜ重要であるかの理解でより率直な対応を示すことが必要だと強調した。

 

まさか、21世紀の科学者が、よりにもよって世界覇権国で、中世みたいな異端審問を受けることになるとは。

アメリカとアフガニスタンでどこが違うというのだろう?

 

ファウチ氏、科学に基づいて話せる「解放感」告白 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

2021年1月22日
【1月22日 AFP】米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長(80)は21日、ジョー・バイデン(Joe Biden)新政権の首席医療顧問として臨んだ初の記者会見で、反発を恐れず科学に集中できることへの「解放感」を口にした。
 ホワイトハウス(White House)の記者団からドナルド・トランプDonald Trump)前政権との違いについて聞かれたファウチ氏は、少し恥ずかしそうな表情になり、第一印象に基づいた「推定」が可能かは分からないと前置きをした上で、次のように答えた。「ただ、ほんの15分ほど前、大統領と一緒にいた時に一つ、非常に明白だったことがある。それは、私たちがこれから行うことの一つは、完全に透明かつオープンで正直でいることだという点だ
もし物事がうまくいかなければ、誰かを非難するのではなく問題を修正し、あらゆることを科学と根拠に基づいて行うようにすることだ
 ファウチ氏はさらに「過去を蒸し返したくはないが、ヒドロキシクロロキンなどについて言われていたことは(中略)科学的な事実に基づいておらず、本当に不快だった」と発言。大統領に反論しなければならないのは喜ばしいことではなかったとして、「何の反発も招かずに何かを口にできるとは、とうてい思えなかった」と述べた。
 そして、「ここに来て自分の知っていることを話せること、どんな根拠があるのか、科学の何たるかを説明でき、科学に語らせるだけでいいと知っているということ。それには、何だか解放感を覚える」と語った。(c)AFP

 

まるで19世紀ヨーロッパの発言である。アメリカは2世紀先祖返りしていた。

真っ当だけど、当たり前のことを言い続けないといけなかった3年間。

 

世界中のマトモな人たちは、ファウチ博士がマトモであることを知っている。彼らは、マトモであるがゆえに、マトモであることを当たり前だと思って、マトモなファウチ博士に特別な感謝も賞賛もしない。

 

しかし、アメリカには、日本にも、マトモでない人たちがたくさんいて、中世異端審問の世界に生きている。彼らはマトモなファウチ博士を許さない。狂気と憎悪をぶつけ続ける。

 

ファウチ博士への感謝と賞賛は乏しく、狂気と憎悪はパンデミックのように追いかけてくる。

 

一例として、英語で「Teresa Fauci」、日本語で「ファウチ テレサ」で、Twitterを検索していただければ、ファウチ博士が戦ってきた「コロナ以外のもう一つの伝染病」が検出される。

 

https://miro.medium.com/max/720/0*7fRH6HlzX1IFt5h4

 

ファウチ博士が、マザー・テレサの息子らしい。

1940年ニューヨーク・ブルックリン生れのイタリア系アメリカ人が、

1910年オスマン帝国コソボ生れのアルバニアマケドニア人の息子なのである。

1940年のテレサは、英領インド・カルカッタで女学校の教師だ。どうやって、第二次世界大戦真っ最中のニューヨークで出産できたのか? まあ、そんな事実など気にもしてない人たちだが。

 

アメリカの反ワクチン運動の背景にはキリスト教福音派がある。福音派プロテスタントなんで、反カトリックである。

Qアノン陰謀論で「バチカン戒厳令が布告され、ローマ法王が人身売買で逮捕され、グアンタナモ刑務所に送られた」なんてのもあった。

マザー・テレサへの憎悪も反カトリックの流れ弾だろう。

そして、カトリックプロテスタントの区別もつかない日本人陰謀論者が、ワケも判らず、英語を翻訳して、カトリックを攻撃していた。

 

ファウチ博士は「こういう伝染病」も相手にしなければならなかった。

こっちの「患者」はアサルト・ライフルを購入できる。致死率はコロナよりも高い。

 

コロナと「もう一つのウイルス」の2つと戦った81歳の科学者が、重責を果たして、ホワイトハウスを去る。

 

ファウチ氏、ホワイトハウスで最後の会見 ワクチン接種呼びかけ | ロイター

2022年11月23日
[ワシントン 22日 ロイター] - 米バイデン政権の新型コロナウイルス感染対策を率い、12月に退任するファウチ首席医療顧問(81)は22日、ホワイトハウスで行った最後の記者会見でも、国民に対しコロナワクチン接種を受けるよう強く推奨した。
ファウチ氏は世界中で130億回接種されたコロナワクチンは「明らかに安全であることを示す広範な情報がある」と指摘。「公衆衛生とは関係なく、意見の相違やイデオロギーの違いといった理由でワクチンを接種しない人々を見ると、医師として心が痛む。極右の共和党員であろうと、極左民主党員であろうと、私には何の違いもない。コロナで入院したり、死亡する人を見たくないのだ」と語った。
ファウチ氏はレーガン政権以来7人の大統領の下、エイズウイルス(HIV)やエボラ出血熱、ジカ熱などの感染症対策に尽力。1984年から米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長を務め、20年からは米政権の「コロナ対策の顔」として手腕を振るった。

 

科学と真実に命を賭けた、偉大なるプロフェショナルである。

うっかり(笑)、人間の理性と勇気を信じたくなった。

 

世界中のマトモな人たちは、当たり前が通用しない狂気の暴風雨を前に、平穏な沈黙に逃げず、正気の啓蒙を選んだ、この不屈の科学者への感謝と賞賛が足りない。

われわれの目の前には、当たり前を当たり前に果たした、偉大な常識人がいる。

 

科学も解らぬ不勉強の愚者ながら、太平洋の向こう側から、感謝と賞賛を述べさせていただく。お疲れさまでした。