風邪を早めに治すための5つのポイントは
「睡眠」
「栄養」
「水分」
「保温」
「いわゆるカゼ薬を飲まない」
である。
誤解のないよう重ねて書けば、カゼ薬を「飲む」ではない。「飲まない」ことが風邪を早めに治す。
ちなみに、抗生物質も細菌相手なので、細菌ではない風邪ウィルスには効果がない。
実はウイルスに有効な薬はない? なぜ医師はかぜ薬を飲まないのか - ライブドアニュース
2015年9月15日
なぜ医者はかぜ薬を飲まないのか、筆者が考察している
そもそも、かぜの原因であるウィルスを死滅させる薬はないという
さらに、抗生物質を服用することで治りが悪くなる可能性すらあるとのこと
普通の病気ならば、治すのは「安静」と「治療」と言うところである。
しかし、風邪の場合は「睡眠・栄養・水分・保温」つまり「安静」に該当する部分が治癒の決め手とは言えても、カゼ薬だの医者の施術だの「治療」に該当する部分は治癒に役に立たない。
なぜなら、先生も書いているように、いわゆる「カゼ薬」は、風邪ウイルスを死滅させる、つまり風邪という病気を直接根治させる能力は無く、症状を緩和する、つまり「気分を良くさせる」ことしか出来ない。
単純に書けば、カゼ薬は風邪を治せない。
結局風邪を治すのは、ヒトの体が作る「抗体」である。抗体が風邪ウイルスを食い殺す。
ただし風邪ウイルスは、1種類ではなく何種類もあるし、ウイルスは常に変化(進化)を繰り返して新しくなる。
ヒト側の抗体もウイルスごとのオーダーメイドである。そのウイルスに最適な抗体を用意する必要がある。
ヒト側も普段から全てのウイルスに対抗できる抗体を常備してるわけではないし、最初から未知のウイルスに対応できるわけじゃないので、抗体を作るには時間が掛かる。
そのヒマに風邪ウイルスはウジャウジャ増えて、体を侵略していく。
そのため「ヒト防衛軍」の初期戦略は、抗体ができるまでの間、ウイルスの増殖を抑える、または物理的に対外へ追い出す、要は「時間稼ぎ」となる。
風邪の症状である、発熱、痛み、悪寒、くしゃみ、鼻づまり、痰、嘔吐、下痢、などは、ウイルス側の攻撃の結果というより、ヒト側の対ウイルス防衛の結果なのだ。
発熱は、ウイルスが熱に弱い、ヒトの方がウイルスより高温に耐えられる、から発生する。
ウイルスが侵入すると、ヒトの体はウイルスが嫌がるレベルまで体温を上げる。それによってヒトの体の中でウイルスは繁殖しにくくなる。
もちろん、耐えられるといってもヒトにとっては本来の快適な温度より高いわけで、悪寒や痛みや疲労を感じる。
悪寒は「ヒト防衛軍参謀本部」の有事対応として体内目標温度が上げたために、その温度に達するまで体の末端が「あ、温度が低い」とカン違いして寒く感じてるわけだ。
くしゃみや鼻水、嘔吐や下痢は、ウイルスと物理的に対外へ追い出す反応だ。
鼻水や下痢は、ヒト単体にはメリットがあるが、ウイルス側もメリットがある。
鼻水や痰には大量のウイルスが混じってるワケで、別のヒトへ感染するチャンスがそれだけ増える。トータルでウイルスが増殖すればウイルス側にとってはOKなのである。
ヒト単体のメリットは、ヒト種族全体にはデメリットになることもある。
そうやって時間を稼いでいるうちに、抗体を完成させて、本格的にウイルスを攻撃する。
ウイルスが撃退できれば、「ヒト防衛軍参謀本部」は体内目標温度を平常に戻す。それまで上げていた体温は高すぎることになり、急いで冷却する必要があるので一気に大量に発汗する。つまり汗をかくのは風邪との戦いではなく、戦いが終わったことを示す。
悪寒が無くなり、鼻水も下痢も収まる。
つまり風邪の発熱・悪寒・痛みは、風邪ウイルスの攻撃というより、ヒト防衛軍の防衛活動なわけだ。
ウイルス軍の侵略に対し、自分の不愉快と引き換えに、自分の体を痛めつけて、ウイルスの侵攻を阻止する。
要は、第2次世界大戦、ドイツ軍の侵攻に対して、有効な反撃ができるまで、自国の領土を焼き払って対抗するロシア軍の「焦土作戦」なわけだ。
ドイツの戦車を打ち破るロシアの戦車を量産できるまで、モスクワに迫るドイツ軍を足止めする、そのためなら国境近くの町や村は自分たちで焼き払ってしまう、ドイツ軍への嫌がらせのためには国民が多少犠牲になってもしょうがない。
さて、こんな事態に登場するカゼ薬とは何か? 焦土作戦を止めろという停戦交渉・和平工作である。
焦土作戦は大量の国民が苦しくなるからと、国民の苦しみを和らげるため、参謀本部の命令する体温上昇を無理やり下げさせる。鼻水や下痢を止める。
となると、ヒトも気分が良くなるが、ウイルス軍としても大いに助かることになる。温度が低ければ活動しやすいし、鼻水と一緒に対外に追い出されなくなる。
痛みや悪寒が消えれば、ヒトは活動的になり、対ウイルス防衛戦用の体力を対外活動で消耗する。
焦土作戦をやめて国民の生活が一時的に助かっても、ドイツ軍が撤退したわけではない。また侵略が始まる。戦争は続く。
カゼ薬で気分が良くなっても、ウイルスが消えたわけではないので、カゼ薬をやめれば、また、発熱や悪寒がぶり返す。風邪が長引くことになる。
もちろん、明日の仕事のため、カゼ薬で一時的に症状を止めざるを得ないことはあるだろう。その時はカゼ薬も、治癒ではなく、仕事にとっては、有効だ。
しかし、たとえ不快でもとにかく風邪を完治したいのなら、カゼ薬は逆効果になりかねない。
ただし厄介なのは、風邪みたいだけど、風邪ではない病気だ。
発熱・悪寒・下痢など、風邪によく似た症状だけど、ウイルスが余りに強力で、ヒト防衛軍単独では抗体が間に合わない、作る前に生命機能が破壊されかねない、つまり自力で反撃できない病気もある。インフルエンザやその他の伝染病だ。
この場合は、ヒトの最終防衛ライン、たとえば脳みそなどが破壊されかねない高温じゃないと対抗できないみたいな、特攻・玉砕・自決・竹やり突撃の本土決戦で、国ごと全体丸焼けの大日本帝国になりかねないので、この場合はお医者さんという援軍が必要になる。
言い方を変えれば、風邪というのは、骨折や癌みたいな病気の名前というより、症状の名前といったほうが正しい。
自前で治せる風邪の症状を「風邪」と呼び、
自前で治せない風邪の症状は風邪じゃない、
と言うことになるのかもしれない。