在日琉球人の王政復古日記

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《慰安婦映画列伝》東映「いれずみ突撃隊」(1964)~朝鮮ピー(新・仁義なき戦い)~満鉄小唄(日本暴力列島・京阪神殺しの軍団)

あたしたちはね、死んだって、靖国神社なんか祀られやしないのよ!

 


いれずみ突撃隊 DVD発売予告 - YouTube

 

《慰安婦映画列伝》東宝「血と砂」(1965)~戦場の大和撫子・お春さん(金春芳)~「ごめんなさい」ではなく「ありがとうございました」を。 - 在日琉球人の王政復古日記

 

東宝のお次は、東映。 

1964年の東映いれずみ突撃隊」は、1965年の東宝血と砂」と非常によく似た構造を持っている。ソックリといってもいい。

 

題名   血と砂    いれずみ突撃隊     
会社   東宝     東映
製作   1965年    1664年
監督   岡本喜八   石井輝男
主演   三船敏郎   高倉健
慰安婦  団令子    朝丘雪路 
童貞   少年兵    津川雅彦
三枚目  伊藤雄之助  砂塚秀夫
悪役   名古屋章   安部徹
上官   仲代達矢   杉浦直樹

 

主人公(三船、健さん)は、上官を上官とも思わない暴れ者。でも男気満点で同輩や部下には慕われる。
ヒロイン(団、朝丘)も、主人公と恋仲の慰安婦ということで同じ。
どっちも、純情で童貞の若い部下(少年兵、津川)がいる。

主人公と仲が良いコメディリリーフ(伊藤、砂塚)がいて、

イジメが好きな卑怯な悪党(名古屋、安部)がいて、

主人公に味方する有能な上官(仲代、杉浦)がいる。

 

ただ、人間関係の「湿気」が全然違う。ドライな東宝、ウェットな東映である。

 

東宝の三船は、前に書いたように、恋人の団令子に少年兵の筆下ろしを平気で頼むくらい、女性に対して淡白。独占欲もジェラシーもない。 
少年兵も、慰安婦を尊敬はしているが、恋愛感情は全然ない。

東映の健さんも、部下の童貞・津川になんとかセックスを経験させてやろうと思っているが、朝丘への恋愛感情が強くて、うまく伝えられない。 

また津川も、朝丘に対して、性欲というより、純愛に近い感情を持っている。

 

男同士の関係も、

東宝は「仕事仲間」的なクリアな友情だが、

東映は「兄貴と舎弟」「義兄弟」という、擬似血族的関係である。

 

「日本のいちばん長い日」第1作の岡本が、戦場にジャズ=アメリカを持ち込んだのに対して、 

江戸川乱歩全集・恐怖奇形人間」(笑)の石井は、戦場にイレズミ=ニッポンを持ち込む。

 

まさに「ドライ&モダン東宝」VS「ウェット&アウトロー東映」である。

 

これは、この2つの映画に限らず、東宝東映のほとんどの作品に共通の特徴だ。

「資本主義・ビジネスライクな東宝」VS「反資本主義・義理人情の東映」。

「新しいモノが正しい東宝」VS「古いモノが正しい東映」。

 

東宝映画「大学の若大将(1961)」の10年戦争(その2)~加山雄三VS渥美清&高倉健~太平洋戦争再び - 在日琉球人の王政復古日記

 

ノーブルな東宝は、「朝鮮」というヤヤコシイ(笑)モノに手を出さないが、

出たとこ勝負の東映は、「朝鮮人売春婦」を題材に取り上げることも躊躇しなかった。

 

「いれずみ突撃隊」に出てくる慰安婦朝鮮人ではない(ようだが)、

戦後の話だが、「新・仁義なき戦い」では、菅原文太が、情婦の「東映マリリン・モンロー池玲子(あ、同じレイコでも、東宝の団令子とはかなり違うよ(笑))に、「この朝鮮ピーが!」と地上波放送完全不可なセリフをぶっ放しております。

 

東映が、日活のスーパースタア・小林旭主演で、あの柳川組を描いた「日本暴力列島・京阪神殺しの軍団」では、朝鮮人ヤクザの梅宮辰夫(梅宮アンナのお父さん)が「満鉄小唄」を口ずさむ、という荒業を繰り出す。

満鉄小唄」は、戦前の満州にいた朝鮮人娼婦の歌だ。

 


慰安婦の歌 ver.1.2 - YouTube

 

ただ、「いれずみ突撃隊」は、正統派・健さんの映画ですから、文太たちのように無茶苦茶はできません。ちょっと残念。

印象的なシーンは、

健さんの部隊に外出許可が出て、兵隊が全員ダッシュで慰安所に突っ走る。すると稼ぎ時とばかり慰安婦たちも向かってくる兵隊に手を振って歓声を上げるシーン。

終盤、八路軍に包囲されて脱出不可能になった健さん部隊のために、血が出るような思いで溜め込んだ軍票を燃やして雑炊を作ってやる慰安婦のシーン。

地獄のような戦場で暮らしている同士、二重三重の差別はあれど、金を稼ぐ商売ではあれど、それだけでは割り切れない絆は確かにあるわけで、フィクションではあれど、こういう映画を見ると、慰安婦だった方々を口汚く罵る気分には全然なれません。

 

(まとめ)昭和銀幕絵巻★慰安婦映画列伝 - 在日琉球人の王政復古日記