リベラル政治映画「STAR WARS / スター・ウォーズ」(その1)~白人男性だらけの銀河帝国。 - 在日琉球人の王政復古日記
リベラル政治映画「STAR WARS / スター・ウォーズ」(その2)~女王はダライ・ラマ+アウンサンスーチー。 - 在日琉球人の王政復古日記
リベラル政治映画「STAR WARS / スター・ウォーズ」(その3)~「シス=ネオコン」VS「ジェダイ=リベラル」の内ゲバ。 - 在日琉球人の王政復古日記
の続き。
3作目エピソード6と4作目エピソード1の政治構造はほとんど同じである。
エピソード6は、「悪の銀河帝国」対「正義のジェダイ&原住民のカワイイ小熊さん(イウォーク)」。
エピソード1は、「悪の通商連合」対「正義のジェダイ&原住民のお人よしカエルさん(グンガン)」。
まったく同じだ。
同じパターンを繰り返すということは、この部分が意識的か無意識的かは別にして、ルーカスの、いやアメリカの、いや欧米白人の世界認識のパターンなのだろう。
ここに、保守やリベラルの対立を超えて、産業革命いや大航海時代以降のヨーロッパ世界覇権の「世界へのまなざし・見方・考え方」を露出している。
日本人のような立場の民族にとって重要なのは、そもそも、小熊さん(イウォーク)やカエルさん(グンガン)は、いったい何のために、何が目的で、銀河帝国や通商連合と戦ったのか?である。
よくよく、冷静に、もう一度思い返してみよう。
イウォークが銀河帝国と戦う理由も、グンガンが通商連合と戦う理由も、実は【全く無い】のである。
・・・銀河のどこか、とある惑星Xには、原住民(イウォーク/グンガン)が住んでいる。
国際政治勢力Aは、惑星Xで手前勝手な軍事作戦をやりだす。
確かに原住民たちを完全に無視してる国際政治勢力Aは横暴だが、実は直接的には原住民に何の危害も加えていない。
銀河帝国は第2デススターの防御システムの設置が目的だし、通商連合はアミダラ女王国への軍事侵略が目的だ。
第2デススターは、銀河の反乱軍対策であって、イウォーク侵略のためではないし、アミダラ女王国侵略は、銀河共和国への政治工作であって、クンガン侵略のためではない。
どちらも原住民(イウォーク/グンガン)を殺したり支配したりする目的ではない。
つまり、国際政治勢力A(銀河帝国/通商連合)の目的・視線は、はるか銀河世界(国際社会)へ向いてるのであって、原住民(イウォーク/グンガン)なんかどうでもいいから無視している。
国際政治勢力Aの政治目標と、原住民の日常生活は、何の問題もなく両立する。両者は平和共存可能なわけだ。
そこへ後から、国際政治勢力A(銀河帝国/通商連合)と敵対する、国際政治勢力B(反乱軍ジェダイ/共和国ジェダイ)がやってくる。
国際政治勢力Aは自前の軍事力(ストームトルーパー/ドロイド)を保有しているが、国際政治勢力Bは自前の軍事力が不足してる。
そこでなんと、自分勝手なことに、近所迷惑なことに、卑怯なことに(笑)、国際政治勢力Bは、原住民(イウォーク/グンガン)を、自分たちの軍事力として利用しようと画策するのだ。
AとBの対立は銀河系(惑星Xのソト)の話であり、惑星Xで自給自足の生活を送る原住民にとっては何の関係もない。どっちが正義も悪もない。Bの味方をする理由もないし、Aと戦争する理由もない。
だから原住民が自発的にB派になるわけがないので、Bはほとんど詐欺同然のイカサマで原住民をだまして洗脳する(笑)。
イウォークへは、金色に輝くC-3POを神様だと思わせて、宗教的権威というより、脅迫で自軍に引き入れる。グンガンたちへは、なんとアミダラ女王のイロ仕掛けだ(笑)。
正義の主人公のはずの国際政治勢力Bは、自分達の目的のためには、どんな下劣で卑怯な手段も平気なのである。目的が正義ならば手段は悪でも気にしない。
これは世界史の焼き直しなのだ。
インディアンに酒を売りつけアル中にして、土地を奪ったアメリカ開拓民も同じ。
アフリカの酋長をガラス玉で騙して、象牙や奴隷を買ったイギリス商人も同じ。
黒船の大砲で脅かして、不平等条約を共用したペリー提督も同じ。
チョコレートと脱脂粉乳で、民主主義を押し売りしたマッカーサーも同じ。
戦後日本人を社会主義や反戦思想で洗脳して、反米闘争に駆り立てたソ連も同じ。
ラテンアメリカあたりで、共産主義者の脅威に対抗するため、土着保守勢力を武装させて、共産主義者どころかインテリ層や貧困層の民主化運動までも弾圧させまくったアメリカのやり方も同じ。
朝鮮半島を併合し、五族協和なんていう銀河共和国っぽいスローガンで満州国を建国した、大日本帝国も同じ。
彼らとジェダイに本質的な違いは何もない。
A=保守の共和党だろうが、B=リベラルな民主党だろうが、銀河系(世界)レベルの知性と教養を持つ政治勢力にとって、惑星(辺境)レベルの知性と教養しかない原住民をだますのは、とてもカンタンなのだ。
それでも、イウォークやグンガンは、銀河系レベルの政治勢力と同盟(実質的には属国)できただけまだマシだった。
銀河レベルの政治勢力にとってまったく利用価値のなかった砂漠の住人「ジャワ」や、銀河系レベルのルールを受け入れず頑固に自分達のライフスタイルを守った「サンドピープル」なんかは、民族皆殺し=ジェノサイド=原爆投下だ(笑)。
イウォークやグンガンは、騙されながらも、操られながらも、血の代償を払いながらも、惑星レベルから銀河系レベルへその地位を向上させたわけだ。
白人から見たマヌケな黒人やおかしな東洋人のデフォルメである人種差別まる出しのキャラ「ジャージャービンクス」なんか、銀河共和国元老院で演説するほど出世した。
彼は世界システムに組み込まれた存在になったわけだ。
それでイウォークやグンガンは本当に《幸せ》になったのか?、世界と無関係に惑星だけのルールで暮らしていた「チョンマゲ時代」のほうが《幸せ》じゃなかったのか?、、、という問いには、
「今が《幸せ》なのだ。というより《世界システムに組み込まれる=幸せ》という考え方・感じ方に啓蒙=洗脳されることが《世界システムに組み込まれる》本来の意味なのだ」と答えるしかない。それが《近代化》である。
もはや、われわれは黒船が来航する前の江戸時代には戻れないのだ。
江戸っ子ジャージャーは「確かにバカにされてるけど、ミーたちは、皆殺しのジャワやサンドピープルよりマシだわな」と舌を出すのである。
そして、さらなる地位向上を目指して、TPPも結ぶし、安保法案も可決する。
ジェダイVSイウォーク/グンガン、
歴代中華帝国vs辺朝貢国、
ヴィクトリア朝イギリスvsムガール帝国インド、
大日本帝国VS李氏朝鮮/尚氏琉球、
アメリカ合衆国VSラテンアメリカ/戦後日本、
すべて「世界VS原住民」という構造であり、
それが近代化・西洋化の意味だ。明治維新・戦後民主化の真実だ。
つい最近まで、自分たちも沼で泳いで泥まみれだったグンガンのくせに、
富国強兵で、まるで自分もジェダイにでも進化したかのようにカン違いして、
まだまだ目覚めていない周辺のイウォークたちやジャワたちに偉そうに対応し、
思い上がった果てに、ついに「本物のジェダイたち」にケンカを売って、
危うくサンドピープルと同じ道をたどりそうになりながら(笑)、
高貴なアミダラ女王(誰だ?)のお陰で九死に一生を得て、
なんとかジャージャーのポジションまで復帰した、
極東の島民にとって、なかなかにビターテイストの映画だ。
優れた映画というのは、常に「政治的」なのである。
リベラル政治映画「STAR WARS / スター・ウォーズ」(その5)~ ジェダイ評議会=連邦最高裁~青いライトセーバーは民主党、赤は共和党。 - 在日琉球人の王政復古日記
に続く。
(まとめ)リベラル政治映画「STAR WARS / スター・ウォーズ」 - 在日琉球人の王政復古日記