※2020/11/22追記※
下記は、2017-07-04に書いたものです。
自分の知識を突き合わせて書きました。オリジナルです。何らかの書籍をまるまる参照したこともありません。日韓左翼の比較なんて読んだこともないし。そもそも韓国語も読めません。
2020/11/22、この記事を見つけて、ビックリしました。
<W解説>「反日」が基盤なのに日本左派と同じ分化過程の韓国左派│韓国政治・外交│wowKora(ワウコリア)
私、パクッてませんよ(汗)! 信じてね。
学生運動出身者を重用、大統領府首席秘書官人事に懸念の声-Chosun online 朝鮮日報
2017/05/12
韓国の野党4党は11日、文在寅(ムン・ジェイン)政権の大統領府(青瓦台)首席秘書官人事をめぐり相次いで反応を示した。ただし、趙顕玉(チョ・ヒョンオク)人事首席については、おおむね「男女平等の観点から評価できる」とした。
保守系野党「自由韓国党」の鄭宇沢(チョン・ウテク)院内代表は11日、かつて国家保安法違反の容疑で逮捕された前歴があるチョ・グク民生首席について「(学生運動出身の)NL(民族解放)系やPD(民衆民主)系が青瓦台に布陣したのではないかという話が出ており、かなり懸念する観点から見ている」と語った。チョ首席はPD系の学生運動出身者、イム・ジョンソク秘書室長はNL系の学生運動出身者だ。同党の鄭濬吉(チョン・ジュンギル)スポークスマンは「社会主義革命運動に加担して逮捕までされたチョ民生首席が『法治』と『原則』を打ち立てられる適任者たり得るかどうか、懸念している」とコメントした。
朴槿恵姐さんはご尊父の代からの保守・右派である。
その姐さんがスキャンダルで倒れて、韓国世論は大きく左傾化し、リベラル・左派の文在寅政権が誕生した。
その政権内部には、リベラルとか中道左派を通り越した、左翼学生運動出身者もいるらしい。朝鮮日報のスタンスは保守なので、そこを警戒・批判している記事である。
左翼、となると、大好物なんで(馬鹿)、興味が沸いてググってみた。
もちろん韓国の左翼運動となるとまるで門外漢だし、なにより韓国語がまったく出来ないし、専門書籍を読んだわけではないので、間違いは多々あると思うが、素人ながらイロイロ書いてみたい。
もし韓国学生運動、韓国左翼思想について詳しい方がいらっしゃれば、ご指摘ご教授をいただければ幸いである。
www.fnn-news.com: 平昌五輪「北」と共催...
2017/06/22
北朝鮮がどう動くかわからない情勢の緊迫化を受けての対応だが、そんな折り、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が、北朝鮮と平昌オリンピックの一部共催を検討している。
2018年2月に開幕する韓国の平昌冬季オリンピック・パラリンピック。
選手村などの建設が急ピッチで進む中、オリンピックの運営そのものをめぐって、仰天プランが浮上した。
それは、北朝鮮との一部共同開催。
20日に平昌を訪れた、韓国の都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相は「平和オリンピックにならなければならない。その核心には、北朝鮮選手団参加がある」と語り、北朝鮮の馬息嶺(マシンニョン)スキー場で、一部競技の開催を検討すると表明した。
文氏、平昌五輪「南北統一チームを」 北朝鮮に呼びかけ:朝日新聞デジタル
2017年6月25日
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は24日、北朝鮮選手団が参加して全羅北道(チョルラプクド)・茂朱(ムジュ)で開かれたテコンドー世界大会の開幕式で演説し、「平昌(ピョンチャン)冬季五輪に北韓(北朝鮮)の選手団が参加するならば、人類の調和と世界平和の推進という五輪の価値を実現するのに大きく貢献できる」と語り、南北統一チームの結成を呼びかけた。
北朝鮮との対話を掲げる文氏は、核ミサイル開発を批判する姿勢を維持しつつも南北交流の本格再開に踏み出した。
トランプ大統領からの反北強硬圧力がある状態で「これ」なんだから、文在寅さんとその支持者はホンキでマジで北朝鮮LOVE(笑)なんだろう。
日本から見ると「なんで、自国にミサイルを撃ち込んでくる相手を信用できるんだ?」と不思議なんだが、文在寅さんの背景には、韓国左翼の歩んできた経過があるようだ。
建国以来「滅共」を国是とし、北朝鮮と対峙してきた韓国では、左翼思想はずっとご法度=犯罪だったが、韓国の経済的優位が明らかになってきた1980年代後半あたりから、縛りがゆるくなり、ぽつぽつと学生・インテリから左翼思想・左翼運動が出てきたらしい。
その中で大きく2つの流派が誕生した。
NL系/NL派~民族解放・民衆民主主義革命論
National Liberation People's Democratic Revolution
PD系/PD派~反帝・反独占・民衆民主主義革命論
Anti-Imperialism Anti-Monopoly People's Democratic Revolution
この2大流派の間には、思想と状況分析に相違があり、論争があった。
で、その論争というのが、どうも、日本の左翼運動と非常によく似てるのだ。
日本といっても、戦後の「革共同・中核派VS革マル派」ではない。
韓国の左翼運動がよく似てるのは、戦前日本の左翼運動なのだ。
1930年代の「日本資本主義論争」である。
あ、その前に、大前提として、私のブログは判りやすさ・面白さを第一にしたエンタメ路線なんで、小難しさや正確性に欠ける。
その代わり、政治思想、左翼思想なんて知らないノンポリ一般人でも判りやすいように、非常に大雑把にザックリ書く。その道で生きているマニアの方はご勘弁願いたい(笑)。
戦前日本の左翼運動には、まず、大正時代1920年代に「アナ・ボル論争」というのがあった。
アナ派=アナキズム、アナルコサンディカリスム(無政府組合主義)と、
ボル派=ボルシェビズム(ロシア・マルクス主義)との間の論争だ。
両派の違いを大雑把に言えば「浪漫が命・自由至上のアナ派VS組織で勝利・人民革命のボル派」である。
この論争は、関東大震災でアナ派の巨頭・大杉栄が暗殺され、さらに左翼運動全般も徹底的に弾圧されたため、アナ派壊滅、ボル派衰退という形で自然消滅する。
この「アナ・ボル論争」も機会があれば、また書いてみたい。
大杉栄をはじめとしたアナキスト勢力が壊滅した後、生き残ったのはマルクス主義者ということになるが、その後、思想と状況分析の相違で大きく2派に分かれる。
「講座派」と「労農派」である。
ちなみに「講座」も「労農」も、それぞれが活躍した書籍、雑誌の名前から取ったもんで、その党派の思想を表現したものではない。たとえば労農派が特に農民を重視した、みたいな話ではない。
あ、それから、戦前のアナ派、ボル派も、講座派、労農派も、戦後の新左翼・革共同中核派、革マル派みたいに内ゲバで殺し合ったわけではない。あくまでも論争のみであった。
講座派は、戦前の日本共産党であり、ソ連のコミンテルンの影響下にあった。その後、人脈は戦後の日本共産党に流れる。「二段階革命論」が特徴だ。
労農派は、初期の日本共産党から離脱した人たちで、コミンテルンには懐疑的。非共産党・反共産党の人脈である。その後、人脈は戦後の日本社会党左派につながる。こっちは「一段階革命論」だ。
両派とも左翼なので「資本家ブルジョアVS労働者プロレタリア」の階級闘争は共通認識だが、
両派の相違は、明治維新と天皇制、この2つ問題に対する評価である。
その前にまたまた判りやすく説明。どうもノンポリを読者に想定すると前提説明が多くなる(笑)。
左翼思想は階級闘争である。階級Aと階級Bの戦いが歴史を動かす。
まあ「資本家ブルジョアVS労働者プロレタリア」となるのだが、実は、その前段階がある。
近代資本家が生まれるのは、時代が近代資本主義になってからである。人間の歴史はその前からある。資本主義より前の時代は絶対王制時代となる。
絶対王制時代の階級闘争は「王侯・貴族・教会VS平民」である。
平民の中には「後の資本家」も「後の労働者・農民」も両方が含まれる。
平民の中の、主に資本家ブルジョアが主体となって、旧体制の王侯・貴族・教会を倒す。これがブルジョア革命である。フランス革命、ロシア二月革命がこれだ。アメリカ独立戦争も理念としてはここに入れてもいい。
ブルジョア革命で、絶対王制は終わり、資本主義社会となる。
この資本主義社会を舞台に、今度は「資本家ブルジョアVS労働者プロレタリア」が始まる。
そして、労働者プロレタリアが、資本家ブルジョアを倒す。これがプロレタリア革命である。ロシア十月革命がこれだ。これが左翼の一応の目標だ。
さて、講座派VS労農派、戦前日本の左翼インテリたちの論争は、この「左翼の方程式」において「日本の明治維新はどこに入るのか?」という問題である。
講座派は、明治維新を「封建体制打倒に失敗したブルジョア革命」とみる。ブルジョア革命として失敗だっただけではなく、逆に封建性を強化してしまった。大日本帝国の本質は、まだまだ近代資本主義ではなく、半封建制絶対王制である。
大日本帝国の実権は半封建制絶対王制である天皇制が握る。資本主義であるべき資本家ブルジョアも天皇制の支配下に従属している。
左翼の戦略としては、最終目標のプロレタリア革命の前に、失敗したブルジョア革命を再度やり直す必要がある。まずブルジョア革命をやって絶対王制=天皇制を倒し、その後一気にプロレタリア革命に移行して資本家ブルジョアを倒す、という2つの革命を連続してやる必要がある。
これが講座派の「二段階革命論」である。
労農派は、明治維新を「完全ではないが、絶対王制打倒に一応成功したブルジョア革命」とみる。ブルジョア革命としては一応成功なので、絶対王制時代は終わり、大日本帝国は近代資本主義である。
大日本帝国の実権は資本家ブルジョアが握る。絶対王制としての天皇制は終わっており、資本家ブルジョアの傀儡として存在するに過ぎない。
左翼の戦略としては、次はそのまま最終目標のプロレタリア革命である。資本家ブルジョアを倒せば傀儡の天皇制も自動的に倒れる。
これが労農派の「一段階革命論」である。
講座派では、戦前の日本は英仏独露に比べて特殊で遅れた国だ。
なにしろまだ資本主義ですらない。その遅れた日本を、当時の資本主義先進国や革命国家(英仏独露)レベルまで、キャッチアップさせないといけない。その計画書がソ連のコミンテルンからの指示・命令である。
2つも革命をやらねばならないんだから、改革だの改善だの個別の運動をちまちまやってる場合ではない。全員が共産党の指揮命令に一致団結しないといけない。
労農派では、戦前の日本は英仏独露に比べて極端に遅れているわけではない。
それぞれの国にはそれぞれの事情がある。ロシアにはロシア独特の事情、ドイツにはドイツ固有の事情があるように、日本にも日本が抱える事情がある。
ロシアを手本にする必要はない。別にコミンテルンの命令を聞く必要はない。日本は日本の実情に合わせた革命を目指せばいい。
だから、共産党にまとまる必要はない。労働組合による労働者の環境改善など、改革・改善・改良も重要だ。革命のために、改革運動を犠牲にするのは間違いだ。
講座派は、天皇制を特別に敵視する。
これは大日本帝国の国体への直接的脅威であり、日本国家権力からすれば、最初に潰すべき一番危険な存在となる。
こうして講座派=戦前共産党は弾圧されて、解体する。
労農派は、天皇制を軽視する。
資本家ブルジョアが支配する資本主義社会の害悪・矛盾を改革することを優先する。
天皇制を問題視しない労農派は、日本国家権力からすれば、警戒はしても今すぐ潰すべき勢力ではない。
労農派は、離合集散して、労働運動、選挙活動など合法化の道に進む。
【後編】戦後韓国左翼「NL系(民族解放)対PD系(民衆民主)」≒戦前日本左翼「講座派(共産党)VS労農派(非共産党)」 - 在日琉球人の王政復古日記
に続く。