在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

#BREXIT #EU離脱 映画列伝(その3)「ブラディ・サンデー」(2002年)~アイルランド首相インド系LGBT。

#BREXIT #EU離脱 映画列伝(その2)「マイケル・コリンズ」(1996年)~ロンドン市長イスラム教徒。 - 在日琉球人の王政復古日記

の続き。

 

それは、アイルランド人は白人、イングランド人も白人、アイルランド人はキリスト教イングランド人もキリスト教アイルランド人が英語話者、イングランド人も英語話者、だからだ。

侵略者も抵抗者も両方とも白人、キリスト教徒、英語。この組み合わせの殺し合いは、アメリカ独立戦争以外なら、アイルランドくらいだろう。

だから、白人、キリスト教徒、英語のアメリカ白人にとって、アイルランドおよび北アイルランドは他の紛争とは全然違う。当事者が自分たちとソックリだからだ。

 

アイルランド系=アイリッシュは、WASPに抑圧されたが、数が多く、英語もペラペラ、徐々に政治やハリウッドなど影響力を持つ分野に進出する。

 

アメリカ政治は、イギリスがアフリカでやってる無茶には無関心だが、アイルランドでの無茶には文句が出るようになる。

歴史的には、昔の共和党は北部白人勝ち組WASPの政党だったので、対抗上、アイリッシュは昔の民主党を支持した。

アメリカ民主党ケネディクリントンアイルランド系=アイリッシュである。オバマも父方はアフリカ系だが母方はアイリッシュ。次期大統領バイデンもアイリッシュ

アメリカ白人の中でもアイリッシュエスニシティへの帰属意識は特別強いのだ。

 

オバマ大統領、アイルランドで祖先捜しの旅: 日本経済新聞

2011年5月24日
私ほど本当のアイルランド系はいない」。欧州歴訪中のオバマ米大統領は23日、最初の訪問国アイルランドの首都ダブリンでアイルランド語を交えて演説し、アイルランド人を祖先に持つ自らの家系をアピールした。
大統領は米国の系図学者が自らの祖先がアイルランドの靴職人だったことを調べ上げたことに触れ、「最近、アイルランド系米国人だと主張できるようになった」と指摘。同時に「大統領になると、みな生まれた場所とか、過去を知りたがる」と最近の自身の出生地論争を皮肉った。
演説に先立ち、大統領は先祖の靴職人の故郷とされる同国中部にあるムイネガル村を訪問。立ち寄った地元のパブでは「私のおじいさんに似ているけど、親戚かな」などと客と談笑した。ただ、アイスランドの火山噴火の影響を考慮し、24日までの予定を切り上げて出国した。 

 

ブレグジット:バイデン当選で窮地のジョンソン英首相と「追い風」と喜ぶEU。(今井佐緒里) - 個人 - Yahoo!ニュース

2020/11/19(木)
BBC放送が「バイデンさん、BBCですが一言お願いします!」と聞くと、バイデン氏は「BBC? 私はアイルランド人だよ」と答えて、にっこり笑った。

 

民主党だけでなく、共和党だってレーガン、現副大統領ペンスはアイリッシュ

今では共和党にも民主党にもアイリッシュはたくさんいる。 

 

映画も、他の紛争なら、西部劇のインディアンと同じで、有色人種を悪役にすればいいが、アイルランドはそうはいかない。反乱者のアイリッシュが悪役になったり正義のヒーローなったりする。

イギリス映画はもちろんだが、ハリウッドには、アイルランドが舞台、アイリッシュが主人公の映画が、他の地域に比べて段違いに多い。

 

アイルランド蜂起直後の戦前から作られている。

「男の敵」(1935年)

 


The Informer 1935 Official Trailer (Nominated Oscar / Best Picture)

 

西部劇の巨匠・ジョン・フォードジョン・ウェインアイリッシュである。

「静かなる男」(1952年)

 


The Quiet Man (1952) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers

 

イギリス人の言論は英語、アイルランド人の言論も英語。お互いに相手の言論が瞬時に読める。さらにアメリカ人も両者の言論が瞬時に読める。情報が隠蔽しにくい。自分たちにだけ都合がいいインチキなナショナルな言論はなかなか通用しない。

例えば日韓問題は、日本人は日本語、韓国人は韓国語、お互いに相手の言論が読めない。アメリカ人も読めない。だから日韓双方がお互い自分たちにしか通用しない嘘八百な言論が平気で流通する。

アイルランド問題は言論的にオープンになる。

 

20世紀になっても北アイルランド問題はくすぶり続ける。

同じ英語だが、特にイングランドナショナリストアイルランドナショナリストは話が噛み合わない。そもそも会話する気もない。

アイルランドナショナリストIRAの武装闘争に、イングランドナショナリスト「鉄の女」マーガレット・サッチャーは徹底して強硬姿勢を取った。

鉄の女は、フォークランド諸島に命までは掛けられなかったアルゼンチン軍部には勝ったが、ハンストでホントに餓死するような命知らずの北アイルランドIRAとの戦いは泥沼にはまる。

 

《アンチ・サッチャー映画列伝》「この道しかない(There Is No Alternative.)」VS「クソババアが死んだ(The Bitch Is Dead!)」 - 在日琉球人の王政復古日記

 

そこに大西洋の向こうから仲裁が入る。ソ連との冷戦では同志・盟友だった共和党レーガンアイリッシュであり、北アイルランド問題ではサッチャーに全面賛同しなかった。

そして、タイミングがやって来る。

アイリッシュであるアメリカ民主党クリントン政権

スコットランド出身で退任後カトリックに改宗するイギリス労働党ブレア政権。

クリントンもブレアも北アイルランドナショナリストと人間同士の話し合いができた。

1998年、ベルファスト合意(グッド・フライデー合意GFA)締結。アイルランド共和国北アイルランド領有権を放棄。民兵テロ組織カトリック側IRAもプロテスタント側UDAも停戦する。

EU加盟国としてイギリス領北アイルランドアイルランド共和国の国境は検問所も無くなりヒト・モノ・サービスはフリーパスとなった。

 

そもそも北アイルランドは、人口も面積もだいたい福島県くらいしかない。

 

イギリスのタテマエはイギリス領北アイルランド防衛だけど、ホンネは経済的に小さく厄介なだけの北アイルランドはお荷物になりつつある。

アイルランド共和国のタテマエはアイルランド全島統一だったけど、ホンネは英語なのに全く言葉が通じない宗教基地外である北アイルランドプロテスタントの面倒まで見たくない。

 

アイルランドだって、琉球人と同じく(笑)、虐げられただけの無垢の善人ではない。

イギリスからは差別されたが、北も南も、カトリックプロテスタントも、身内の女性や同性愛者を差別した。

 

旦那は酔っ払いで、子供はボコボコ作る。苦労は女性に集中した。 

「アンジェラの灰」(1999年)

 


Angela's Ashes (1999) Official Trailer #1 - Frank McCourt Movie HD

 

私生児もシングルマザーも差別された、どころか闇から闇に殺された。

 

CNN.co.jp : 母子施設跡から多数の遺体、乳幼児や胎児か アイルランド - (1/2)

2017.03.04
(CNN) アイルランド西部チュアムで、修道女が1961年まで運営していた未婚の母やその子どもの収容施設から多数の遺体が発見されたことが分かった。当局の調査委員会が3日に明らかにした。遺体は乳幼児や胎児のものとみられている。
この施設を巡っては、地元の歴史家が2014年、跡地に子ども800人の遺体が埋められている可能性があると指摘。高位聖職者からも真相究明を求める声が上がり、調査が進められていた。
調査委員会は声明で、浄化槽に隣接した複数の地下室で発見されたと説明。「委員会は今回の発見にショックを受けている。遺体をこのような形で処理した責任者は誰なのか引き続き調査している」と述べた。
この施設は1925年から61年まで、カトリック関連団体が運営していた。跡地は現在、住宅地の一部になっている。
同委員会によれば、分析用に掘り起こされた少数の遺体を放射性炭素年代測定により調べたところ、遺体は施設が運営されていた時期のものであることが示唆された。一部は50年代にさかのぼる可能性もある。遺体は妊娠35週の胎児から2~3歳の乳幼児のものとみられている。

 

アイルランドカトリックは、人工妊娠中絶禁止、LGBT差別、同性婚反対。EUの問題児・カトリックポーランドにソックリだった。

イングランドスコットランドプロテスタントは穏健だが、北アイルランドプロテスタントは、ヨーロッパでは特異で、おそらくアメリカ保守派の影響だろう、キリスト教福音派に染まり、ダーウィン進化論や地球温暖化を認めない、人工妊娠中絶禁止、LGBT差別、同性婚反対。トランプ支持者そっくりである。

 

1967年、イギリス、人工妊娠中絶合法化。
1967年、イングランドウェールズ、同性愛合法化。
1980年、スコットランド、同性愛合法化。 

  

イギリス・ブリテン島では人工妊娠中絶も同性愛も合法化したのに、アイルランドは北も南もなかなか認めなかった。

 

1982年、北アイルランド、同性愛合法化。
1998年、ベルファスト合意。
2014年、イングランドウェールズスコットランド同性婚合法化。
2015年、アイルランド同性婚合法化。
2018年、アイルランド人工妊娠中絶合法化。
2019年、北アイルランド人工妊娠中絶合法化。同性婚合法化。 

  

しかし、ベルファスト合意前後からアイルランド北アイルランドのその風潮も徐々に変わり始める。

800年かかった北アイルランド問題にもようやく終わりが見え始めた。

 

#BREXIT #EU離脱 映画列伝(その4)「静かなる男」(1952年)~レーガンもオバマもバイデンもアイリッシュ。 - 在日琉球人の王政復古日記

に続く。