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在日琉球人の王政復古日記

NATION OF LEQUIO

西暦1962年、人類と文明が終わりかけた14日間~ケネディ死す。フルシチョフ死す。カストロ生き残る。

01.歴史

いま、貴方が、そこで、そうしているのは、単なる偶然、単なる僥倖、である、かもしれない。

 

さて、人類史10万年、世界史1万年で、最大の事件は何か?
まあ、ホモ・サピエンスの誕生自体が大きな事件だし、
出エジプト、農耕の開始、なんかも重要だし、
フランス革命もクリティカルだと思うが、
これも候補の一つだろう。

 

 

Yahoo!ニュース - <米キューバ>国交正常化交渉を開始 米大統領が発表 (毎日新聞)

 

西暦1962年の「キューバ危機」である。

 

キューバ危機は、人類にとって、フランス革命よりも大きかったかもしれない。

第一次世界大戦第二次世界大戦も、キューバ危機に比べれば、単なる普通の戦争である。

 

氷河期だの、ペストなどの伝染病だの、人類生存の危機はいくつかあったが、自然現象や他の生物の都合ではなく、人類が、自分たちの意思で、自分たちの手で、自分たちを滅ぼしかけたのは、キューバ危機が世界史上、最初で、今のところ最後だ。

 

米ソ全面核戦争一歩手前まで行ったキューバ危機は、農耕の発明による文明の開始以来の人類の歴史の上で、最大のターニングポイントだった。

核攻撃による直接の死者だけで少なくとも1億人、その後の地球規模の環境汚染、世界経済破綻、米ソのコントロールを外れた世界同時多発戦争などなどを合わせれば、おそらく10億人近くは死んだだろう。
第2次世界大戦の死者が約7000万人だから、ケタが違うわけだ。

 

あそこで、ケネディホワイトハウス、フルシチョフクレムリンペンタゴンソ連軍首脳部、現地のアメリカ空軍部隊、キューバ駐屯ソ連ミサイル部隊、どれか1つの判断が狂っていたら間違っていたら、今と同じ世界は存在しなかっただろう。

 

アメリカのペンタゴンは強硬だった。実際、当時の核戦力はアメリカがソ連より全然優位だったし、その後のベトナム敗戦も知らない彼らには、第2次世界大戦の輝かしい圧勝の記憶しかない。日清日露しか知らない大東亜戦争前の帝国陸海軍同様、当時のアメリカ軍は負けた経験どころか劣勢になったことすらない軍隊だったのである。しかもラテンアメリカキューバなんか歴史的にトコトン舐めてかかっていた。

一方、ソ連軍としては史上初めて新大陸に橋頭堡を築いたわけで、アメリカに勝てる、つまり世界共産革命実現の、最初にして、結果的に最後のチャンスだった。

双方共に、ここで押せば勝てる、ここで引けば負ける。

 

キューバカストロというと、チェ・ゲバラほどではないにしろ、今でも全世界的に、不思議と人気のある人物である。

左翼からだけではなく、世界各地の民族独立派の右翼からも人気がある。

日本の保守派だって、金日成一族大嫌い!は普通にたくさんいるだろうが、カストロ兄弟を蛇蝎のように嫌ってる日本人は、某産経新聞みたいな(笑)、アメリカ共和党シンパ以外、あんまりいないだろう。

日本から地理的に遠いこともあるが、カストロ兄弟が社会主義国家の独裁者ながら、毛沢東みたいな自国民大虐殺はやってないし、金日成みたいな個人崇拝も嫌ったし、他国の同業者のような不正蓄財もやってないことが大きいだろう。

 

しかしキューバ危機で米ソが手打ちをした時、ソ連がミサイルを撤去した時、見捨てられたと激怒したカストロは、フルシチョフに「今すぐアメリカに核ミサイルを打ち込め!核戦争になってでも世界共産革命を守れ!」と要求したのだ。

世界各地に、そして日本にもいるカストロファンは、彼がキューバ革命のためなら、世界中の人命を犠牲にしても構わない、と一瞬でも考えてたことのある人間であることを忘れてはならない。彼は人命より革命を選んだ政治的人間なのだ。

 

最後は、ご存知のように、今われわれが核汚染の後遺症に苦しんでいないことが証明するように、キューバ危機は回避された。

ケネディの戦争回避のスタンスと、それに応じた(つまり勝負から降りた)フルシチョフのギリギリの判断が、世界を今の世界のままに残したわけだ。

しかし、地球丸ごと1個賭けた壮大なギャンブルのツケは、その後に個人個人で支払わされることになる。

 

ケネディはダラスの暑い日に倒れる。
フルシチョフクレムリンを追放されすぐに病死する。

 

私は陰謀論は嫌いだが、ケネディ暗殺の実行者がダレであろうと、その背後には、カストロ政権打倒を回避した弱腰への落とし前なのか、キューバ危機対応の際に何かチョンボをやらかしていたことへのペナルティなのか、アメリカを滅亡寸前まで追い込んだ悪夢への逆恨みなのか、真実は判らないが「ケネディの若造にあの時のツケを支払ってもらおう。あと4年もアメリカを任せられない」というアメリカ指導層の共通意思を感じてしまう。

 

フルシチョフだってキューバ危機がなければ失脚も無かったはずだ。共産党ソ連軍は、危険な手を打ってしかも途中で降りた負け犬ギャンブラーをカジノから追い出したのである。

 

そしてケネディがいない、ソ連すらない世界で、カストロだけは今でも生きている。

  

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