「オバマは弱い大統領」
てな言説を、よく日本の雑誌やネットで見たりする。
例えば、産経の古森義久さん、元NHKの日高義樹さん、作家の落合信彦さん、と日本の目立つ親米派には「あんたはキリスト教福音派なのか?白人のつもりか?」と思うくらいの熱烈な共和党信者がいて、共和党ヨイショのバイアス記事をじゃんじゃん書くので、日本の世論もそういう風潮に流されてるが、
連邦裁同性婚合憲判決。
ゼネラルモーターズ一時国有化、救済復活。
ウサマ・ビン・ラディン暗殺成功。
キューバ国交回復。
イラン核合意。
良いも、悪いも、内政と外交で、これだけの実績をあげた大統領が「弱い」と表現されるのはおかしい。
正直に「オバマはキライな大統領」と書くべきだろう(笑)。
もともとはサウジアラビアと並ぶ親米国家だったイランが反米に逆転したのは、民主党カーター政権の「負」の置き土産であり、この反動から共和党レーガンの「保守革命」が始まった。
レーガン保守革命は米ソ冷戦をアメリカの勝利で終わらせた時代でもある。この一点だけでもまちがいなく「人類への福音」であった。そこは評価したい。
しかし、不合理なキリスト教保守派がアメリカ政治の前面に出てきたのもこの時代からだ。そして中東ではますますイスラム原理主義が台頭していった。
ビン・ラディンは、レーガン保守革命の頂点にして最後だったブッシュ・ジュニア時代の「負」の置き土産だ。911の後始末はオバマの手で行われた。
ソヴィエト共産主義を倒したレーガン保守革命は、イスラム原理主義という新たな敵の登場でもあった。
レーガン保守革命時代はブッシュ・ジュニア時代まで続いて、オバマの登場が保守革命の終わりだったわけだ。
保守革命への反撃なんだから、オバマは「リベラル反革命」とでも呼ぶべきか(笑)。
キューバにいたっては半世紀前のアイゼンハワー時代の「負」の置き土産である。
当時は右翼軍事独裁政権と左翼ゲリラだらけだった中南米も普通選挙が当たり前になった。しかし麻薬という新しい難問が発生している。
オバマケアと同性婚は、自助努力と聖書を重視するキリスト教プロテスタントの強いアメリカにとっては建国以来の社会革命である。
そもそも黒人の彼が大統領になったこと自体が、奴隷制度、南北戦争、公民権運動、アメリカ400年の「置き土産」への清算だったわけだ。
オバマさんは、アメリカの積み残してきた何個かの「置き土産」を後始末した、そこそこ頑張った大統領なのだ。その政策への賛成・反対はあれど、どうみても「弱い」大統領ではない。
米ソ冷戦と赤狩りの反共アメリカ、
公民権運動とカウンターカルチャーのリベラルなアメリカ、
ときて、
ヒラリーが勝ったら、原則として「反革命」の継続になるだろう。
次期大統領選、民主党はヒラリー1本であり、共和党は16人である。
レーガンもそうだったが、強い大統領を出した政党は、路線や政策に混乱や変更がないわけで、後継者も1本に絞られやすい。
対する相手政党はどうやって対抗するかで迷うわけで、次の候補が乱立するのだ。
実は、オバマだって最初の最初は、強いレーガン保守革命への対応に悩んでいた民主党が出した、勝てる保障のない、ダメもと(笑)の、異色の人材だったのだ。
その共和党の一番人気が不動産王ドナルド・トランプさんらしい。
止まらぬ「トランプ節」、今度は対立候補やり玉に 米大統領選 (AFP=時事) - Yahoo!ニュース
さらに18日には、米国で最も尊敬を集める政治家の一人、ジョン・マケイン(John McCain)上院議員(共和党)を批判し、さらに大きな波紋を呼んだ。マケイン議員は、ベトナム戦争に海軍パイロットとして派遣された際、戦闘機が撃墜され、5年間の捕虜生活を送り、拷問を受けた。軍での働きを認められて勲章も授与されているが、トランプ氏は「彼は戦争の英雄なんかじゃない。捕まったから戦争の英雄になった。私は捕まらなかった人間が好きなんだよ」と発言した。
これだけで共和党の苦悩が判る(笑)。
いくらなんでも、これは、古森さん、日高さん、落合さんもヨイショしにくい(笑)。
すごいのは、共和党で尊敬されている、民主党からも敬意を表される、あの「意外と話の判る頑固オヤジ」マケインさんを侮辱したのに、それでも人気が1位なことだ。つまりマケイン罵倒がなければ、もっともっと支持率が高かったということだ。事実上ダントツである。
キリスト教福音派どころか敬虔なクリスチャンにはとても見えないトランプちゃんに人気が集まるのは、共和党としては異常事態である。それだけ共和党支持者が「オバマの亡霊に打ち勝つにはどうすればイイのか?」が見えなくて混乱しているということだろう。
ヒラリー1本の民主党。トランプ1番人気の共和党。
この候補者を見ただけでも、現在のオバマが弱い大統領のわけがない。
ヒラリーのやりそうな政治はだいたい予想がつく。
しかし、トランプちゃんに限らず、共和党の16人がどんな政治をやるのか、全然見えにくい。まあイスラエルと仲良くだろうが、EUやアジアに何をするつもりなのかいまいち判らない。
国内は、オバマケア反対、同性婚反対だろう。外交も、キューバやイランとの関係改善を見直すのかもしれない。しかし、これらはもうすでに流れの決まった話であって、それに抵抗するのは余計な労力の消耗だろう。
いまさら同性婚に反対なんてしたら、それだけで国内は大混乱である。
トランプちゃんが大金持ちでも、もしも世界をまたにかけた金融屋さんだったらある程度国際情勢を知ってるだろうが、彼はアメリカ国内の不動産屋さんなのだ。海外を知ってるかどうか判らない。メキシコとカナダ以外の国が見分けられるのかどうか?くらいの疑問がある(笑)。
「チャイナのエイブ(ABE)大統領には譲歩しない!」
「ジャパンのコイズミとは話が合いそうだ」
くらいのことは平気で言いそうだ(笑)。
「ナニをしでかすかわからない」という意味では、支那の習さんも、ロシアのプーチンさんも、イランのハメネイさんも、キューバのカストロさんも、イスラム国ISISも、いやイスラエルですら、「こりゃ、ヤバイのが来た・・・」と最も恐るべきアメリカ大統領かもしれない(笑)。
安倍ちゃんも「ところで、、、日米安保って儲かるのか?」とか言い出しかねない大統領に対応せねばならないかもしれない。
そういう意味では、センス・オブ・ワンダーな「トランプ時代」を観てみたい気もする。
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