在日琉球人の王政復古日記

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映画「アラバマ物語」~黒人をリンチした南部白人の支持政党は、オバマを大統領にした民主党。


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「アラバマ物語」米作者ハーパー・リーさん、死去 (シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース

 1960年に出版された小説「アラバマ物語」で、アメリカ南部のアラバマ州を舞台に、偏見根強い町の人々の反発や中傷に屈することなく、無実の黒人青年を救おうとする白人弁護士アティカス・フィンチの姿を描き、ピュリツァー賞を受賞したリーさん。同小説は、グレゴリー・ペック主演で映画化され、ペックは『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥールといった実力者たちを抑え、第35回アカデミー賞主演男優賞を獲得。1995年にはアメリカ議会図書館に永久保存することを目的とした、アメリカ国立フィルム登録簿に登録されるなど、名作映画として知られている。

 

黒人のオバマさんは民主党である。

移民受け入れ拒否のトランプさんは共和党である。

で、奴隷解放のリンカーンは、共和党なのだ。

 


スピルバーグ監督作『リンカーン』特報

 

ここら辺で、頭が混乱してくる(笑)。

 

アメリカ南北戦争は、奴隷制廃止を掲げる北部と奴隷制存続を掲げる南部との戦争であった。

北部を率いたリンカーン大統領が共和党で、抵抗する南部は民主党だった。

当時の共和党の地盤は北部(東海岸北部と五大湖周辺)だった。

当時の民主党の地盤は南部だった。

黒人差別が残る「アラバマ物語」のアラバマ州も南部のど真ん中である。当然登場する白人農民たちは民主党に投票しただろう

 

現在、アメリカ東海岸と西海岸、五大湖周辺は、民主党が強い。

内陸の中西部や、アラバマ州を含む南部は、共和党が強い。

 

ますます混乱する(笑)

 

つまり、南北戦争の前から、アラバマ物語」の1930年代を経て、1960年代の公民権運動の時代までと、

1970年代以降レーガン保守革命から、21世紀の現在まででは、

共和党と、民主党は、主義主張も、地盤も、支持者も、ほとんどサカサマに入れ替わったのである。

 

昔の共和党が今の民主党で、昔の民主党が今の共和党なのだ。

ナチスユダヤ人を保護して、中国共産党表現の自由を認める、みたいな話である(笑)。

 

最初の最初、アメリカ独立ごろまでさかのぼると、

 

今の共和党のそもそもの源流は、連邦主義者、つまり、個々の州でバラバラ勝手にやるんじゃなく、中央に連邦政府を作って統一してやっていこう、という中央集権的な考え方の集団から生まれた。通貨を統一し国境(州境)を無くそうとしている今のEUみたいな発想である。要は「大きな政府」だ。今の共和党とは考え方が180度サカサマだ。

 

今の民主党のもともとの起源は、州権主義者、つまり、個々の州が独立政府であり自治を尊重すべきで、中央に権限を集中するな、という地方分権的な考え方の集団から生まれた。彼らは、連邦への権力集中を嫌って、中央銀行の設立すら反対したくらいである。要は「小さな政府」である。今の民主党とは考え方が180度サカサマだ。

 

本来は、共和党が大都市のインテリ好みのリベラルで、民主党が頑固な田舎者の保守だった。

それが、共和党キリスト教福音派の保守に変わり、民主党が黒人やヒスパニック、貧乏人の味方であるリベラルに変わった。

 

その政治的大変動は、アラバマ物語」の1930年代あたりから徐々に始まる。

当時は大恐慌時代であった。自由市場経済の黄金時代を謳歌していたアメリカの繁栄が突如崩壊した。

 

奴隷解放を進めた共和党は基本的に自由主義だ。社会的には自由のために人種差別に反対するが、経済的にも自由市場と小さな政府を求める。自由競争を支持するゆえに、強いモン勝ちの社会を容認する。共和党フーバー政権は大恐慌解決の介入政策を取らなかったために人気を失う。

 

対して、小規模農民や大都市労働者など大恐慌の被害を真正面で受けた負け組の支持者が多かった民主党フランクリン・ルーズベルト大統領がニューディール政策を採用する。これはケインズ経済的であり、大きな政府であり、自由市場経済への政府の介入だ。そして弱者救済の社会福祉でもある。ここで民主党は、黒人を含む、弱者の味方に変わる。

 

北部インテリの共和党が、自由を求めるあまり、競争勝ち組の共和党になり、

黒人を差別してきた南部の民主党が、弱者救済の大きな政府の民主党となる。

 

両党の変化が決定的になったのが、1960年代公民権運動。

 

弱者救済のため、南部に残る黒人差別を解消しようと、公民権運動を進めるケネディ民主党。全国のマイノリティ、南部の黒人や、北部のインテリは、民主党支持に変わる。

南部の白人は、黒人の味方をする民主党に失望し、雪崩を打って共和党支持に鞍替えする。共和党も、本当は自由主義とはあんまり相容れない、毛色の違うキリスト教福音派の大票田を獲得するために、急速に、宗教的になり、保守化する。その結果が「レーガン保守革命」である。

 

共和党は、ポピュリストのトランプや、宗教基地外のクルーズが人気で、マトモな自由主義を唱えるブッシュ弟たちが不人気に苦しむ、キリスト教的で保守的な南部の政党となり、

民主党は、黒人を大統領にし、女性を大統領にしようとし、社会主義者まで容認する、リベラルで大きな政府の東と西の海岸沿いの政党になった。

 

スピルバーグ映画「リンカーン」も、奴隷解放のために頑固な反対派民主党と悪戦苦闘するリンカーン共和党を賞賛しているように見えて、その政治的メッセージは、オバマケア成立のために頑固な反対派共和党悪戦苦闘するオバマ民主党へのヨイショなのだ。

 

アラバマ物語」に登場する、黒人の人権を守ろうとしたリベラル弁護士アティカス・フィンチも、黒人をリンチにかけようとする白人農民たちも、黒人たちも、あまりの逆転に、簡単には、2016年の大統領選挙を理解できないだろう。

 

(まとめ)2016年アメリカ大統領選挙~ワシントンVSラジカルレフトVS宗教保守VSリバタリアンVSポピュリスト~オバマ、ヒラリー・クリントン、トランプ、サンダース、クルーズ、ルビオ、ブッシュ。 - 在日琉球人の王政復古日記